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自動車による監禁事件

2019-12-17

自動車による監禁事件

自動車による監禁事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

滋賀県甲賀市に住むAさんは自身の車で知人Vさんを送っている途中、Vさんが降ろしてほしいと言ったにも関わらず車を走行させ続けました。
AさんはVさんの再三の要請も無視して、Vさんが最初に降りたいといった時点から1時間経過したのち、Vさんに滋賀県甲賀警察署に通報すると言われ、ようやくVさんを車から降ろしました。
その後、VさんはAさんの行為に恐怖を感じ、滋賀県甲賀警察署に被害届を出すと言ってるようです。
Aさんはどうしてよいか不安になり、弁護士に相談することにしました。
(事例はフィクションです。)

~自動車から降ろさなかったら何罪?~

今回のAさんの行為は、刑法の監禁罪にあたる可能性のある行為です。

刑法第220条(逮捕及び監禁)
不法に人を逮捕し、又は監禁した者は3月以上7年以下の懲役に処する。

監禁罪の保護法益(=守っている権利や自由)は、「身体の場所的移動の自由」であり、強制的に移動させられれば強要罪に、移動を妨害させられれば監禁罪が成立する関係にあります。

監禁罪のいう「監禁」とは、一定の場所から脱出することを不可能、或いは著しく困難にすることによって、場所的移動の自由を制限することをいいます。
イメージしやすい例としては、部屋に鍵を掛けて物理的に出られないようにする行為が挙げられます。
物理的な方法のみならず、心理的な方法による監禁も存在します。
例えば、入浴中の女性の衣服を奪い、羞恥心を利用し浴場からの脱出を心理的に困難にさせることも監禁罪のいう「監禁」に当たるということになります。
他には、監禁場所の施錠を外して外に脱出できる場合であっても、既になされた脅迫行為や脱出後の後難に対しての恐怖心からその場を脱出できなくさせるケースも監禁罪の「監禁」にあたるケースといえます。

本件のような走行する自動車の中に留めさせる行為も監禁罪の「監禁」に当たります。
車の内側から鍵を開錠することは構造上可能ですが、実際に走行する車から脱出するという行為は怪我をするおそれが非常に高いので、「離れようと思っても離れられない」状態に陥っていることが理由です。

では、その「監禁」の前に書かれている言葉である「不法に」とはどういったことを指すかというと、監禁行為が一般的に許容される場合が多い(例:逮捕など)ことから、法益侵害の危険のある監禁行為である場合に監禁罪が成立するという意味を明記しているに過ぎません。

~監禁行為で怪我をしたら~

VさんがAさんの監禁行為によって怪我を負った場合はどのような罪に問われるのでしょうか。

刑法第221条(逮捕等致死傷)
前条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。

刑法第204条(傷害)
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

刑法205条(傷害致死)
身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、3年以上の有期懲役に処する。

監禁により人に怪我を負わせたり、死亡させた場合には刑法221条に当たります。
傷害の罪と比較して、重い刑」とは、監禁致傷罪の場合は傷害罪、監禁致死罪の場合は傷害致死罪の刑罰と比較することになります。
結果として、監禁致傷罪は「3月以上15年以下の懲役」、監禁致死罪は「3年以上の有期懲役」に処されることとなります。

今回のケースの場合、捜査機関がAさんの行為を認知するきっかけとしては当事者が警察に被害を申し出る以外に考えにくいため、Vさんが警察に被害を申し出て初めて刑事事件として扱われることになるでしょう。
Aさんとしては、知人であるVさんと自ら連絡を取り、謝罪などを行いたい筈です。
しかし、刑事事件の両当事者が事件後直接接触することは、被害者の被害感情が一層峻烈になるなど、却って事件を悪化させる場合もあります。
この点、弁護士刑事事件加害者と被害者の間に入ることで、事件解決をスムーズに進めることができる可能性が高まります。
もしも刑事事件化してしまったとしても、弁護士という第三者を通じてであれば、謝罪の場をもってもよいと考えてくれる被害者の方も多いです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所刑事事件の経験豊富な弁護士が多数在籍しております。
被害者が警察に被害届を出すと言ったものの、その後警察が実際に動いているのか分からないなど不安を抱え続ける前に、まずは弁護士にご相談下さい。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、事務所にて初回無料相談を行っております(24時間体制での相談のご予約を受付中。)。
また、既に逮捕されている場合には、ご家族やご友人のご依頼で初回接見サービスも承っております。

タイヤロックで器物損壊事件

2019-12-15

タイヤロックで器物損壊事件

タイヤロックをかけたことで器物損壊事件となったケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~ケース~

滋賀県守山市在住のAさんは自宅の駐車場の目の前にVさんの車が駐車されているため、自身の車が駐車場から出ることができない事態がしばしばありました。
Vさんに直接抗議しても、一向に事態は改善されないことに苛立ったAさんは、Vさんの車の車輪にタイヤロックを掛け、Aさんが開錠しない限り、走行できないようにしました。
すると、Vさんが滋賀県守山警察署にそのことを相談し、Aさんは滋賀県守山警察署に呼ばれ、話を聞かれることになってしまいました。
Aさんは、「自分は迷惑をかけられた被害者だ」と思っていますが、Aさんの行為は何か犯罪になるのでしょうか。
不安に思ったAさんは、滋賀県守山警察署に行く前に弁護士に相談してみることにしました。
(事例はフィクションです。)

