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スクールセクハラで刑事事件に

2020-02-01

スクールセクハラで刑事事件に

スクールセクハラ刑事事件に発展したケース委について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

Aさんは、滋賀県近江八幡市にある中学校で教師として勤務していました。
ある日、Aさんは校長に呼び出されると、「Aさんの担任しているクラスのVさん(12歳)の両親が、自分の娘がAさんからスクールセクハラを受けた、滋賀県近江八幡警察署に通報すると言っている」と伝えられました。
その話はAさんにとって全く身に覚えのない話であったのですが、その後、Aさんは滋賀県近江八幡警察署強制わいせつ罪の容疑で話を聞かれることになってしまいました。
身に覚えのないことで刑事事件の被疑者となってしまい困ったAさんは、滋賀県近江八幡警察署での取調べに行く前に、刑事事件に強い弁護士に対応を相談してみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・スクールセクハラ

スクールセクハラとは、スクール・セクシュアル・ハラスメントの略称であり、学校など教育現場におけるセクハラ=性的な嫌がらせのことを指します。
スクールセクハラは、教師対生徒で起こるケースがよく取り上げられますが、教師対教師、生徒対生徒の場合でも学校などの教育現場で起こればスクールセクハラと呼ばれるようです。

・スクールセクハラは犯罪になる?

通常のセクハラでも犯罪に該当する行為であれば刑事事件となり問題になります。
当然、スクールセクハラという呼ばれ方をしていても、それが法律に触れる行為であれば刑事事件になります。
例えば、今回のAさんは強制わいせつ罪の容疑をかけられ取調べに呼ばれているようです。

刑法176条(強制わいせつ罪)
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。
13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

スクールセクハラで暴行・脅迫を用いてわいせつな行為をしていたような場合には、この条文に該当し、強制わいせつ罪に問われることになります。
また、スクールセクハラの相手が13歳未満であれば、暴行・脅迫がなくともわいせつな行為をした時点で強制わいせつ罪となることになります。
スクールセクハラの起こった場所が中学校や小学校であった場合には、特にこの刑法176条後段に該当して強制わいせつ罪となりうることにも注意が必要です。

他にも、強制性交等罪や各都道府県の迷惑防止条例違反、児童買春・児童ポルノ禁止法違反、児童福祉法違反など、スクールセクハラによって成立する可能性のある犯罪は多く存在します。
繰り返しになりますが、たとえ学校内で起こったことであっても法律に違反すれば犯罪であり、刑事事件少年事件となります。
スクールセクハラといえば聞こえは軽いかもしれませんが、捜査や逮捕の可能性が出てくるのです。

・スクールセクハラで冤罪を主張したい

上記事例のAさんは、スクールセクハラによる強制わいせつ罪の容疑をかけられ取調べに呼ばれています。
しかし、Aさんはスクールセクハラの事実について見に覚えがないと困っているようです。
Aさんの認識が正しいものであるなら、この強制わいせつ罪についてはAさんは冤罪の容疑をかけられているということになります。
今現在、Aさんは逮捕等の身体拘束はされていませんが、特にAさんのように否認をしている刑事事件では、証拠隠滅や逃亡の可能性を考慮され、逮捕による身体拘束がなされやすいと言われています。
最初は逮捕されずに取調べられていた刑事事件でも、取調べを経た後に逮捕されることもあります。
逮捕されてしまえば、周囲の人と自由に連絡を取ることもできず、Aさん本人からすれば、やっていないことを疑われ続ける環境に1人で耐え続けなければならない環境は非常に負担の大きいものです。
そうでなくともプロの捜査官相手に1人で冤罪を主張することは非常に負担の大きいことであるといえるでしょう。

こうした場合にこそ活用していただきたいのが、刑事事件に強い弁護士の存在です。
例えば、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、24時間いつでも初回無料法律相談や初回接見サービスのご依頼を受け付けています。
法律のプロから直接アドバイスをもらうことができるのは、取調べに対応していかなければならない被疑者本人にとって非常にメリットの大きいことです。
特に否認の刑事事件では、取調べの対応の仕方1つで冤罪を回避できることもありますから、冤罪に困ったらすぐにでも弁護士に相談してみることをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所弁護士によるサービスは0120-631-881でいつでもお問い合わせいただけます。
まずはお気軽にお電話ください。

少年の強盗致傷事件で逮捕②試験観察

2020-01-30

少年の強盗致傷事件で逮捕②試験観察

少年の強盗致傷事件逮捕されてしまったケースで、特に試験観察処分を目指す活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

滋賀県甲賀市に住んでいるAさん(15歳)は、普段からあまり素行がよくなく、仲良くしている友人たちと一緒に学校をさぼったり、夜遅くまで帰宅せずにうろついたりといったことを繰り返していました。
ある日、Aさんは自由に使えるお小遣いが少ないことに困り友人たちと話したところ、一緒に夜道を1人で歩いている人から財布を奪おうという話になりました。
そこでAさんらは、滋賀県甲賀市の道路を1人で歩いていたVさん(56歳)に集団で殴りかかるなどして襲い、無理矢理財布を奪いました。
財布から現金を奪ったAさんらは、これに味をしめ、付近でもう何件か同様の事件を起こしました。
しかし、Vさん等被害者から被害の申告を受けた滋賀県甲賀警察署が捜査をした結果、Aさんらの犯行であることが発覚し、Aさんは自宅を訪れた滋賀県甲賀警察署の警察官に強盗致傷罪の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんの家族は、普段から素行はよくなかったものの、まさかAさんが警察沙汰になるような事件を起こし逮捕までされてしまうとは思ってもいなかったため、慌てて弁護士に相談し、今後について詳しい話を聞くことにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・捜査段階での弁護活動

