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【事例紹介】狂犬病予防法違反、不正競争防止法違反で罰金刑

2022-12-14

【事例紹介】狂犬病予防法違反、不正競争防止法違反で罰金刑

狂犬病予防法違反不正競争防止法違反の罪で罰金刑を下された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

(前略)無登録で犬199匹を飼い、うち179匹に狂犬病ワクチンを接種させなかったとして、滋賀県東近江区検は24日までに、狂犬病予防法違反の罪で東近江市のブリーダーの男性(63)を略式起訴した。
(中略)ヨークシャーテリア1匹をチャンピオン犬の子と誤認させるような表示をし、19万3千円で販売した不正競争防止法違反の罪でも略式起訴した。ともに9日付。東近江簡裁は15日、罰金100万円の略式命令を出した。
一方、販売予定の犬に動物用医薬品を注射した獣医師法違反容疑については、起訴猶予となった。
(後略)
(11月24日 京都新聞 「179匹のわんちゃん、狂犬病ワクチン打たず ブリーダー男性に罰金100万円」より引用)

狂犬病予防法

狂犬病予防法第4条1項では、犬の所有者は犬を取得した日から30日以内に犬の登録を申請しなければならないと定めています。

また、狂犬病を予防するため、犬の所有者は毎年1回狂犬病の予防接種を受けさせなければなりません。(狂犬病予防法第5条1項)

今回の事例では、ブリーダーの男性が199匹の犬を無登録で飼い、その内の179匹の犬に狂犬病のワクチンを打たせてなかったとの報道がされています。
犬の登録と狂犬病のワクチンを打たせることは法律で義務付けられていますので、その義務に違反したことで、男性は狂犬病予防法違反で略式起訴されたということでしょう。

狂犬病予防法第4条、5条どちらに違反した場合も20万円以下の罰金が科されることになります。(狂犬病予防法第27条)

不正競争防止法

商品などの品質や内容などについて誤認させるような表示をし、譲渡すると、不正競争にあたります。(不正競争防止法第2条1項20号)
このような不正競争を行い有罪になった場合は、5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金またはその両方が科されます。(不正競争防止法第21条2項1号)

今回の事例では、男性が商品であるヨークシャーテリアの内容について、チャンピオンの子であると誤認させるような表示を行い、販売(譲渡)したとされており、このような行為は不正競争防止法違反にあたります。

獣医師法

獣医師法第17条では、獣医師でなければ飼育動物(犬など)の診療を業務としてはならないと規定しています。

犬に動物用医薬品を注射する行為は飼育動物の診療にあたりますので、男性が犬に注射していた行為は獣医師法違反になります。
ですので、男性は獣医師法違反の容疑で捜査されていたのでしょう。

今回の事例では起訴猶予(不起訴処分)になっていますが、獣医師法違反で有罪になっていた場合には、2年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金またはその両方が科されることになります。(獣医師法第27条1号)

今回の事例のように商品に対して誤認させるような表示を行っていた場合、不正競争防止法違反に問われることがあります。
そのような場合に有罪になってしまうと、懲役刑を下される可能性がありますし、高額な罰金を科される可能性もあります。

しかし、示談交渉などの弁護活動によって、執行猶予不起訴処分などの獲得を目指せるかもしれません。

また、狂犬病予防法違反獣医師法違反についても、弁護士による検察官への働きかけなどによって、あなたにとってより良い結果を得られる可能性があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では無料法律相談を行っています。
不正競争防止法違反狂犬病予防法違反獣医師法違反でお困りの方は、ぜひ一度弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。

【事例紹介】業務上横領罪で逮捕 滋賀県湖南市

2022-12-07

【事例紹介】業務上横領罪で逮捕 滋賀県湖南市

滋賀県湖南市で起きた業務上横領事件を基に、業務上横領罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

滋賀県警捜査2課と甲賀署は11月30日、業務上横領の疑いで、滋賀県甲賀市、アルバイトの女(54)を逮捕した。
逮捕容疑は、湖南市の石部自動車教習所に経理担当事務員として勤めていた2020年4月4日と8日、入所者から預かった教習料金計60万円を着服した疑い。
県警によると、(中略)県自動車協同組合が(中略)入所者らから受領した料金計5400万円を横領したとして県警に告訴していた。女は「生活費や旅行代金などに使った」と話しているという。
(11月30日 京都新聞 「自動車教習所パートの女、横領疑いで逮捕「生活費や旅行代金などに使った」」より引用)