~タイヤロックで器物損壊罪?~

実は、今回のAさんの行為は、刑法上の器物損壊罪にあたる可能性があります。

刑法第261条(器物損壊等)
前3条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。

器物損壊罪の「損壊」とは、割る・破るなどの物理的破壊に限定されることはなく、「物の効用を害する一切の行為」をいいます。
端的には「物の本来の使い方をできないようにさせた」場合をいい、具体的には、飲食店の食器に放尿する行為などが挙げられます。
食器に放尿されても洗えば器に盛ることはできますが、一度放尿された食器で食事をしたいと思う人はいないでしょうから、お客様にお出しすることはできませんので、本来の使い方ができなくなったといえます。

本件についても、AさんがVさんの車にタイヤロックを取り付けた行為は、車の移動を不可能にさせることになり、移動手段という車本来の使い方をできないようにさせたといえ、器物損壊罪に当たると考えられるのです。
もっとも、Vさんの車は後述する「違法駐車」車両です。
違法な物に対する器物損壊行為は許されるのでしょうか。

結論として、法規上違法な物も器物損壊罪の客体になります。
理由としては、器物損壊罪の保護法益はあくまで「物の効用」ですので、適法・違法に関わらず、損壊行為は処罰の対象になるということなのです。

もっとも、器物損壊罪は親告罪であり、被害者の告訴がなければ公訴することができません(刑法第264条)。
起訴される前の段階で、被害者に告訴をしないでもらう又は一旦告訴したものを取下げてもらうことができれば、公訴=起訴されず、前科が付くことはありません。

そのためには、被害者へ謝罪や弁償金、慰謝料の支払いを含めた示談を行うことができるかが分水嶺になります。
逮捕など身柄が拘束されていない場合は自身でも示談交渉は可能ですが、加害者と被害者とが直接会うとなると、互いに感情的になってしまい交渉が難航するどころか事態を悪化させる原因にもなりかねません。
一方、弁護士が間に入る場合、当事者双方の言い分を聞いたうえで、示談締結に向けた最善の活動をすることができます。

刑事事件の解決は、一刻も早い弁護士への相談が肝要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、器物損壊事件の弁護経験もある弁護士も在籍しております。
無料相談のご予約も24時間体制で承っておりますので、まずはお気軽にご相談下さい。

※なお、以下では、本件のVさんの駐車が道路交通法のどの法規に抵触するかを記載致します。

道路交通法
第45条第1項
 車両は、道路標識等により駐車が禁止されている道路の部分及び次に掲げるその他の道路の部分においては、駐車してはならない。ただし、公安委員会の定めるところにより警察署長の許可を受けたときは、この限りでない。
1. 人の乗降、貨物の積卸し、駐車又は自動車の格納若しくは修理のため道路外に設けられた施設又は場所の道路に接する自動車用の出入口から3メートル以内の部分

第119条の2第1項
 次の各号のいずれかに該当する行為(第1号及び第2号に掲げる行為にあっては、その行為が車両を離れて直ちに運転することができない状態にする行為に該当するとき又はその行為をした場合において車両を離れて直ちに運転することができない状態にする行為をしたときに限る。)をした者は、15万円以下の罰金に処する。
1. ……第45条(駐車を禁止する場所)第1項……の規定の違反となるような行為

DV傷害事件で逮捕なら

2019-12-13

DV傷害事件で逮捕なら

DV傷害事件逮捕されたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

滋賀県草津市に住んでいるAさんは、妻であるVさんと2人で暮らしていました。
ある日、機嫌の悪かったAさんは、酒に酔い、注意してきたVさんに腹を立ててVさんを殴ってしまいました。
倒れ込んだVさんが頭を打ち付け出血してしまったため、Vさんは「夫と喧嘩になって頭を打ち、血が出てきた」と救急車を呼びました。
その際、滋賀県草津警察署の警察官も臨場し、AさんはDVによる傷害罪の容疑で現行犯逮捕されてしまいました。
Bさんは、今まで夫婦喧嘩が暴力に発展したことはなく、今回まさかこれほどの大事になるとは思いもよらず、Aさんの両親に相談。
その後、Aさんの両親は刑事事件に強い弁護士に今後どのようにしたらよいか相談することにしました。
(※フィクションです。)

・DV防止法

家庭内暴力は、ドメスティックバイオレンス、通称DVと呼ばれます。
DVは、今回の事例のように夫が妻に暴力を振るう等するDVもあれば、逆に妻が夫に暴力をふるう等するDVもあります。

DVについては、通称DV防止法(正式名称:配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律)という法律も定められています。
DV防止法では、主にDVの防止やDVを受けてしまった人の保護、その自立支援の体制などを定めています。
しかし、DV防止法では、DVの行為自体を直接犯罪として定めているわけではありません。
DV防止法違反として処罰されるのは、「保護命令」に違反した場合です。

DV防止法に基づいて出される「保護命令」とは、DVの被害者の住居等に接近することや、DVの被害者と同居している場合にそこから退去すること、DVの被害者の子供への接近すること等を禁止する命令です。
この命令に違反した場合には、DV防止法違反として処罰されることになります。
保護命令違反によるDV防止法違反の法定刑は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金です(DV防止法29条)。

・DVと刑事事件

先述したように、DVDV行為自体が「DV」として犯罪が定められているわけではありません。
では、DV行為はどのように処罰されることになるのでしょうか。

DVは、そのDVの態様によって、刑法やその他の特別法に触れる行為として犯罪になります。
例えば、今回のAさんとVさんの事例では、AさんがVさんに暴力をふるい、けがをさせてしまっています。
このようなDVの場合、刑法の暴行罪や傷害罪によって対処されるということになるでしょう。