今回のAさんの事例では、強盗致傷罪という重い犯罪をして逮捕されていることももちろん気を付けなければならない点の1つなのですが、Aさんが友人たちと起こした強盗致傷事件(または強盗事件)が1件ではないということにも注意が必要です。
このように現在捜査されている事件以外にも事件を起こしている場合、つまり、いわゆる「余罪」がある場合には、理論上その余罪の数だけ逮捕や勾留が繰り返され、身体拘束が長期化することも考えられるからです。
そうなれば、捜査段階だけでも1か月以上の身体拘束をされてしまうおそれもあります。

そこで、弁護士釈放のための活動をしてもらったり、再逮捕・再勾留を防ぐための交渉をしてもらうことが重要となってくるでしょう。
今回のAさんの事例では、Aさん本人の反省やご家族がAさんの監督に協力すること、被害者の方との示談交渉等、釈放のための環境を弁護士とともに作り上げること、それを弁護士に適切に主張してもらうことによって、釈放を求めていくことが考えられます。

・家庭裁判所送致後の付添人活動~試験観察を目指す

今回のAさんのような強盗致傷事件強盗事件を何件も起こしてしまっているケースでは、最終的に少年院送致という処分が取られる可能性が考えられます。
少年事件で原則として最終的に取られる処分は、少年の更生を実現させるために適切であると考えられる処分です。
今回のAさんは、普段の素行も悪く、友人たちと一緒になって強盗事件強盗致傷事件を起こしてしまっています。
Aさんの更生のためには一度その環境からAさん自身を切り離し、再犯をしないために教育をしていく必要がある=少年院に収容して規律のある生活を送ってもらう必要があると判断される可能性があるのです。

少年院は成人の刑事事件でいう刑務所とは異なり、少年事件を起こしてしまった少年が更生するための矯正教育のための施設です。
ですから、少年院に行くことが少年事件を起こしてしまった少年にとって全くメリットのないことであるというわけではありません。
少年院で規則正しい生活を送り、生活指導や勉強についての指導、職業訓練等を受けることで立ち直っていく少年もいます。
しかし、少年院に行くということは良くも悪くも前述したように少年事件を起こすまで生活してきた環境から切り離されてしまうことになります。
ですから、それまで通り学校や職場に通うことはできなくなりますし、家族とも自由に会うことができなくなります。
一定程度の期間社会から離れて過ごすことが少年へのデメリットとなってしまうことも十分考えられるのです。

では、その少年院送致を回避するにはどういった活動が考えられるでしょうか。
今回のAさんのような事例では、まずは試験観察という処分を獲得することを目標として活動していくことが考えられます。
試験観察とは、文字通り、最終的な処分を決める前に、試験的に少年を一定期間家庭裁判所調査官の観察に付すことを指します。
例えば、少年を一定期間民間の篤志家の元に預けて生活環境を変え規則正しい生活を送らせる等し、その間家庭裁判所調査官が少年にアドバイスや面接等を重ねるといった例が挙げられます。
こうした試験観察期間中、家庭裁判所調査官は少年が自分自身の問題と向き合えているか、改善しようとできているか等を観察し、その観察結果も踏まえて少年に対する最終的な処分を決定するのです。

試験観察は、少年事件で少年に対する最終処分を直ちに決めることが難しいと判断された場合に付されます。
つまり、少年院送致が見込まれるような少年事件であっても、少年が更生できる環境を整え、まずは様子を見てほしいと試験観察を目指し、試験観察期間中に少年の更生が社会内でも可能であることを示すことができれば、少年院送致を回避できる可能性もあるということなのです。
仮に少年院送致となってしまった場合であっても、少年が戻ってくる環境を整えておくことは今後のためにも重要ですから、試験観察の獲得を目指すことも兼ねて、弁護士と協力しながら少年の更生に適切な環境を作っていくことが重要でしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件だけでなく少年事件も専門的に扱う法律事務所です。
強盗致傷事件などの重大な少年事件にお困りの際や、少年事件試験観察を目指したいとお悩みの際は、一度弊所弁護士までご相談ください。

少年の強盗致傷事件で逮捕①強盗致傷罪

2020-01-28

少年の強盗致傷事件で逮捕①強盗致傷罪

少年の強盗致傷事件で逮捕されてしまったケースの、特に強盗致傷罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

滋賀県甲賀市に住んでいるAさん(15歳)は、普段からあまり素行がよくなく、仲良くしている友人たちと一緒に学校をさぼったり、夜遅くまで帰宅せずにうろついたりといったことを繰り返していました。
ある日、Aさんは自由に使えるお小遣いが少ないことに困り友人たちと話したところ、一緒に夜道を1人で歩いている人から財布を奪おうという話になりました。
そこでAさんらは、滋賀県甲賀市の道路を1人で歩いていたVさん(56歳)に集団で殴りかかるなどして襲い、無理矢理財布を奪いました。
財布から現金を奪ったAさんらは、これに味をしめ、付近でもう何件か同様の事件を起こしました。
しかし、Vさん等被害者から被害の申告を受けた滋賀県甲賀警察署が捜査をした結果、Aさんらの犯行であることが発覚し、Aさんは自宅を訪れた滋賀県甲賀警察署の警察官に強盗致傷罪の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんの家族は、普段から素行はよくなかったものの、まさかAさんが警察沙汰になるような事件を起こし逮捕までされてしまうとは思ってもいなかったため、慌てて弁護士に相談し、今後について詳しい話を聞くことにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・強盗致傷罪

今回のAさんは強盗致傷罪の容疑で逮捕されていますが、人に暴行して財布などの金品を奪えば強盗罪が、さらにその強盗行為の際に人に怪我をさせてしまえば強盗致傷罪が成立することが考えられます。