業務上横領罪

刑法第253条
業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。

業務上横領罪を簡単に説明すると、業務上、自分が管理している他人のお金などを取った際に成立する犯罪です。

今回の事例では、容疑者が勤務していた自動車教習所から60万円を着服したと報道されています。
報道によれば、容疑者は過去に経理担当事務員として勤務しており、教習料金を入所者から預かっていたようですから、おそらく教習料金など自動車教習所内の金銭の管理を業務として行っていたのでしょう。
また、容疑者が着服したとされている60万円は入所者から教習料金として預かったものであり、容疑者のものではありません。
業務により、自分が管理している他人のお金を着服した場合は業務上横領罪にあたりますので、報道が事実であれば、容疑者の行為は業務上横領罪に該当するといえます。

業務上横領罪の量刑

業務上横領罪の法定刑は10年以下の懲役です。
しかし、業務上横領罪にあたる行為を実際に行っていたからといって、必ず刑務所に行くというわけではありません。

例えば、過去には、男性職員が労働組合費66万円を競馬に使い、業務上横領罪の疑いで書類送検された事件が起こっていますが、この業務上横領事件では、男性職員に対して不起訴処分の判断が下されています。(2022年9月17日 京都新聞 「労働組合費66万円を競馬に使い込み 京都市が職員処分「収入限られ」」より)

被害金額がどれほどのものか、被害弁償はできているのかなど、様々な事情によりますが、業務上横領罪でも不起訴を目指すことが全くできないというわけではないのです。

業務上横領罪の条文を見ていただければ分かる通り、業務上横領罪は有罪になると、執行猶予が付かない限り刑務所に入らなければなりません。
今回の事例では、報道によると容疑者は60万円を着服した疑いで逮捕されていますが、報道では着服額を5400万円として告訴されているという話も出てきています。
被害額が高額であれば、それだけ厳しい処分が下されやすくなりますから、実際の着服額が5400万円であり、残りの額についても業務上横領罪で立件された場合には、実刑判決が下される可能性が高まるといえるでしょう。

また、着服額が逮捕容疑のとおり60万円だった場合であっても、必ず不起訴処分を得られるとは限りませんので、こちらの場合でも懲役刑が下される可能性はあります。
しかし、示談や賠償をすることで執行猶予や不起訴処分の獲得を望める場合があります。
示談や賠償を行う際には、トラブルを避けるためにも弁護士を付けることが望ましいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所刑事事件に強い法律事務所です。
業務上横領罪でお困りの際には、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

【事例紹介】ブランドと類似した商標を使い、商標法違反で逮捕

2022-11-30

【事例紹介】ブランドと類似した商標を使い、商標法違反で逮捕

ブランドと類似した商標を使い逮捕された事件を基に、商標法違反について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

滋賀県警木之本署は17日までに、商標法違反の疑いで、滋賀県多賀町の会社員の男(29)と同県彦根市の会社員の男(43)を逮捕した。
逮捕容疑は、共謀し、昨年9月から今年3月、インターネットオークションで、衣料品ブランド(中略)に類似する商標を付けた長袖シャツなど計4点を計2万2千円で販売し、商標権を侵害した疑い。
(後略)
(11月17日 京都新聞 「シャツに「ポロ・ラルフローレン」類似の商標 ネット販売の男ら容疑で逮捕、衣類400点押収」より引用)

商標権侵害

自分の業務で扱う商品について商標登録を行うことができ、その登録されている商標について、第三者が類似した商標などを勝手に使用した場合は商標権侵害にあたります。
商標権は商標法で規定されており、商標権侵害の罰則についても商標法に規定されています。

今回の事例の報道によれば、男性2人が共謀して衣料品ブランドに類似する商標を付けた商品を販売したとされています。
衣料品ブランドはおそらく商標登録を行っているでしょうから、類似した商標を当該ブランドと無関係の者が勝手に使用した場合には商標権侵害にあたります。
報道が事実であり、容疑者が商標法違反で有罪になった場合には、10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金またはその両方が科されることになります。(商標法第78条)