刑法204条(傷害罪)
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

刑法208条(暴行罪)
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

・DV事件と弁護活動

DV事件では継続してDVをしていたのではないかと疑われたり、被害者への接触が懸念されることから逮捕・勾留による身体拘束が行われたりすることも多いです。
例えば、今回のAさんの場合、事例を見る限りでは、Aさんは継続してDVをしていたわけではないようです。
しかし、それらをAさん1人で取調べで主張し続けることはAさんの負担が大きいかもしれませんし、Aさんが釈放されれば今回の傷害事件の被害者であるVさんと一緒に住んでいる家に帰ることになるわけですから、被害者との接触を考えればこのまま逮捕に引き続いて勾留されてしまう可能性も低くないでしょう。
だからこそ、弁護士に依頼し、取調べ対応のためのアドバイスや、釈放に向けた環境づくりとその主張をしてもらうことが重要となってくるのです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、傷害事件などDVに絡んだ刑事事件のご相談も受け付けております。
逮捕された方向けの初回接見サービスや、在宅捜査を受けている方向けの初回無料法律相談をご用意しておりますので、お気軽にお問い合わせください。

電車内での痴漢行為で現行犯逮捕

2019-12-11

電車内での痴漢行為で現行犯逮捕

電車内での痴漢行為現行犯逮捕されたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

Aさんは、滋賀県大津市内を走る通勤途中の電車内で、女性Vさんのスカート内に手を入れ、下着の上から臀部を触るなどの痴漢行為に及んでしまいました。
Vさんはその場で声を上げ、Vさんの臀部を触っていたAさんの手を掴み、周囲にAさんから痴漢行為を受けた旨を伝えました。
AさんはVさんと周囲の目撃者と共に、滋賀県大津市内の駅で降り、そのまま駅員室へ連れていかれました。
その後、駅員からの通報で駆け付けた滋賀県大津警察署の警察官によって、Aさんは滋賀県迷惑防止条例違反の容疑で逮捕され、滋賀県大津警察署まで連行されました。
(事例はフィクションです。)

~痴漢行為が当てはまる犯罪~

本件はいわゆる「痴漢」行為の事件ですが、痴漢行為を処罰する法令には「痴漢」という言葉は出てきません。
痴漢行為はその行為態様によって、各都道府県ごとに制定されている迷惑防止条例違反か、刑法第176条の強制わいせつ罪のいずれかの罪になることが考えられます。

〇滋賀県迷惑行為等防止条例
第3条第1項
何人も、公共の場所または公共の乗物において、みだりに人を著しく羞恥させ、または人に不安もしくは嫌悪を覚えさせるような次に掲げる行為をしてはならない。
1号 直接または衣服その他の身に着ける物(以下「衣服等」という。)の上から人の身体に触れること。

第11条第1項
次の各号のいずれかに該当する者は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
1号 第3条の規定に違反した者

2項 常習として前項の違反行為をした者は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処する。

この条例は、「公共の場所又は公共の乗物」での痴漢行為について処罰するものでありますので、その場所以外、例えば自宅内や自家用車内での痴漢行為の場合は下記に述べる刑法第176条の強制わいせつ罪に問われる可能性が高いです。

〇刑法
第176条(強制わいせつ罪)
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて、わいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。
13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

強制わいせつ罪における「暴行又は脅迫」は、被害者の「反抗を著しく困難にさせる」程度であれば該当すると言われています。
具体的には、後ろから羽交い絞めにする・口元を抑える・「騒いだら殺す」と伝えることなどが挙げられます。

そして、強制わいせつ罪のいう「わいせつな行為」とは、過去の判例から「徒に性欲を興奮又は刺激せしめ、且つ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義に反するもの」と言われています。
具体的には被害者の胸や臀部、陰部を触る行為などがこれに当たります。

特に注意すべきなのは、強制わいせつ罪の成立において、「わいせつな行為」自体が「暴行又は脅迫」行為であると判断される場合があるという点です。
先ほど挙げたように、強制わいせつ罪において「暴行又は脅迫」は、被害者において反抗を著しく困難にさせる程度であれば良いのであり、わいせつ行為をされたことによる羞恥心・恐怖心から一切抵抗できなくなったのであれば、「暴行又は脅迫」行為があったと判断される可能性があるのです。

~条例違反と強制わいせつ罪の区別~

痴漢行為迷惑防止条例違反か刑法第176条の強制わいせつ罪のどちらに当たるかは、痴漢行為が行われた場所の違いだけでなく、痴漢行為の悪質性によっても左右されます。
一般には、衣服の上からの痴漢迷惑防止条例違反、衣服の下にまで手などを入れ直接触れた痴漢強制わいせつ罪に当たると言われることが多いようですが、その痴漢事件ごとの状況によって判断されるため、一概に服の中外どちらから触れただからどちらの犯罪、と判断することはできません。

~逮捕後の流れ~

現行犯として逮捕されてしまった場合、その後の流れはどのようになるのでしょうか。
逮捕から48時間以内に警察から検察へと身柄が渡され、検察はさらに24時間以内に、裁判所に対し勾留の請求をするか否かを判断します。
検察官が勾留請求をしない、又は裁判所が勾留請求を却下した場合、被疑者はすぐに釈放されます。
しかし、勾留請求が認められた場合、最大20日間、逮捕と合わせると最大23日間身柄を拘束されてしまいます。