刑法236条1項(強盗罪)
暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。

刑法240条(強盗致傷罪)
強盗が、人を負傷させたときは無期又は6年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。

強盗罪が成立するには、相手の抵抗を押さえつける程度の強さの「暴行又は脅迫」を用いて他人の財物をその人の意思に反して奪うことが必要です。
「暴行」は有形力の行使のことを指していますから、今回のAさんらのように通行人に対して殴りかかるといった行為はまさに「暴行」であるといえるでしょう。
なお、こうした直接人に向けた「暴行」以外にも、物に対して向けた「暴行」(=間接的な人に対する「暴行」)でも強盗罪の「暴行」にあたることにも注意が必要です。
今回のAさんらは、数人で通行人に襲い掛かっていますから、通行人の抵抗を押さえつけるほどの強さの「暴行」を用いてその財物=財布等の金品を奪っていると考えることができます。
ですから、まずAさんらには強盗罪の成立が考えられるところです。

しかし、今回のAさんらの逮捕容疑は強盗致傷罪です。
条文を見て分かるように、強盗致傷罪は「強盗が」「人を負傷させたとき」に成立する罪です。
「強盗が」とは、「強盗犯人が」という意味です。
つまり、強盗犯人ではない人が誰かを怪我させてしまったとしても強盗致傷罪が成立することにはなりません。
ですが、先ほどまで見てきた通り今回の事例のAさんらには強盗罪が成立すると考えられますので、Aさんらはこの「強盗が」という条文に該当することになります。
そして強盗致傷罪の「人を負傷させたとき」とは、そのまま他人に傷害を加えてしまった時ということを指します。
今回の事例の中では、Vさんら被害者が怪我をしてしまったという詳しい描写はありませんが、おそらく事件後に被害者から診断書等が出され、被害者が怪我をしていることが分かったために強盗致傷罪の容疑となったのでしょう。

ただし、強盗犯人がいつ人に怪我をさせてしまっても強盗致傷罪が成立するのだということではありません。
強盗致傷罪が成立するためには、傷害の結果は強盗の機会に行われた行為から生じたものでなければならないとされています。
すなわち、例えばAさんらが強盗事件を起こし、その後に全く関係のないところで喧嘩となり相手に傷害を負わせたとしてもそれは強盗致傷罪とはならないのです。

・強盗致傷罪は重い犯罪?

強盗致傷罪は、その法定刑が「無期又は6年以上の懲役」となっていることからも、非常に重い犯罪であることがわかります。
法定刑に無期懲役が含まれていることから、強盗致傷罪で起訴されれば裁判員裁判を受けることにもなります。
Aさんのような少年事件では原則として起訴されることも刑罰を受けることはありませんが、それでもこれだけの重い犯罪を行ってしまったことから、それまでの環境に大きな問題があると考えられる可能性は高いでしょう。
なお、少年事件であっても「逆送」されて強盗致傷罪で起訴されれば裁判員裁判を受けることになります。
だからこそ、子どもが強盗致傷事件逮捕されてしまったら、早めに弁護士に相談し、早い段階からできる活動と準備を重ねていくことが大切なのです。

では、こういった少年事件ではどういった活動が考えられ、どういった処分を目指していくことになるのでしょうか。
次回の記事で詳しく取り上げます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、強盗致傷事件のような重大犯罪の少年事件刑事事件のご相談・ご依頼も承っています。
強盗致傷事件で子どもが逮捕されてしまったら、まずは弊所弁護士までご相談ください。

恋人に連絡先を消させるデートDVで強要事件に?

2020-01-26

恋人に連絡先を消させるデートDVで強要事件に?

恋人に連絡先を消させるデートDV強要事件に発展してしまったケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

高校生のAくん(17歳)は、Aくんと同じ滋賀県守山市にある高校に通う同級生のVさん(17歳)と交際しています。
Aくんは、恋人であるVさんのことを好意的に思うあまり、Vさんに自分以外の異性と接してほしくないと思うようになりました。
そこで、AくんはVさんのスマートフォンや、入っている無料通話アプリやSNSアプリに登録されているAくん以外の男性の連絡先をAくんの目の前で消すように言いました。
しかし、Vさんは「そんなことする必要はないだろう」とAくんの要求に全く取り合わない様子でした。
VさんがAくんの要求を拒否したことでAくんはかっとなり、近くにあった机を蹴りつけ、再度Vさんに連絡先を目の前で消すよう言いました。
VさんはAくんの様子に怖くなり、Aくんの要求通り連絡先を消しました。
その後、Vさんはもしかしら今後はもっとひどいことをAくんに要求されるのではないか、と不安になって滋賀県守山警察署に相談に行きました。
そしてそのVさんの相談がきっかけで、Aくんは強要罪の容疑で滋賀県守山警察署で取調べを受けることになりました。
(※この事例はフィクションです。)

・恋人に連絡先を消させて強要事件に?