詐欺罪

今回の報道が事実であり、類似する商標を付けた商品を本物だと偽り販売していた場合には、逮捕容疑として挙げられている商標法違反だけではなく、詐欺罪に問われる可能性もあります。

詐欺罪は、大まかに説明すると、取引の相手方に対して取引などで重要なことについてうそをつき、だまされた相手からお金を受け取った際に成立します。
例えば、偽物のブランド用品を本物だと偽って販売し、そのうそを信じた人からお金を受け取った場合などが詐欺罪にあたります。

今回の事例では、インターネットオークションで衣料品ブランドと類似する商標を付けた長袖シャツなどを販売したと報道されています。
販売していたことが事実であり、もしも、その類似する商標を付けた商品を本物のブランド品であると偽って販売し、お金を得ていたのであれば、うそをついてお金を受け取ったことになりますので、詐欺罪が成立する可能性があります。

また、詐欺罪の法定刑は10年以下の懲役(刑法第246条1項)ですので、もしも詐欺罪が成立し有罪になってしまった場合には、懲役刑が科されることになります。

逮捕されている事件(身柄事件)の場合には、早期に釈放に向けた弁護活動を開始し、裁判所や検察庁へ働きかける機会を逃さないことが重要になります。
裁判所や検察庁への働きかけを行うためにも、書類などを準備する時間が必要になりますので、逮捕後すぐに釈放に向けた活動を行うことが望ましいといえます。
また、今回の報道からでは認否がわかりませんが、冤罪をかけられた場合など事件について否認している場合はとりわけ厳しい取調べが行われるかもしれません。
取調べは1日かけて行われることがあり、長時間にわたる取調べが多大なストレスになる場合もあるでしょう。
弁護士によるアドバイスで、取調べのストレスを少しでも軽減できるかもしれません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件の豊富な経験をもつ法律事務所です。
現在、取調べでの対応でご不安な方、商標法違反詐欺罪逮捕、捜査されている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

【事例紹介】滋賀県 殺人未遂罪で逮捕された事例

2022-11-23

【事例紹介】滋賀県 殺人未遂罪で逮捕された事例

滋賀県で起きた殺人未遂事件を基に、殺人未遂罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

首を絞めて高齢の夫を殺害しようとしたとして、滋賀県警草津署は16日、殺人未遂の疑いで滋賀県栗東市の無職の妻(90)を逮捕した。夫(93)は病院に搬送されたが、意識不明の重体。
逮捕容疑は16日未明に自宅で、夫の首を両手で絞め殺害しようとした疑い。容疑者は「手で首を絞めた」と容疑を認めている。
(後略)
(11月17日 京都新聞 「90歳妻、介護していた93歳夫の首絞める 殺人未遂容疑で逮捕」より引用)

殺人未遂罪と殺人罪

刑法第199条
人を殺した者は、死刑または無期もしくは5年以上の懲役に処する。

人を殺そうと思って人を殺した場合に殺人罪は成立します。
人を殺そうとしたが相手が死亡するまでには至らなかったという場合には、殺人未遂罪が成立することになります。
今回取り上げた事例では、報道の時点では容疑者は殺人未遂罪で逮捕されていますが、被害者である夫亡くなってしまった場合には、容疑をかけられる罪名が殺人罪に切り替わることが予想されます。

今回の事例の場合では、容疑者が夫の首を絞めたとされています。
容疑者が夫を殺そうと思ってそうした行為をしたのであれば、結果によって殺人罪殺人未遂罪が成立することが考えられます。
一方で、夫の首を絞めたことは事実だが殺そうとは思っていなかったというような場合には、傷害罪や傷害致死罪が成立する可能性があることになります。

殺人罪の法定刑は、死刑または無期懲役、もしくは5年以上の懲役です。
殺人未遂罪の場合も殺人罪と同様の法定刑になりますが、未遂であることが考慮され刑が減軽される可能性があります。

殺人未遂罪と刑罰

殺人未遂罪に問われた場合、どのような量刑が科されるのでしょうか。
実際に、殺人未遂罪で有罪判決が下された事例をご紹介します。
(ご紹介する裁判例は今回の事例と事件内容などが異なります。)