そこで、事件の弁護について依頼された弁護士は、第一に早期の身柄解放を目指して活動することになるでしょう。
具体的には被害者の方との示談を成立させたり、起訴後であれば裁判所に保釈の請求するなどを行うことが考えられます。
なお、事件後早い段階で弁護士に依頼できていれば、勾留請求に対して意見書を提出することで裁判所による勾留決定を阻止する活動ができるため、より早期の身柄解放を目指すことが可能です。

いずれにせよ、身柄の早期解放を実現するには事件発生から早い段階での弁護士の相談が重要です。
少しでも刑事事件について不安がある方は、弁護士への相談をおすすめ致します。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では初回接見サービスの予約を24時間承っております。
滋賀県痴漢事件でご家族が逮捕され、刑事事件に強い弁護士にいち早く相談したいとお考えの方は、まずは弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所弁護士にご相談下さい。

盗撮事件の逮捕で初回接見を依頼

2019-12-09

盗撮事件の逮捕で初回接見を依頼

盗撮事件逮捕初回接見の依頼について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

Aさんは、滋賀県大津市内にある駅の構内で、女性利用客Vさんのスカートの中をスマートフォンを利用して盗撮していました。
通行人Wさんがそれを発見し駅構内にいた警備員に知らせたことでAさんの盗撮行為が発覚しました。
Aさんは逃げなければならないと焦り、その場から離れようとしたものの警備員に現行犯逮捕され、通報を受けてやってきた滋賀県大津北警察署の警察官に引き渡されました。
Aさんが逮捕され滋賀県大津北警察署に留置されたことを知ったAさんの家族は、刑事事件専門の弁護士に初回接見サービスを依頼し、弁護士をAさんのもとに派遣しました。
(※この事例はフィクションです。)

・盗撮事件で現行犯逮捕

痴漢事件や盗撮事件では、その犯行の場で現行犯逮捕されることも少なくありません。
現行犯逮捕はたとえ警察官でなくてもできる逮捕であるため、今回のAさんのように、警備員や目撃者といった一般人に取り押さえられ、現行犯逮捕されることも考えられます。
こうした警察官等でない一般人による現行犯逮捕を「私人逮捕」「常人逮捕」と呼ぶ場合もあります。

刑事訴訟法213条
現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる。

通常、逮捕は逮捕状という裁判所が発する令状がなければできないものであり、さらに一般人にはできないものです。
しかし、現行犯逮捕に限っては、現行犯というすぐに身柄を確保する必要性の高い状況である上に冤罪のおそれがない状況であることから、一般人による逮捕が認められているのです。
一般人に現行犯逮捕された場合、すぐに警察官等に引き渡され、そこから警察署に留置されることになります。

・弁護士による接見

盗撮事件に限らず、刑事事件少年事件逮捕されてしまった状況で真っ先に思い浮かぶ悩みは、「この後ずっと身体拘束が続くのか」「報道されてしまうのか」「会社や学校はどうなるか」「取調べで何を言えばいいのか」など、その人の状況によってさまざまでしょう。
しかし、もちろんのこと、逮捕されてしまっている状況では、その悩みを誰かに自由に相談することはできません。
逮捕されているということは、警察署の留置場にとどめ置かれるということであり、警察署の外にいる人に連絡を取ることも、会いに行くこともできないからです。
それでも先ほど挙げたような悩みは当然出てきてしまうでしょうし、特に取調べへの対応等は今後刑事事件の手続きが進んでいく上で、対応を誤れば自らの首を絞めてしまうことにもなりかねません。

こうした時こそ頼れるのが弁護士です。
例えば、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、弁護士が逮捕・勾留された人のもとへ1回限りの接見(面会)に向かう初回接見サービスを行っています。
弁護士と1回会っただけで何が変わるのか」と思う方もいるかもしれませんが、その1回はとても重要です。
逮捕・勾留している人たちは、ほとんどが一般の方で、刑事事件の手続きや権利に詳しくないケースが圧倒的に多いです。
逮捕・勾留自体が初めてであるという人も多いでしょう。
そうした人たちが、逮捕・勾留された後の手続きや自分たちの持っている権利、さらに取調べへの対応方法などを十分に知っていることはまれです。
だからこそ、弁護士と会ってそういった手続きや権利、対応方法や見通しを聞くことで、その後の手続きや取調べに適切に対処できる可能性が高まり、後々自分の意図しない形で自分自身の首を絞めてしまうことを避けることができるのです。

また、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の初回接見サービスの場合、弁護士が逮捕・勾留された人と接見した後には依頼者様へのご報告も行っています。
逮捕・勾留された人とご家族等の橋渡しができるほか、逮捕・勾留された本人の周囲の人も、刑事事件の手続きや権利、対処法について弁護士に聞いておくことができます。
そこで弁護士への弁護活動を依頼すれば引き続き弁護士のサポートを受けることができます。
こうしたことから、周囲の人が逮捕されてしまったような場合には、まずは弁護士の接見を依頼することが望ましいと考えられるのです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、突然の逮捕にも対応できるよう、24時間いつでも初回接見サービスのお申込みが可能です。
お問い合わせは専門スタッフが0120-631-881で常に受付を行っています。
まずはお気軽にお問い合わせください。