今回のAくんは、Vさんに好意を寄せるあまり、Vさんに自分以外の異性の連絡先を消すよう要求し、実行させています。
単なる恋人同士のすれ違いやトラブルのようにも見える今回の事例ですが、実はこういった行為は「デートDV」とも呼ばれており、軽く考えてはいけない問題なのです。
単純にDV(ドメスティックバイオレンス)といった場合には家庭内暴力のことを指すのに対し、デートDVとは結婚前の恋人同士での間で起こる暴力のこと、つまり、交際中の相手に身体的・精神的・性的に暴力を与える又は受けることを指します。
DVというと、先ほど挙げた家庭内暴力、すなわち夫婦の間や親子の間、兄弟間での暴力というイメージがありますが、デートDVは若い恋人たちなどの中で起こってしまうDVの話なのです。

今回の事例のAくんは、Vさんに無理矢理自分以外の男性の連絡先を消させていますが、これはつまり、Vさんがしたくないことを無理矢理実行させているということです。
こうした行為によって、Aくんが容疑をかけられている強要罪が成立する可能性が出てきます。

刑法223条(強要罪)
生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、3年以下の懲役に処する。

強要罪の条文にある「暴行」は、直接相手に振るわれるものでなくとも「暴行」であると認められます。
例えばAくんの事例では、近くにあった机を蹴りつけることでVさんを畏怖させています。
こうした間接的な暴行でも、「暴行を用いて」いると判断される可能性があるのです。
加えて、VさんがAくんの言う通りに連絡先を消すことは、もちろんVさんにとって義務のあることではありません。
誰の連絡先を登録して誰と連絡を取るかは、基本的には個人の自由であるはずです。
こうしたことから、今回のAくんの行為は強要罪にあたる可能性があるといえるのです。

このように、デートDVは通常のDV同様、相手に直接暴力をふるうことだけではありません。
そして、こちらも通常のDVと同様、法律に「デートDV」という言葉が使われ、行為が禁止されたり犯罪とされているわけではありません。
Aさんの行為が強要罪に当たりうるように、デートDVの態様によって刑法やその他の法律に定められている犯罪がそれぞれ適用されうるということになります。
デートDVの場合、一見DVという言葉とは関わりのないようにも思えるAさんとVさんのような若い恋人たちが少年事件の当事者になってしまうことも考えられます。
デートDVをしないように気を付けたり見守ったりすることはもちろん、もしもデートDVに関わる少年事件を起こしてしまったら、少年事件に強い弁護士に相談し、少年事件自体への対応はもちろん、今後どのようにして同じことを繰り返さないようにしていくかという活動にも取り組んでいくことが望ましいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件少年事件専門の弁護士初回無料の法律相談を行っています。
まずは話だけしてみたいという方も、初回無料でご利用いただけますから、お気軽にご相談いただけます。
お問い合わせは0120-631-881で24時間いつでも受け付けておりますので、遠慮なくお電話ください。

SNSでの名誉毀損事件③

2020-01-24

SNSでの名誉毀損事件③

SNSでの名誉棄損事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

Aさんは、滋賀県草津市にある勤め先の同僚Vさんとその上司が不倫関係にあることを知りました。
日頃からVさんのことをよく思っていなかったAさんは、Vさんが上司と不倫している旨の書き込みをSNS上にて公開しました。
Vさんはその書き込みに気が付くと、滋賀県草津警察署へ被害届を提出しました。
そして、被害届を受けた滋賀県草津警察署はVさんに対する名誉毀損事件として捜査を開始しました。
滋賀県草津警察署の捜査により、書き込みを行った人物がAさんであることが判明し、滋賀県草津警察署はAさんについて名誉毀損罪の容疑で在宅での捜査を行うこととしました。
(※事例はフィクションです。)

・名誉棄損事件と在宅捜査

本件では、Aさんは逮捕・勾留による身柄拘束を伴わない在宅捜査を受けています。
身柄を拘束されていない以上、以前と同じように社会生活を送ることができることが多いですが、その一方で身柄事件と比較して捜査が長引く傾向にあります。

逮捕・勾留による身体拘束は、被疑者を強制的に拘束するものですから、被疑者の人権を侵害している手続です。
そのため、逮捕・勾留がむやみやたらに長くなることのないよう、逮捕・勾留には厳格な時間制限が設けられているのです。
ですから、逮捕・勾留が伴う捜査を受けている場合には弁護士に釈放を求める活動を依頼していくなど迅速に対応していく必要がある反面、捜査をする側にも時間制限があるため、起訴・不起訴等の判断が下される時期のめどが立てやすいといえます。

一方、今回のAさんの名誉毀損事件のように、在宅捜査の場合には、特に捜査について時間制限があるわけではありません。
ですから、捜査の進みが逮捕・勾留されている刑事事件と比べてゆっくり進んでいく傾向があるのです。
しかし、だからといって楽観視してよいというわけではもちろんありません。
在宅捜査されている刑事事件であっても、起訴されれば裁判を受けることになりますし、罰金刑であっても受ければ前科となります。
在宅捜査の場合、時間の制約がない分、自分の刑事事件の手続きが今どういった段階なのか分かりづらいこともあります。
逮捕されていないからといって放置するのではなく、まずは弁護士に相談してみましょう。

・名誉棄損事件と示談

名誉毀損事件の弁護活動で重要なものの1つとしては、示談交渉が挙げられます。
今回のように、名誉毀損行為の被害者が知人である場合、Aさん自身でVさんとの示談交渉に臨むことも可能ではありますが、名誉毀損事件の当事者同士が直接交渉を行う場合は、却って紛糾してしまう場合もあります。
特に名誉棄損事件では、名誉毀損行為によって被害者のデリケートな事情に踏み入ってしまっているケースもあり、なかなかお互い冷静な話し合いをすることは難しいと考えられます。
弁護士に依頼するということは、そうした当事者間のクッションを設けることで、よりスピーディーで適切な交渉を行うことが期待できるのです。

名誉毀損罪は、被害者が「告訴」をしなければ起訴されない親告罪です。
起訴される前に示談締結によって告訴をしないことを約束してもらったり、告訴を取り下げてもらったりできれば、不起訴処分を獲得することもできます。
起訴後の示談締結であっても刑罰の重さを判断する際には有利にはたらくと考えられますが、有罪判決を受けて刑罰を受けてしまえば前科もついてしまいますから、やはり早い段階で弁護士に相談し、起訴前の示談締結を目指すことが望ましいといえるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件専門の弁護士が多数在籍しております。
SNSの普及により、気軽にしてしまった行為が簡単に名誉毀損罪となってしまうことも考えられる環境となりました。
少しでもお心当たりの方は、まずは弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご連絡ください。
24時間体制の電話受付にて、無料相談のご予約のお電話を承っております(0120-631-881)。