山口県で行われた裁判では、妻の介護が原因で夫が妻の首を包丁で刺し10日間のけがを負わせたとして殺人未遂罪に問われていました。
裁判の結果、被告人である夫に懲役3年執行猶予4年の判決が下されました。
(2009年9月9日 朝日新聞 「介護絡み殺人未遂に執行猶予判決 山口の裁判員裁判」より)

今回の滋賀県の事例では、報道の時点で被害者である夫が意識不明の状態であり、仮に回復したとしても、山口県の事例よりも被害者の負った被害の程度は重いと考えられますが、殺人未遂罪であっても、情状酌量により、執行猶予付き判決を得られる可能性があるということが分かります。

また、被害者が亡くなってしまい殺人罪に問われた裁判であっても、犯行当時に心神耗弱であったと判断され、執行猶予付きの判決が下された事例(参考)もあります。
裁判で情状酌量を求めることや犯行当時に心神耗弱だったと主張していくのであれば、入念な準備を行う必要があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件に強い法律事務所です。
殺人罪、殺人未遂罪で逮捕、捜査された方は、お早めに弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

【事例紹介】小学生への強制わいせつ事件で逮捕された事例

2022-11-16

【事例紹介】小学生への強制わいせつ事件で逮捕された事例

滋賀県草津市で起きた小学生への強制わいせつ事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

滋賀県警草津署は27日、強制わいせつの疑いで(中略)逮捕した。
逮捕容疑は(中略)草津市内で、小学生女児(8)の下半身を触った疑い。
同署によると、男は「わざと触ってはいない」と容疑を否認しているという。
(2022年10月27日 京都新聞 「8歳女児の下半身触る 強制わいせつ容疑で31歳男逮捕 滋賀・草津」より引用)

強制わいせつ罪

大まかに説明すると、暴行や脅迫を用いて抵抗できないような状態にしたうえで、相手にわいせつ行為を行うと、強制わいせつ罪が成立します。
ただし、被害者が13歳未満であった場合は、暴行や脅迫を行わなくても、単にわいせつ行為を行うだけで強制わいせつ罪に問われます。
ですので、13歳未満の子どもに対してわいせつ行為を行った場合は、相手の同意の有無に関係なく強制わいせつ罪が成立することになります。
強制わいせつ罪の法定刑は、6月以上10年以下の懲役です。(刑法第176条)

今回の事例の被害者は8歳なので、13歳未満に該当します。
容疑者が疑われている行為は、「8歳の被害者の下半身を触った=わいせつ行為をした」という、13歳未満に対してのわいせつ行為ですので、被害者の同意や暴行、脅迫の有無など関係なく、強制わいせつ罪の容疑をかけられているということでしょう。
ただし、報道では、容疑者は容疑を否認しているようです。
強制わいせつ罪は故意犯=犯罪の内容を認識しながら行うことで成立する犯罪のため、例えば、たまたま体に手が当たってしまったということであれば、強制わいせつ罪は成立しないということになります。
容疑者の主張の詳細までは報道からは読み取れませんが、主張の内容によっては強制わいせつの故意がないという主張をしているということになるでしょう。

小学生に対する強制わいせつ罪で有罪になった事例

では、13歳未満の子どもにわいせつ行為を行い強制わいせつ罪で有罪になった場合は、どのような量刑が科されるのでしょうか。
実際に小学生にわいせつ行為を行って強制わいせつ罪で有罪になった事例をご紹介します。
(これからご紹介する事例は、今回の事例と事件内容などが異なります。)

その事件の被告人は、児童支援員の立場を利用し、11歳の被害者を呼び出し、被害者に自慰行為を見せつけました。
その後の裁判で被告人は強制わいせつ罪で有罪になり、懲役1年4月、執行猶予3年が言い渡されました。
(2022年10月21日 京都新聞 「女児に自慰行為見せた児童支援員の男に有罪判決 大津地裁「立場利用し悪質」」より)