窃盗事件の余罪で再逮捕

2019-12-07

窃盗事件の余罪で再逮捕

窃盗事件余罪再逮捕されたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

Aさんは、滋賀県高島市にあるVさん宅に侵入し、金品を盗み出しました。
誰かが自宅に侵入して盗みをはたらいたことに気づいたVさんが滋賀県高島警察署に被害を申告したことで、捜査が開始され、ほどなくしてAさんはVさん宅で侵入盗をはたらいたという住居侵入罪窃盗罪の容疑で逮捕されることとなりました。
しかし、実はAさんはVさん宅だけでなく、滋賀県高島市内で同様の侵入盗事件を複数件起こしていました。
捜査が進むうちにそのことが発覚すると、Aさんは警察官から「最初に逮捕された事件ではない件で再逮捕されるかも」と伝え聞きました。
すでに逮捕されたのにさらに逮捕されるようなことがあるのかと不安になったAさんは、家族からの依頼で接見に訪れた刑事事件に強い弁護士に、再逮捕について相談してみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・再逮捕とは

今回のAさんは、警察官から再逮捕の可能性を示唆されています。
この記事を読んでいる方の中にも、ニュースなどで「被疑者を●●罪の容疑で再逮捕した」といったものを聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。
すでに逮捕・勾留されている被疑者、もしくは逮捕・勾留されて起訴されている被告人について、その逮捕・勾留が行われた事実以外の事実でまた逮捕された場合の逮捕のことを「再逮捕」と言います。

「再」逮捕という文字から、すでに逮捕されている事実についてもう一度逮捕され直すことのようにも聞こえますが、実はそういった「再逮捕」の方は「一罪一逮捕(・一勾留)の原則」という原則で禁止されています。
一罪一逮捕の原則」とは、文字通り、1つの犯罪について1つの逮捕しかできないという原則です。
この「一罪」とは、「窃盗罪という罪名の容疑で逮捕できるのは1回限りだ」ということではなく、「X月X日のXさんに対する窃盗罪の容疑で逮捕できるのは1回限りだ」という意味です。
つまり、たとえ同じ窃盗罪という罪名であったとしても、日時や被害者が違う窃盗罪であれば、再逮捕をすることはできるのです。

実は、この一罪一逮捕の原則は、実は法律に明文として規定されている物ではありません。
ですが、逮捕や勾留といった被疑者・被告人の身体を拘束する手続は、それぞれ厳格に時間制限が決められています。
例えば、逮捕による身体拘束は最大72時間しかできません。
さらに、逮捕された被疑者は逮捕から48時間以内に検察官へ送られ、そこからさらに24時間以内に勾留請求されるか釈放されるかが決められます。
逮捕・勾留は被疑者・被告人の自由を制限する=権利を侵害する手続ですから、それが濫用されないよう、時間制限も厳しく決まっているのです。
もしも同じ事実に対する再逮捕が認められてしまえば、こうした時間制限が全く意味をなさなくなってしまい、好き勝手に逮捕や勾留を繰り返し、いつまでも被疑者・被告人を身体拘束できることになってしまいます。
そのため、一罪一逮捕の原則として守られているのです。

ですが、それでも全く同じ事実での再逮捕ができないと解されているわけではないことにも注意が必要です。
重要な新しい証拠が発見された場合や、逃亡や証拠隠滅のおそれが新しく発生した場合などで事情が変わり、再逮捕をする合理的な必要が生じ、逮捕の不当な蒸し返しにならない場合に限り、同じ事実での再逮捕も可能であると考えられているのです。

・再逮捕が繰り返されると

今回のAさんのように、逮捕されてしまった件とは別に他の事件も起こしていたような場合(この他の事件について「余罪」と呼んだりします。)、その他の事件について再逮捕が繰り返されることも十分考えられます。
理論上、別の件であれば再逮捕が可能であるため、余罪が多ければその分再逮捕が繰り返され、身体拘束される期間が長くなってしまうという可能性もあります。

こうした身体拘束期間の長期化が見込まれる刑事事件では、弁護士のサポートを受けることが望ましいです。
逮捕・勾留されれば当然ながら自分で外に行き家族や友人と会うことはできませんし、もちろん連絡を自由に取ることもできません。
家族や友人との面会も、1日にできる回数や時間、人数が制限されています。
そんな中、慣れない留置場で1人で過ごしながら取調べを受け続けることは、被疑者・被告人にとって非常に大きな負担となります。
だからこそ、弁護士の助けが効果的なのです。
弁護士は一般の方とは違い、面会時間や回数に制限がありません。
そのため、被疑者・被告人が不安に思う部分を丁寧に説明することができますし、ご家族・ご友人の伝言を伝えて橋渡しすることもできます。
刑事事件の手続き的な面でも、被疑者・被告人の精神的な面でも、弁護士のサポートは大きな意味を持つのです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、再逮捕が見込まれるような刑事事件についてのご相談・ご依頼も多く承っています。
再逮捕が不安だという方、逮捕されてしまったご家族・ご友人が心配だという方は、遠慮なく弊所弁護士までご相談下さい。