SNSでの名誉毀損事件②

2020-01-22

SNSでの名誉毀損事件②

SNSでの名誉棄損事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

Aさんは、滋賀県草津市にある勤め先の同僚Vさんとその上司が不倫関係にあることを知りました。
日頃からVさんのことをよく思っていなかったAさんは、Vさんが上司と不倫している旨の書き込みをSNS上にて公開しました。
Vさんはその書き込みに気が付くと、滋賀県草津警察署へ被害届を提出しました。
そして、被害届を受けた滋賀県草津警察署はVさんに対する名誉毀損事件として捜査を開始しました。
滋賀県草津警察署の捜査により、書き込みを行った人物がAさんであることが判明し、滋賀県草津警察署はAさんについて名誉毀損罪の容疑で在宅での捜査を行うこととしました。
(※事例はフィクションです。)

・名誉毀損罪で罰せられないこともある?

前回の記事では、Aさんが容疑をかけられている名誉毀損罪について詳しく触れていきました。

刑法230条1項(名誉毀損罪
公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。

しかし、実は前回までの記事で見てきた名誉毀損罪成立の条件に当てはまる行為であっても、全て罰せられるという訳ではありません。
次の条文に該当した場合には名誉毀損罪で処罰されないことになります。

刑法第230条の2
1項 前条第1項の行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。
2項 前項の規定の適用については、公訴が提起されるに至っていない人の犯罪行為に関する事実は、公共の利害に関する事実とみなす。
3項 前条第1項の行為が公務員又は公選による公務員の候補者に関する事実に係る場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。
(※注:「前条第1項」とは、名誉毀損罪が定められている刑法230条1項のことを指します。)

刑法230条の2の1項にある「公共の利害に関する事実」(事実の公共性)とは、多数一般の利害に関する事実、つまり、公共の利益に役立つ事実をいいます。
もっとも、「公共」といっても社会全体のことに関する事実のみ指しているわけではなく、一定のグループのみの利益に関する事実は当該グループ内において公表する場合にのみ公共性を肯定できるとして、「公共」概念の相対性を認められています。

刑法230条の2の2項でいう「公訴が提起されるに至っていない人の犯罪行為に関する事実」は、先ほど取り上げた「公共の利害に関する事実」=多数一般の利害に関する事実、つまり、公共の利益に役立つ事実であるとみなされるということになります。

一方、刑法230条の2の3項では、名誉毀損罪にあたる行為が公務員や公選による公務員の候補者(例えば市議会議員候補者等)に関する事実に関わるものである場合について定めています。
この場合、刑法230条の2の1項で取り上げた「公共の利害に関する事実」であるかどうか=「事実の公共性」があるかどうかに加えて、「目的の公共性」も存在するものとみなされる結果、名誉毀損行為によって摘示された「事実」が真実かどうかの判断のみで名誉毀損罪として罰せられるかどうかが判断されます。

なお、刑法230条の2の1項にある「その目的が専ら公益を図る」とは、公益を図ることが主たる動機であればよいとされています。
真実性の証明ができた場合には、刑法第230条の2第1項により、名誉毀損罪によって罰せられることはありません。

・真実だと思って名誉毀損行為をしていた場合

では、名誉毀損行為をした人が、本当は嘘の「事実」であったにもかかわらず、摘示した「事実」は真実であると信じて名誉毀損行為をしていた場合はどのような結果になるのでしょうか。
この場合、「事実」についての裏付けもしていない軽率な言論行為についてまで、「名誉毀損行為をした人が真実であると思っていた」という点のみで名誉毀損罪として処罰しないとすれば、名誉保護の観点から妥当ではありません。
そのため、証明可能な程度の資料・根拠をもってその「事実」を真実であると誤信していた場合にのみ、名誉毀損罪によって処罰しないこととされています。

なお、今回のAさんは、あくまでVさんを快く思っていなかったことから不倫の事実をSNSに書き込んでいます。
これは公益を図ることが主な動機であるとは言えませんし、Vさんもその上司も公務員や公選による公務員の候補者というわけではなさそうです。
ですから、Aさんの名誉毀損事件では、刑法230条の2は適用されないと考えられます。

名誉毀損事件では、刑法230条の2が適用されるかどうかを争う複雑な事案も存在します。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件専門弁護士がそういった複雑な刑事事件のご相談にも丁寧に対応いたしますので、まずはお気軽にご連絡ください(フリーダイヤル:0120-631-881)。

SNSでの名誉毀損事件①

2020-01-20

SNSでの名誉毀損事件①

SNSでの名誉棄損事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

Aさんは、滋賀県草津市にある勤め先の同僚Vさんとその上司が不倫関係にあることを知りました。
日頃からVさんのことをよく思っていなかったAさんは、Vさんが上司と不倫している旨の書き込みをSNS上にて公開しました。
Vさんはその書き込みに気が付くと、滋賀県草津警察署へ被害届を提出しました。
そして、被害届を受けた滋賀県草津警察署はVさんに対する名誉毀損事件として捜査を開始しました。
滋賀県草津警察署の捜査により、書き込みを行った人物がAさんであることが判明し、滋賀県草津警察署はAさんについて名誉毀損罪の容疑で在宅での捜査を行うこととしました。
(※事例はフィクションです。)