ご紹介した事例では、被告人は被害者に直接触れる行為をしたわけではありませんが、強制わいせつ罪で有罪判決が下されています。
今回の事例では被害者の下半身に触れていることから、容疑者の主張が認められなかった場合、その点では紹介した裁判例よりも悪質性が高いと判断されるかもしれません。
有罪となった場合の刑罰の重さは、その犯行の態様や被害者との関係、示談や被害弁償の有無など様々な事情によって決められますから、見通しを知りたいといった場合には、事件の詳細を弁護士に伝えた上でアドバイスをもらうことをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、数多くの性犯罪事件の弁護経験をもつ法律事務所です。
性犯罪事件の豊富な経験を持つ弁護士による弁護活動が、不起訴処分・執行猶予付き判決の獲得や刑罰の減軽など、依頼者様の利益を守る結果に繋がるかもしれません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回接見サービス・無料法律相談を行っていますので、相談等のご予約は0120―631―881(24時間受付)で承っておりますので、お気軽にお電話ください。

【事例紹介】ストーカー規制法違反で控訴中の逮捕~ストーカー規制法違反

2022-11-09

【事例紹介】ストーカー規制法違反で控訴中の逮捕~ストーカー規制法違反

ストーカー規制法違反で控訴中に、建造物侵入罪、ストーカー規制法違反で逮捕された事件を基に、ストーカー規制法違反について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
(建造物侵入罪については前回のコラムをご覧ください。)

事例

滋賀県警米原署は19日、建造物侵入とストーカー規制法違反の疑いで、滋賀県彦根市の男(34)を逮捕した。
(中略)つきまといなどの禁止命令を受けたにもかかわらず、(中略)同県米原市の(中略)女性の集合住宅敷地内に入って押しかけ、禁止命令に違反した疑い。
容疑を否認しているという。
男は2月、この女性にストーカー行為をしたとして、同署に逮捕された。
大津地裁長浜支部で5月、同規制法違反の罪で罰金30万円の判決を受けたが、不服として控訴中。
(10月19日 京都新聞 「ストーカー行為で控訴中の34歳男、40代女性住居の敷地内入った疑いで逮捕」より引用)

ストーカー規制法

ストーカー規制法では、恋愛感情や好意、それに付随した感情などをもって、特定の人やその家族などに以下の行為をすることを禁止しています。

①家への押しかけや、つきまとい、待ち伏せ、家などの周辺をうろつく行為
②監視ていると相手に思い込ませる行為
③会うことや交際を要求する行為
④乱暴な言動
⑤拒否されているにも関わらず電話やメールを繰り返したり無言電話をかける行為
⑥汚物や動物の死体などの送り付けや、それらを相手が目にするような場所に置くなどの行為
⑦相手の名誉を害する内容を告げたり、相手がそのことについて知れるようにする行為
⑧わいせつ物などを送ったり、相手がそのわいせつ物を目にするような状態にする行為

ストーカー規制法では、以上8つの禁止行為をまとめて、「つきまとい等」といいます。
また、ストーカー行為とは、特定の人に繰り返し、上記のつきまとい等を行う行為のことを指します。

ストーカー行為をした場合は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されます。(ストーカー規制法第18条)
また、禁止命令に違反してストーカー行為やつきまとい等を行った場合には、2年以下の懲役または200万円以下の罰金が科されます。(ストーカー規制法第19条1項、同条2項)

報道内容が事実であれば、容疑者は被害者が住む集合住宅敷地内に入って押しかけていることから、容疑者の行為は①家への押しかけや家の周辺をうろつく行為に当てはまると思われます。
容疑者が被害者に対してどういった感情を持っているのかは報道から読み取ることはできませんが、もしもストーカー規制法に該当するような感情を持っていた場合、①の行為はつきまとい等に該当するので、今回の事例の容疑者はストーカー行為法に違反しているといえます。

今回の事例では容疑者は容疑を否認をしていますが、報道の逮捕容疑のように禁止命令に違反して、つきまとい等の行為を行った場合、有罪になれば2年以下の懲役または200万円以下の罰金になり、禁止命令が出される前の法定刑に比べて格段に重くなってしまいます。

また、今回の事例では容疑者は略式命令による罰金30万円の判決を控訴しています。
控訴審では、今回の事例の建造物侵入罪、禁止命令に違反したつきまとい等の行為(ストーカー規制法違反)も加味して判断されることになりますので、報道内容が事実であり、なおかつ有罪になってしまった場合には罰金30万円よりも重い量刑が科されるかもしれません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を中心に取り扱う法律事務所です。
刑事事件に熟知した弁護士を付け、示談の交渉や検察官への処分交渉などを行うことにより、あなたにとってより良い結果を得られる可能性があります。
弊所では、初回接見サービスや無料法律相談を行っています。
建造物侵入罪、ストーカー規制法違反に限らず、刑事事件で捜査・逮捕されている方、ご不安な方は一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