立ちションで公然わいせつ罪に?②

2019-12-05

立ちションで公然わいせつ罪に?②

立ちション公然わいせつ罪を疑われたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~前回からの流れ~

滋賀県長浜市に住んでいるAさんは、近所の居酒屋で行われた会社の忘年会に参加していました。
Aさんはそこで大量に酒を飲み、酔っぱらっていました。
忘年会が解散となり、徒歩で帰路についたAさんでしたが、外気が冷えていたこともあり、急に尿意を催しました。
しかし、近くにトイレがなく、家までもまだ距離があったことから、Aさんは道端で立ちションをして用を足そうと思いつきました。
そこは大通りで、普段は夜でも人通りも多い道でしたが、たまたまその時間帯は人通りがありませんでした。
Aさんは、「今人がいないし用を足すだけだから大丈夫だろう。もし人が通って見られたとしても、暗いし時間帯も遅いからこちらのことなど構わないで通り過ぎるだろう」と思い、道端で立ちションを始めました。
ですが、通行人WさんがAさんが立ちションしている様子を目撃し、「道端で下半身を露出している男がいる」と滋賀県木之本警察署に通報。
Aさんは駆け付けた警察官に公然わいせつ事件の被疑者として任意同行を求められてしまいました。
(※この事例はフィクションです。)

・立ちションで公然わいせつ罪になるのか?②

前回の記事では、Aさんの立ちション行為が公然わいせつ罪の「公然と」に当てはまるだろうということに触れましたが、今回の記事では、まずはAさんの立ちション行為が公然わいせつ罪の「わいせつな行為」といえるのかどうかについて、検討していきます。

Aさんは立ちションをしていたわけですから、たしかに下半身・性器を露出していたといえるでしょう。
しかし、公然わいせつ罪の成立条件である「わいせつな行為」は、前回の記事で挙げたような「その行為者またはその他の物の性欲を刺激興奮または満足させる動作であって、普通人の正常な性的羞恥心を害し善良な性的道義観念に反するもの」でなければなりません。
Aさんとしてはなんら性的な目的や意図なくしていた行為であることから、この「わいせつな行為」に当てはまるのかどうかには争いが出てきそうです(もちろん、Aさんが立ちション行為をあえて見せつける意図があったり、他人に排尿行為を見せて興奮するたちであった場合には話が変わります。)。
ここでAさんの行為が公然わいせつ罪の「わいせつな行為」に当てはまると判断されれば、行為と客観的状況を認識しながら立ちションをしてしまったAさんには公然わいせつ罪が成立する可能性が高くなってしまうでしょう。
逆に、Aさんの行為が「わいせつな行為」に当てはまらないとされた場合には、公然わいせつ罪は成立しないことになります。

・立ちションは犯罪なのか?

では、仮にAさんの立ちション行為が公然わいせつ罪にあたらないと判断された場合、Aさんの立ちション行為は何の犯罪にもならないのでしょうか。
実はそういうわけではなく、Aさんには軽犯罪法違反が成立することが考えられます。

軽犯罪法1条 左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
20号 公衆の目に触れるような場所で公衆にけん悪の情を催させるような仕方でしり、ももその他身体の一部をみだりに露出した者
26号 街路又は公園その他公衆の集合する場所で、たんつばを吐き、又は大小便をし、若しくはこれをさせた者

Aさんは大通り=「公衆の目に触れるような場所」で、立ちションをして下半身を露出=「しり、ももその他身体の一部をみだりに露出」しており、立ちションしている姿を見た場合、通常人は「けん悪の情を催」すでしょうから、軽犯罪法1条20号に該当するでしょう。
また、立ちション行為自体も軽犯罪法1条26号で禁止されていることから、こちらも当てはまることになるでしょう。

昨今、強制わいせつ罪の性的意図が不要であるという判例(最判平成29.11.29)もでてきているため、公然わいせつ事件を含むわいせつ事件は、事例に即して判断をしていく必要があると考えられます。
今回のような立ちション事件についても、一概に公然わいせつ罪に当たるか当たらないかの判断ができなくなってきていると考えられるのです。
こうした時こそ、刑事事件専門弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
刑事事件専門の弁護士だからこそご相談者様の小さな疑問にも丁寧に答えていくことができますし、弁護士との話の中でご相談者様が思いもよらなかった問題点が見つかることもあります。
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立ちションで公然わいせつ罪に?①

2019-12-03

立ちションで公然わいせつ罪に?①

立ちション公然わいせつ罪を疑われたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

滋賀県長浜市に住んでいるAさんは、近所の居酒屋で行われた会社の忘年会に参加していました。
Aさんはそこで大量に酒を飲み、酔っぱらっていました。
忘年会が解散となり、徒歩で帰路についたAさんでしたが、外気が冷えていたこともあり、急に尿意を催しました。
しかし、近くにトイレがなく、家までもまだ距離があったことから、Aさんは道端で立ちションをして用を足そうと思いつきました。
そこは大通りで、普段は夜でも人通りも多い道でしたが、たまたまその時間帯は人通りがありませんでした。
Aさんは、「今人がいないし用を足すだけだから大丈夫だろう。もし人が通って見られたとしても、暗いし時間帯も遅いからこちらのことなど構わないで通り過ぎるだろう」と思い、道端で立ちションを始めました。
ですが、通行人WさんがAさんが立ちションしている様子を目撃し、「道端で下半身を露出している男がいる」と滋賀県木之本警察署に通報。
Aさんは駆け付けた警察官に公然わいせつ事件の被疑者として任意同行を求められてしまいました。
(※この事例はフィクションです。)

・立ちションで公然わいせつ罪になるのか?