そもそも、今回のAさんが容疑をかけられている名誉毀損罪とはどのような犯罪なのでしょうか。
名誉毀損罪の条文を見てみましょう。

刑法230条1項
公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。

・名誉毀損罪と「公然と」の意味

名誉毀損罪の条文にある「公然と」とは、不特定又は多数人が認識し得る状態のことをいいます。
このうち、「不特定」の人とは、相手方が特殊の関係によって限定された範囲に属する者でないことをいいます。
例えば、公開の場所や公道における演説会、雑誌やインターネットで事実を摘示すれば、無関係の人たちがその事実を認識することになるわけですから、「不特定」の人が見るものだといえるでしょう。
一方、「多数人」とは、単なる複数ではなく、相当の多数を意味するものとされています。

つまり、名誉毀損罪においては、特定されていても多数であれば「公然と」という状況であり、不特定であれば少数でも「公然と」という状況となることになります。
もっとも、形式上は公然には当たらない場合、つまり特定かつ少数の場合であっても、それが不特定又は多数人へと伝播する可能性があるときには、「公然と」に当たると判例は解していますから、名誉毀損罪の「公然と」という条件に当てはまるのかどうかの判断にも、専門的な知識や経験が必要となってくるでしょう。

今回のAさんはSNSに書き込みをしていますが、SNSはまさにインターネットがつながっていれば誰でもアクセスできるツールですから、「不特定」又は「多数人」にその書き込みを認識し得る状態にしているといえるでしょう。
すなわち、Aさんは名誉毀損罪の「公然と」という条件を満たしていることになります。

・名誉毀損罪と「事実を適示し」の意味

名誉毀損罪の条文に戻り、次は「事実を摘示」するという言葉に注目してみましょう。
これは、人の社会的評価を低下させるに足りる具体的な事実を表示することをいいます。

名誉毀損罪における「事実」とは、人格的価値にかかわる事実のみならず、プライバシーに属する事実も含みます。

さらに、摘示された「事実」は、必ずしも非公知のものであることは必要ではなく、公知の事実であっても構いません。
公知といっても、まだ知らない人がいないとはいえず、また、公知によって低下した社会的評価のさらなる悪化の可能性もあるからです。
また、「事実の有無にかかわらず」とあるため、「事実」は真実である必要ではなく、嘘や虚偽の「事実」であっても名誉毀損罪の処罰対象になりますし、逆に言えば本当のことであっても社会的評価を落とす「事実」であれば名誉毀損罪として処罰される可能性があるのです。
「嘘を広められた」「嘘によって誹謗中傷された」ということで名誉毀損罪が成立するイメージのある方もいるかもしれませんが、名誉毀損罪の成立には、基本的には「事実」が本当かどうかは関係ないのです(例外として次回の記事で取り上げる刑法230条の2があります。)。

今回のAさんの事例で考えてみましょう。
不倫をするということは、一般的に倫理に反することであると思われています。
さらに、AさんはVさんが誰と不倫をしているのかも具体的に示しています。
こうしたことから、AさんがSNSで示したVさんの不倫の事実は、人の社会的評価を低下させるに足りる具体的な事実であると考えられそうです。

・名誉毀損罪と「毀損」の意味

それでは、名誉毀損罪の条文にある「名誉を毀損した」とはどういったことを指すのでしょうか。
一般的には、事実を摘示して人の社会的評価が害される危険を生じさせることであるとされています。
そして、ここで注意すべきなのは、名誉毀損罪が成立するには、あくまで人の社会的評価が害される危険が生じればよく、実際に社会的評価が下がったということは必要ないということです。

今回のAさんの事例では、Aさんは不倫という一般的に許されていないことをVさんがしているという事実をSNS上で摘示しています。
一般的に倫理に反すると考えられている不倫をしていると知られれば、Vさんの社会的評価が下がる可能性はあるでしょう。
先述したように、名誉毀損罪では人の社会的評価が下がる危険が生じていれば「毀損」にあたるため、Aさんの行為は名誉毀損行為であると考えられるのです。

このように、名誉毀損罪1つとっても、該当する条文に明記されていない解釈があり、自分の関わっている刑事事件と1つ1つ照らし合わせながら考えていく必要があります。

刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、わかりにくい刑事事件についても弁護士が丁寧にご説明いたしますので、まずは遠慮なくご相談ください。

成人式で新成人が暴行事件

2020-01-18

成人式で新成人が暴行事件

成人式新成人暴行事件を起こしてしまったケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

Aさん(20歳)は、滋賀県大津市で開かれる成人式に参加する新成人でした。
Aさんは、成人式の前から同級生たちと飲酒しており、酔っぱらって気が大きくなっていました。
すると、成人式の参加者である新成人Vさんと肩がぶつかったことがきっかけで口論となり、AさんはVさんを突き飛ばすなどの暴行を加えてしまいました。
周囲の人が通報し、Aさんは滋賀県大津警察署暴行罪の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんの家族はAさんが成人式の会場でAさんが暴行事件を起こし逮捕されたと滋賀県大津警察署から連絡を受けました。
そこで、Aさんの家族は速やかに接見に向かってくれる弁護士を探し、逮捕されているAさんのもとへ行ってもらうことにしました。
(※令和2年1月13日産経新聞配信記事を基にしたフィクションです。)

・成人式で暴行事件を起こしてしまった…

1月13日は成人の日でした。
この記事を読んでいる方の中にも、成人式に参加した新成人の方や新成人のご家族・ご友人がいるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回の事例は、そんな新成人を祝う成人式での刑事事件です。
成人となればお酒も飲むことができますし、さまざまな制約がなくなります。
しかし、それと同時に、成人すればそれだけの責任も負うことになります。