Yahoo!ニュースに末吉弁護士のコメントが掲載されました

2022-11-02

Yahoo!ニュースに末吉弁護士のコメントが掲載されました

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 西日本統括本部長弁護士末吉弁護士(大阪弁護士会所属)が産経新聞の取材を受け、コメントが、令和4年10月26日(木)のYahoo!ニュースで紹介されています。◇

~取材の内容~

飲食店に電話で注文したにも関わらず、商品を受け取りに来ない「いたずら予約」が相次いでいる発生している問題に対して、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 西日本統括本部長弁護士末吉弁護士(大阪弁護士会所属)が取材を受けました。

~末吉弁護士のコメント~

刑事事件の観点から見た「いたずら予約」について

「今回のケースは初めから取りに行くつもりがなく、さらに嘘の番号を伝えている。悪質性が高く、偽計業務妨害罪に問われる可能性がある」とアドバイスしました。

お店の対処法について

「インターネット注文で、事前決済のみ受け付ける。」「電話予約の場合は折り返して本人確認をする。」「作り始める前に再度予約を確認する。」といった方法を提案しました。

末吉弁護士がコメントした『Yahoo!ニュース』はこちらでご確認いただけます。

【事例紹介】ストーカー規制法違反で控訴中の逮捕~建造物侵入罪

2022-10-26

【事例紹介】ストーカー規制法違反で控訴中の逮捕~建造物侵入罪

ストーカー規制法違反で控訴中に、建造物侵入罪、ストーカー規制法違反で逮捕された事件を基に、建造物侵入罪について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

滋賀県警米原署は19日、建造物侵入とストーカー規制法違反の疑いで、滋賀県彦根市の男(34)を逮捕した。
(中略)つきまといなどの禁止命令を受けたにもかかわらず、(中略)同県米原市の(中略)女性の集合住宅敷地内に入って押しかけ、禁止命令に違反した疑い。
容疑を否認しているという。
男は2月、この女性にストーカー行為をしたとして、同署に逮捕された。
大津地裁長浜支部で5月、同規制法違反の罪で罰金30万円の判決を受けたが、不服として控訴中。
(10月19日 京都新聞 「ストーカー行為で控訴中の34歳男、40代女性住居の敷地内入った疑いで逮捕」より引用)

建造物侵入罪

建造物侵入罪を簡単に説明すると、管理者などの許可なく建造物(人が現在住んでいる家や空き家などを除いた建物)に侵入すると適用される罪名です。

今回の事例では、容疑者が集合住宅の敷地内に侵入したと報道されています。
集合住宅には人が住んでいるのに、なぜ建造物侵入罪が適用されているのでしょうか。
今回の事例で建造物侵入罪が適用されている理由について解説していきます。

刑法では、現在人が日常生活を送っている建物を住居、住居用に建てられた現在人が日常生活を送っていない建物(空き家など)を邸宅と定義しています。
そして、この住居、邸宅以外の建物を建造物と定義しています。
また、生活に適した建物で “現在“日常生活を送っていれば住居にあたるので、宿泊中のホテルの一室なども住居にあたります。

では、集合住宅について考えていきましょう。

集合住宅には多数の部屋があり、空き部屋でない限りはその一室一室に人が住み、日常生活を送っています。
集合住宅の部屋(居住部分)は人が住むために建設されいるので、当然生活に適した建物だといえるでしょう。
生活に適した建物で現在生活が送られている場所は住居になるので、人が住んでいる集合住宅内の一室は住居に該当します。

次に集合住宅の共有部分について考えていきましょう。

例えば、集合住宅の廊下はどうでしょうか。
廊下は多数の人が使用するので人の出入りが多いはずですし、そもそも廊下は通行のためにあるわけですから、人がその場所で生活することは想定されていないでしょう。
そのような場所で生活をすることは困難でしょうから、人が生活するのに適しているとは言えませんし、そのような場所に住む(日常生活を送る)人もいないと思われます。
以上のことから集合住宅の廊下は住居、邸宅にはあたらないので、建造物だといえます。