公共の場所で下半身を露出した、というケースでは、公然わいせつ罪を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
今回のAさんも公然わいせつ罪の容疑をかけられてしまっています。
まずは公然わいせつ罪がどういった犯罪なのか見てみましょう。

刑法174条(公然わいせつ罪)
公然とわいせつな行為をした者は、6月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

公然わいせつ罪は、罪名からも分かるように、「公然とわいせつな行為をした」場合に成立する犯罪です。
では、その「公然とわいせつな行為をした」とはどういった場合を指すのでしょうか。

まず、公然わいせつ罪の「公然と」について考えてみましょう。
「公然と」という言葉からは、公共の場所であったり開けた場所であったり、人の多い場所での犯行がイメージされがちです。
「公然と」とは、「不特定または多数人が認識することのできる状態」をいうとされているため(最決昭和32.5.22)、たしかにそのイメージから大きく外れてはいません。
しかし、ここで注意すべきなのは、公然わいせつ罪の「公然と」は、あくまで「不特定または多数人が認識『できる』状態」のことを指しているのであり、実際に公然わいせつ罪を実行する際に不特定多数の人がその公然わいせつ行為を認識している必要はないということです。
つまり、理論上、目撃者が1人もいなかったとしても、「不特定または多数人が認識できる状態」でわいせつな行為をしていれば、公然わいせつ罪は成立しうるということになるのです(ただし、こうした場合刑事事件化する可能性が低いと考えられます。)。
これは、公然わいせつ罪が守っているものが、社会の健全な性秩序や性風俗であると考えられていることからきています。

そして、「わいせつな行為」とは、「その行為者またはその他の物の性欲を刺激興奮または満足させる動作であって、普通人の正常な性的羞恥心を害し善良な性的道義観念に反するもの」とされています(東京高判昭和27.12.18)。
代表的なものでいえば、いわゆる露出狂のように他人に性器等を見せつける行為や、性交・性交類似行為が挙げられます。

これらの行為と客観的状況を把握して行っていた場合には、公然わいせつ罪が成立するとされています。

今回のAさんの事例を考えてみましょう。
まず、Aさんは大通りで立ちションをしています。
大通りは普段夜でも人通りのある道であり、たまたまAさんが立ちションをしようとした時間帯に人がいなかっただけであることから、いつでも人が通る可能性のある場所であったと考えられます。
Aさんはその道端で立ちションをしていて、さらに「見られても特に気にされないだろう」と考えていたことから、特段他の人から隠れて見えないように立ちションをしていたわけでもなさそうです。
前述した通り、公然わいせつ罪の成立条件の「公然と」を満たすには、実際に不特定多数の人が公然わいせつ行為を目撃・認識する必要はなく、その可能性があれば十分です。
ですから、今回目撃者はWさん1人のようであり、さらに人通りの少ないタイミングであったとしても、Aさんは公然わいせつ罪における「公然と」の用件を満たしているといえるでしょう。

では、「わいせつな行為」についてはどうでしょうか。

次回の記事で解説します。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、公然わいせつ事件を含む性犯罪事件も遠慮なくご相談いただけます。

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接触事故で轢き逃げ事件

2019-12-01

接触事故で轢き逃げ事件

接触事故轢き逃げ事件となったケースについて,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~ケース~

Aが滋賀県長浜市内を車で走行していたところ,不意に歩道から出てきたVと接触し,Vは転倒した。
Aは数メートル走って停車したが,車内のバックミラーから背後の様子を見ると,Vは自力で起き上がり,そのまま反対方向に歩き去ってしまった。
起き上がったことや,歩いて去る様子から怪我はしていないと判断したAは,そのままその場を立ち去った。
しかし後日,滋賀県長浜警察署の警察官が自宅に来て,Vから被害届が出ていることを告げられ,Aは轢き逃げの容疑で警察署で取調べを受けた。
そこで,AはVが左足の小指を骨折するけがを負っていたことを知った。
(事実を基にしたフィクションです)

~轢き逃げとは~

交通事故に関係した車両等の運転者等について,道路交通法第72条では,次のような義務があると定めています。

(1)直ちに運転を停止する義務
(2)負傷者の救護義務
(3)道路上の危険防止の措置義務
(4)警察官に,発生日時,死傷者・物の損壊の状況や事故後の措置,積載物を報告する義務
(5)報告を受けた警察官が必要と認めて発した場合に,警察官が到着するまで現場に留まる命令に従う義務

交通事故で人に負傷させた場合,負傷者を救護して警察官に報告しなければならず,それを怠った場合,道路交通法第72条違反の罪に問われます。
これがいわゆる轢き逃げです。

本件では,AはVの様子を見て,Vは怪我をしていないと判断して立ち去りました。
Aは,負傷者が存在するということを認識していなかったということであれば,轢き逃げの故意がないことになるから,轢き逃げの罪には問われないのではないかとも思われます。

しかし,昭和45年4月10日の最高裁判所の判決では「車両等の運転者が,いわゆる人身事故を発生させたときは,直ちに車両の運転を停止し十分に被害者の受傷の有無程度を確かめ,全く負傷していないことが明らかであるとか,負傷が軽微なため被害者が医師の診療を受けることを拒絶した等の場合を除き,少なくとも被害者をして速やかに医師の診療を受けさせる等の措置は講ずべきであり,この措置をとらずに,運転者自身の判断で,負傷は軽微であるから救護の必要はないとしてその場を立ち去るがごときことは許されない」とされています。
即ち,一見したところでは被害者が何の負傷もしていないようでも,余程間違いなく負傷していないと断言できるような事情があるのでもない限りは,運転者には負傷者の救護のための措置を執る義務があるとされたのです。