20歳となって成人すると、犯罪をしてしまった時に少年事件ではなく刑事事件として取り扱われることとなります。
ですから、新成人のうちすでに20歳になっている人たちについては、成人式で犯罪を起こしてしまえば刑事事件として取り扱われることになります(成人式時点でまだ19歳の新成人もいるかと思いますが、その場合は少年事件として取り扱われます。ただし、20歳を過ぎてしまえば刑事事件として取り扱われることとなるため、注意が必要です。)。
少年事件と刑事事件の具体的な違いとしては、少年事件では原則として刑罰を受けることはなく、少年の更生のための処分(保護処分)を受けますが、刑事事件では有罪になれば刑罰を受けることになることとなり、それは前科となること等が挙げられます。
さらに、刑事事件の場合、事件の内容によっては報道機関によって実名報道がなされる場合もあります。

Aさんのように、成人式の新成人同士の喧嘩で暴行を振るってしまった場合、刑法の暴行罪が成立することになるでしょう。

刑法208条(暴行罪)
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

さらに、暴行の結果、相手が怪我を負ってしまったような場合には、刑法の傷害罪が成立します。

刑法204条(傷害罪)
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

今回の事例のAさんは暴行罪の容疑で逮捕されていますが、Vさんの怪我が判明し診断書が出たような場合には、容疑が暴行罪から傷害罪へと切り替わることも考えられます。

なお、Aさんの暴行相手が警備中の警察官等、職務中の公務員であった場合には、刑法の公務執行妨害罪が成立することになることにも注意が必要です。

刑法95条(公務執行妨害罪)
公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。

・暴行事件と弁護活動

暴行事件には、Vさんのような被害者がいます。
暴行事件の弁護活動としては、まずは被害者への謝罪やその被害の弁償をし、示談交渉をすることが考えられるでしょう。
Vさんがすでに成人済の新成人であれば、弁護士はVさんと示談交渉をすることになりますし、仮にVさんがまだ19歳の新成人であれば、Vさんの保護者である両親等と示談交渉をすることになるでしょう。
知人同士で連絡先が分かっている間柄であれば謝罪をしやすいかもしれませんが、成人式でたまたま顔を合わせただけの関係であれば、謝罪をしようにも連絡の取りようがありません。
通常、警察等の捜査機関は被害者の同意なしに被害者の個人情報を加害者側に教えることはしませんから、弁護士を通じて示談交渉ができないか打診していくことが望ましいでしょう。

また、Aさんは暴行罪の容疑で逮捕されてしまっています。
刑事事件の捜査段階では、逮捕を含めて最長23日間の身体拘束がなされる可能性があります。
それだけの期間身体拘束されてしまうことは、就学先や就職先に迷惑をかけてしまうだけでなく、就学先・就職先に居られなくなってしまう可能性も出てきてしまうことになります。
だからこそ、早い段階で弁護士に釈放を求める活動を始めてもらう必要があるのです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に迅速に対応できるよう、お問い合わせを24時間いつでも受け付けています。
土日祝日も変わらずお問い合わせいただけますので、刑事事件にお困りの際はお気軽に、お早めにご連絡ください。
(フリーダイヤル:0120-631-881

裁判員裁判と公判前整理手続

2020-01-12

裁判員裁判と公判前整理手続

裁判員裁判公判前整理手続について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

滋賀県長浜市に住むAさんは、自宅近くで起きた殺人事件の被疑者として、滋賀県木之本警察署に逮捕されました。
その後起訴され、裁判員裁判を受けることになったAさんですが、自身の弁護人としてついている弁護士から、裁判員裁判の前に、公判前整理手続という手続きがあることを説明されました。
AさんもAさんの家族も、公判前整理手続という聞きなれない言葉に不安を感じたため、弁護士に詳しく話を聞くことにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・公判前整理手続とは

裁判員裁判が行われる際、その裁判期日の前に必ず実施されるのが、公判前整理手続と呼ばれる手続きです。
公判前整理手続とは、裁判そのものではなく、裁判のために、争点や証拠を整理し、裁判の計画を立てるための手続です。
通常の裁判では、公判前整理手続が行われることも行われないこともあります。
事件の内容が複雑であったり、被告人が容疑を否認していたり、証拠や証人の数が多くなったりしている刑事事件の場合、公判前整理手続が開かれることも珍しくはありません。
一方、被告人が容疑を認めていたり、特に複雑な事情がなかったりすれば、公判前整理手続が取られずに裁判が行われていくことも多いです。
しかし、裁判員裁判では、一般の方が裁判員として参加することになります。
裁判員として参加するのは一般の方であるため、法律的な争いがわかりづらく、さらに裁判員裁判は公判が集中的に開かれるため、1週間以上毎日公判がある、ということもあります。
そのような裁判員として裁判に参加する方々の負担を軽減するため、また、そのために連日裁判が行われることを可能にするため、この公判前整理手続が必ず行われることとなっているのです。

では、公判前整理手続では具体的にどのようなことを行うのでしょうか。
公判前整理手続では、裁判所と検察官、弁護士が、前述のように、審理計画を立てるために証拠や争点を整理し、絞り込みます。
被告人自身が公判前整理手続に出席するか否かは、弁護士と相談して決めることとなります。

公判前整理手続の場では、本当に裁判で争うべきポイントはどこなのか、どの証拠を裁判で調べるべきなのか等が議論されます。
どういった争点や証拠が裁判で争われるのかは、被告人の処分に大きく影響します。
ですから、裁判員裁判となる場合、公判前整理手続にもきちんと対応できる弁護士に相談・依頼することが重要なのです。
裁判員裁判になる刑事事件は重大な犯罪であることが多いため、そういった意味でも弁護士への相談が重要でしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件を専門に扱う弁護士が、刑事弁護活動を行います。
もちろん、裁判員裁判公判前整理手続についても、対応が可能です。
刑事事件専門だからこその知識と経験を活かし、依頼者様の利益を守るために活動いたします。
まずは0120-631-881からお問い合わせください。