廊下以外の共有部分、例えばエントランスなどであっても同様のことがいえるでしょうから、集合住宅の部屋以外は建造物だと考えても差し支えはないはずです。

ですので、集合住宅の敷地内の人が住む場所(居住部分)に侵入すれば住居侵入罪にあたりますし、それ以外の場所(空き部屋を除く)であれば建造物侵入罪が成立します。
また、許可なく住居や建造物に侵入した場合に住居侵入罪や建造物侵入罪は適用されますので、立ち入りが許可されている場合には住居侵入罪、建造物侵入罪は成立しません。

今回の事例の報道には、容疑者が集合住宅の敷地内に侵入したとしか記載されていません。
容疑者が被害者の住む部屋に侵入していれば住居侵入罪になりますし、部屋以外の場所であれば建造物侵入罪が適用されることになります。
今回の報道が事実であれば、容疑者が建造物侵入罪で逮捕されていることから、おそらく集合住宅の廊下など部屋などの居住部分以外の場所に侵入したのでしょう。

建造物侵入罪の量刑は3年以下の懲役または10万円以下の罰金です。(刑法第130条)
仮に、容疑者の男性が建造物侵入罪で有罪になってしまった場合には、3年以下の懲役か10万円以下の罰金のどちらかが科されることになります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では逮捕、捜査された方に向けて初回接見サービス、初回無料法律相談を行っています。
建造物侵入罪、ストーカー規制法違反、その他の刑事事件でお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回接見サービス、無料法律相談のご予約は0120―631―881で24時間受け付けております。

次回のコラムでは、同じ事例を用いてストーカー規制法違反について解説します。

【事例紹介】禁止区域内で性的サービス 風営法違反で逮捕

2022-10-19

【事例紹介】禁止区域内で性的サービス 風営法違反で逮捕

禁止区域内で性的サービスを提供し、風営法違反逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

滋賀県警大津署などは13日、風営法(禁止地域営業)違反の疑いで、(中略)の経営者(43)と従業員の女(30)=いずれも同市=を逮捕した。
逮捕容疑は、経営者は9月28日、風俗店の営業禁止地域にある同店の個室で、男性客に対する性的サービスを従業員の女にさせた疑い。
女はほう助した疑い。
同署によると2人は容疑を認めているという。
(10月13日 京都新聞 「客に性的サービス、個室マッサージ店経営者ら容疑で逮捕」より引用)

店舗型性風俗特殊営業

風営法では、店舗に個室を作り、その個室内で異性の客の性的好奇心に応じて性的なサービスを提供する営業を「店舗型性風俗特殊営業」として規定しています。(風営法第2条6項2号)

今回の事例では、店舗の個室内で性的なサービスを異性に提供していたとされていますが、それが事実であれば、事例の店舗は風営法上の店舗型性風俗特殊営業にあたると考えられます。

店舗型性風俗特殊営業の禁止区域

風営法第28条では、店舗型性風俗営業の禁止区域を定めています。
官公庁施設や学校、児童福祉施設などの周囲200メートルの区域内、各都道府県の条例が定める禁止地域では、店舗型性風俗営業を禁止されています。(店舗型性風俗営業について届出書を提出している場合を除きます。)

風営法に違反し、禁止区域内で店舗型性風俗営業を行って有罪になった場合は、2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金またはその両方が科されます。(風営法第49条5号、6号)

今回の事例の報道には、届け出の有無は記載されていないのでわかりませんが、もしも営業の届け出を行っていないのであれば、容疑者2人は禁止区域内で店舗型性風俗営業を行っているので、風営法に違反していることになります。

今回の事例のように逮捕されてしまった場合には、早期に弁護活動を行うことが重要になってきます。
あなたの大切な方が逮捕された際には、お早めに弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
弊所では逮捕された方に向けて初回接見サービスを行っております。
初回接見サービスのご予約は0120―631―881までご連絡ください。