本件では,Aは,Vが普通に立って歩いて行ったので怪我はしていないと思ってその場を立ち去りました。
しかし,その状況で,Vが本当に全く負傷していないと明らかに断言できたでしょうか。
実際には,Vは,この事故によって左足の小指の骨を折る怪我をしていました。
Vが絶対に負傷していないと断言できるような事情がなかった以上,Aは,Vが負傷している可能性を認識しながらその場を立ち去ったことになります。
Aは救護義務があることを認識しながらその場を去ったということになりますから,轢き逃げの罪の成立は免れられません。
自動車を運転していて人に接触したと思ったら,安易に考えてその場を立ち去るべきではないでしょう。

~轢き逃げの罪の重さ~

轢き逃げは,10年以下の懲役又は100万円以下の罰金(事故の原因が本人に無い場合は5年以下の懲役または50万円以下の罰金)に処せられます。
また,事故が運転者の過失によって生じたものであれば,過失運転致傷罪(7年以下の懲役もしくは禁錮又は100万円以下の罰金)も成立します。
轢き逃げと過失運転致傷は法律的には併合罪として処理され,二つの罪で,最大15年以下の懲役又は200万円以下の罰金に処せられる可能性があります。

このように,轢き逃げの刑事罰はとても重いので,もし轢き逃げの罪に問われるようなことがあれば,可能な限り早く弁護士に相談することをお勧めします。
轢き逃げ事件でお困りの方,またはそのご家族は,刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所弁護士にご相談ください。
0120-631-881までお気軽にお電話ください。

ストーカー行為で逮捕

2019-11-29

ストーカー行為で逮捕

ストーカー行為逮捕された事案について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~ケース~

Aは,滋賀県米原市に住むVに恋愛感情を抱き,Vの後をつけ自宅の所在地を突き止めた。
Aは,自宅の前でVを待ち伏せたりして,Vにつきまとった。
Vは,Aの行為に気付き,つきまとわないでほしいと言ったが,Aはその後もVにつきまとい続けた。
その後,Aは滋賀県米原警察署に呼び出され,警告を受けた。
Aは,警察に知られてしまった以上,自宅近辺をうろつくことは危険だと思ったが,Vへの感情を抑えられず,電話番号やファックス番号を探り当て,無言電話やファックス番号を送り付けたりした。
その結果,Aは,ストーカー規制法違反の疑いで逮捕された。
(フィクションです。)

~ストーカー行為~

ストーカー行為とは,ストーカー規制法第2条第1項の「つきまとい等」を反復して行う行為とされています。
本件では,Aは,「つきまとい等」の内,第1号,第5号の行為を行っています。

ストーカー行為等の規制等に関する法律第2条
1項 この法律において「つきまとい等」とは、特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し、次の各号のいずれかに掲げる行為をすることをいう。
1号 つきまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがり、住居、勤務先、学校その他その通常所在する場所(以下「住居等」という。)の付近において見張りをし、住居等に押し掛け、又は住居等の付近をみだりにうろつくこと。
(略)
5号 電話をかけて何も告げず、又は拒まれたにもかかわらず、連続して、電話をかけ、ファクシミリ装置を用いて送信し、若しくは電子メールの送信等をすること。

3項 この法律において「ストーカー行為」とは、同一の者に対し、つきまとい等(第1項第1号から第4号まで及び第5号(電子メールの送信等に係る部分に限る。)に掲げる行為については、身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる場合に限る。)を反復してすることをいう。

Aは,最初は,つきまとい,待ち伏せをしていましたが,警察から警告を受けた後は,無言電話やファックス送信をするようになりました。
これがストーカー規制法第2条第3項の「反復してする」に当たるかどうかについては,以前は様々な考え方がありました。
第1号なら第1号の行為ばかりを繰り返す,第2号なら第2号の行為ばかりを繰り返すことをいうという考え方もありました。
この点については,最高裁判所平成17年11月25日決定で,「ストーカー行為等の規制等に関する法律第2条第2項の「ストーカー行為」とは、これは、同条第1項第1号から第8号までに掲げる「つきまとい等」のうち、いずれかの行為をすることを反復する行為をいい、特定の行為あるいは特定の号に掲げられた行為を反復する場合に限るものではないと解すべき」と判断され,決着が付きました。
Aは,まずつきまとい,待ち伏せをし,その後,無言電話やファックス送信に及びましたが,それら一連の行為は「反復して」したもの=ストーカー行為であると認められてしまったのでしょう。

~ストーカー事件の弁護方針~

ストーカー規制法違反事件は,加害者と被害者との関係が密接だったりすることが多いので,加害者が被害者に接触して供述を変えさせるなどの罪証隠滅行為に及ぶ危険が高いとされ,逮捕や勾留といった身柄拘束を受けやすい犯罪類型です。
逮捕・勾留などの身柄拘束を受けた場合,一刻も早く示談を整えることが釈放される最大の近道となるでしょう。
また,示談を整えることで,不起訴処分を得られる可能性も高まります。

しかし,ストーカー事件では、行為の悪質性から、被害者が被疑者・被告人と一切関わりたくないという意思を示していることも珍しくありません。
そうした状況では、被疑者・被告人本人はもちろん、その家族でさえも示談交渉に応じてもらえないことがよくあります。
そこで、ストーカー事件において示談を行うなら、示談交渉を弁護士に依頼することをおすすめします。
特に早期釈放や不起訴を目指すのであれば、ぜひ示談交渉は弁護士に任せてください。

ご家族などがストーカー規制法違反の疑いで逮捕されたら、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
0120-631-881までお気軽にお電話ください。

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