滋賀県長浜市の名誉毀損事件

2020-01-10

滋賀県長浜市の名誉毀損事件

滋賀県長浜市名誉棄損事件について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【事例】

Aさんは,滋賀県長浜市の居酒屋で開かれた会社の飲み会に参加しました。
飲み会の終盤で,上司のVさんが店員と揉めだし,その店員を殴り全治2週間の怪我を負わせました。
日頃からVさんによるパワハラに耐えかねていたAさんは,この事実を記載しVさんは乱暴者だという内容のビラを社内の掲示板に貼り出しました。
Vさんが滋賀県長浜警察署に相談したことで,名誉毀損罪による立件を念頭に,滋賀県長浜警察署が捜査を始めました。
その噂を聞いたAさんは,自身が名誉毀損罪の容疑で逮捕されるのかもしれないと怖くなり,弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

【名誉毀損罪】

人の名誉を傷つけたり,人を侮辱することはそれぞれ名誉毀損罪や侮辱罪などによって処罰の対象となります。
事実の適示によらず,単に軽蔑の価値判断を示すことによって名誉を害した場合には侮辱罪の適用が考えられますが,今回はVさんによる店員への暴行(傷害)行為という事実を示しているので,名誉毀損罪の適用が最も濃厚といえます。

刑法第230条第1項

公然と事実を適示し,人の名誉を毀損した者は,その事実の有無にかかわらず,3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。

名誉毀損罪における名誉とは,人に対する社会的評価を意味します。
例えば,ある人が特定の女性と親密に交際しているという事実は,それを公表することによってその人の社会的評価を下げるものではないですが,その関係がいわゆる不倫であると示すときは倫理的・道徳的非難を含むことになり名誉毀損行為となる場合があります。

今回の事件のように,被害者が過去に犯した犯罪の事実についても,それが公になると被害者の社会的評価は下がるものと考えられますので,名誉棄損行為に当たるとされる場合が多いです。

名誉棄損罪の成立において,示された事実は,それが真実であることを要しません。
つまり,本当にあったことでなくとも,あるいは本当であったことでも,その事実を述べることにより被害者の社会的評価が害される危険を持つものであれば名誉棄損罪の処罰の対象となり得るということです。

また,名誉棄損罪の成立の際,実際に被害者の名誉が害される必要はありません。
それは,名誉を害するような行為があったとしても,その行為によって被害者の社会的評価が低下したことを確認するのはほとんど不可能だからです。
そこで,名誉毀損罪が成立するためには名誉が実際に侵害されたことは必要とされず,侵害の危険が生じたことで十分とされています。
加えて,社会的評価を下げるのに適した行為をすることで侵害の危険が生じたものとされ,実際に具体的な侵害の危険が生じることは必要とされません。

一方,名誉毀損罪の成立要件となる行為には公然性が必要とされています。
公然とは,不特定または多数の人が知ることのできる状態をいいます。
ただし,判例によれば,事実を示した相手が特定かつ少数人に止まる場合であっても,そこから他の人に伝播し最終的に不特定多数者が認識し得る可能性があれば公然性が認められるとされています(最判昭和34・5・7刑集13巻5号641頁)。

加えて,名誉棄損罪の成立には事実を適示されることによって社会的評価が害される人物が特定されていることも必要です。
つまり,「日本人」や「滋賀県民」などといった漠然とした表示では特定性を欠くことになり,被害者の氏名やその者とはっきりと分かる属性が示されていなければ名誉毀損罪は成立しません。

さて,今回のAさんはVさんの店員に対する暴行を示しています。
暴行行為は暴行罪等で処罰される犯罪にあたりうるので,この事実を示されたVさんの社会的評価は害されたものといえます。
AさんはVさんの暴行行為に関するビラを社内の掲示板のみに貼っており,公然性が問題になり得ますが,会社には社外の人間も多く出入りし,さらには判例の理論に則れば,ビラを見た人物が周囲の人物に拡散してしまう可能性も否定できず公然性も認められるでしょう。
したがって,Aさんの行為は名誉毀損罪に当たり得るものといえます。

【真実性の証明】

刑法第230条の2は第1項で「前条(230条)第1項の行為が公共の利害に関する事実に係り,かつ,その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には,事実の真否を判断し,真実であることの証明があったときは,これを罰しない」と定めています。

同条第2項によって,公訴前の犯罪行為に関する事実は公共の利害に関する事実とみなされるので,Aさんが起訴された場合はこの規定を利用することにより名誉毀損罪の成立を回避することが考えられます。

ただし,主たる目的が公益を図るところになければならないため,Aさんが既にパワハラへの報復目的であったことを示している場合は真実性を証明することによる処罰回避は難しくなります。

【活動の方針】

名誉毀損罪は親告罪なので,Vさんの告訴がなければ起訴されません。
Vさんは既に滋賀県長浜警察署へ相談していますが,告訴されているかは不明です。
さらには,起訴される前であれば告訴を取り消すことができるので,Vさんと早めに示談をして告訴しない(あるいは取り下げる)ようにすることができれば起訴を回避することができます。

示談交渉を当事者のみで行う場合,成立までにかかる時間やその内容などで多くの負担を要します。
また,被害者が加害者と接触することを拒み,交渉を開始することができないケースも多いです。
お早めに弁護士に依頼していただくことで,そういった負担を軽減し,依頼者様により有利な内容で示談を成立させる可能性を飛躍的に高めることができます。

名誉毀損罪の被疑者となってしまった方,滋賀県長浜警察署で取調べを受けることになってしまった方はお早めに刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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