(事例紹介)大津地裁 強制性交等致傷罪などで実刑判決

2022-10-12

(事例紹介)大津地裁 強制性交等致傷罪などで実刑判決

~事例~

去年5月、守山市の路上で20代の女性の体を触ったうえ、足を刺し大けがをさせたなどとして強制性交等致傷などの罪に問われた28歳の被告に対し、大津地方裁判所は「無差別的、通り魔的に犯行を繰り返した」として懲役10年の実刑判決を言い渡しました。
(中略)被告(28)は、去年5月、守山市の路上で20代の女性の体を触り、その際、包丁で女性の足を刺し、全治1か月の大けがをさせたとして強制性交等致傷の罪に問われました。
また、守山市での犯行の前に草津市の路上でも10代の女性に抱きついて体を触るなどしたとして、強制わいせつの罪などにも問われました。
(後略)
(※2022年7月27日18:09NHK NEWS WEB配信記事より引用)

~強制性交等致傷罪と刑罰の重さ~

今回取り上げた事例では、被告人の男性が、20代女性に対する強制性交等致傷罪と、10代女性に対する強制わいせつ罪の容疑で起訴され、刑事裁判の結果、懲役10年実刑判決が言い渡されたと報道されています。
強制性交等致傷罪も強制わいせつ罪も非常に重い犯罪であり、罰金刑の規定はなく懲役刑のみが定められています。
つまり、強制性交等致傷罪も強制わいせつ罪も、起訴されれば必ず刑事裁判となり、公開の法廷で有罪・無罪を争ったり、有罪の場合の刑罰の重さを判断したりすることになります。
さらに、有罪の場合には執行猶予がつかなければ刑務所に行くことになりますし、特に強制性交等致傷罪については刑罰の下限が懲役6年であることから基本的には執行猶予がつかないため(執行猶予がつくには言い渡された刑罰が懲役3年以下であることが必要)、強制性交等致傷罪で起訴され有罪となるということは、原則として実刑判決となり刑務所に行くということに繋がります。

刑法第176条(強制わいせつ罪)
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。
13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

刑法第177条(強制性交等罪)
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。
13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。

刑法第181条第2項(強制性交等致死傷罪等)
第177条、第178条第2項若しくは第179条第2項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって人を死傷させた者は、無期又は6年以上の懲役に処する。

加えて、強制性交等致傷罪は、その刑罰の中に無期懲役も含まれています。
これによって、強制性交等致傷罪の刑事裁判は、裁判員裁判となります。
裁判員裁判では、裁判官に加えて一般の方から選出される裁判員に対しても被告人の主張を訴えていく必要があります。
法律知識や刑事事件の経験のない裁判員の方々に適切に主張を理解してもらうためには、より経験と工夫が求められるといえます。

~強制性交等致傷罪の成立~

ここで今回の事例を見ると、被告人の男性は、20代女性に対して、その身体を触り足を突き刺すなどしたとされています。
報道の内容だけでは具体的な犯行を全て知ることは叶いませんから、実際には被害女性が性交等にあたる被害を受けてしまったのかもしれませんが、報道だけ見ると「性交等にあたる行為をしていないように見えるのに強制性交等致傷罪が成立するのか」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、強制性交等致傷罪の条文では、「第177条…の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって人を死傷させた」ということが強制性交等致傷罪の成立要件とされています。
つまり、「性交等」という強制性交等罪の結果が発生していない=強制性交等未遂罪を犯したにとどまる場合であっても、それによって人を負傷させてしまえば、強制性交等致傷罪の既遂となるということです。

ですから、例えば今回の事例で、被害女性が「性交等」の被害を受けていなかったとしても、強制性交等未遂罪を犯したと言える状態で、それによって被害女性が怪我を負っているのであれば、強制性交等致傷罪が成立するということになるのです。

今回の事例では、被告人は強制性交等致傷罪だけでなく、別件の強制わいせつ罪でも起訴されており、そういった部分での悪質性も加えて、懲役10年の実刑判決という判断になったのでしょう。
ここまで触れてきたとおり、強制性交等致傷罪や強制わいせつ罪は非常に重い犯罪であり、被害者に与える被害の大きさも大きい犯罪です。
被害者対応や刑事裁判に対する対応も慎重を期す必要がありますから、刑事事件化した段階から弁護士のサポートを受け、専門家のアドバイスを受けながら対応をしていくことが望ましいでしょう。

刑事事件を中心に取り扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、強制性交等致傷事件などの重大事件についてもご相談・ご依頼を承っています。
刑事事件を多数扱っているからこそ、裁判員裁判を担当した経験のある弁護士も所属しています。
裁判員裁判対象事件についても安心してご相談いただけますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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