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【事例紹介】病気の犬に治療を受けさせなかったことで逮捕された事例
ペットショップで販売している犬に獣医師の治療を受けさせなかったとして、動物愛護法違反の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
事例
滋賀県甲賀市のペットショップで病気にかかった犬に治療を受けさせなかったとして、滋賀県警生活環境課と甲賀署は11月28日、動物愛護法違反(虐待)の疑いで、ペットショップ経営会社「(中略)」(名古屋市)の営業部長の女(44)=大津市=を逮捕した。県警は認否を明らかにしていない。
逮捕容疑は3月21~25日、同社が運営する甲賀市のペットショップ「(中略)」で、当時の店長(21)と共謀し、販売していた犬3匹が何らかの病気にかかったのに、獣医師の治療を受けさせるなどの適切な保護をしなかった疑い。
同課によると、3匹とも同月中に死んだという。犬種はパグ、ジャックラッセルテリア、シバイヌで、いずれも生後6カ月前後だった。女は滋賀県内の店舗の運営を管理する立場だったという。
(後略)
(11月28日 京都新聞 「病気の犬に治療受けさせず、ペットショップ社員の女を容疑で逮捕 3匹はその後死ぬ」より引用)
病気と動物愛護法
今回の事例では、ペットショップで販売していた犬3匹が病気にかかったのに獣医師の治療を受けさせなかったとして動物の愛護及び管理に関する法律(以下「動物愛護法」といいます。)違反の容疑で逮捕されています。
動物愛護法違反と聞くと、動物への虐待を想像する方がほとんどだと思います。
病気にかかった犬に獣医師の治療を受けさせない場合には、動物愛護法違反の罪が成立するのでしょうか。
動物愛護法第44条2項
愛護動物に対し、みだりに、その身体に外傷が生ずるおそれのある暴行を加え、又はそのおそれのある行為をさせること、みだりに、給餌若しくは給水をやめ、酷使し、その健康及び安全を保持することが困難な場所に拘束し、又は飼養密度が著しく適正を欠いた状態で愛護動物を飼養し若しくは保管することにより衰弱させること、自己の飼養し、又は保管する愛護動物であつて疾病にかかり、又は負傷したものの適切な保護を行わないこと、排せつ物の堆積した施設又は他の愛護動物の死体が放置された施設であつて自己の管理するものにおいて飼養し、又は保管することその他の虐待を行つた者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
動物愛護法第44条2項では、自分が飼育している愛護動物や保管している愛護動物が病気にかかった場合に適切な保護を行わないことを禁止しています。
病気にかかった際の適切な保護には、受医師の治療を受けさせることも含まれると考えられます。
また、動物愛護法第44条2項が規定する愛護動物とは、犬や猫、いえうさぎなどが該当します。(動物愛護法第44条4項1号)
ですので、自分の飼育または保管している犬が病気にかかった場合に獣医師の治療を受けさせないと、動物愛護法違反が成立する可能性があります。
今回の事例で逮捕された女性は、滋賀県の店舗の運営を管理する立場だったようです。
この女性が病気にかかった犬を飼育または保管していたといえるのでしょうか。
病気で亡くなった犬3匹はペットショップで販売されていたと報じられています。
ですので、この3匹の犬はペットショップが管理していることになります。
滋賀県の店舗の運営をする立場である女性が直接お世話をしていなかったとしても、滋賀県内にある店舗の責任者である立場ゆえに間接的に飼育、保管をしていたとみなされるおそれがあり、女性に動物愛護法違反が成立する可能性があります。
共犯と釈放
今回の事例では、店長と共謀して病気の犬に獣医師による治療を受けさせなかったとされています。
共犯者がいる事件では、口裏合わせなどによる証拠隠滅を防止するために、釈放が認められない場合が多々あります。
釈放されない場合、勾留決定から20日間、身体拘束を受け続ける可能性があります。
また、そのまま釈放されずに起訴された場合には、保釈が認められない限り、身体拘束を受け続けることになります。
釈放を求める弁護活動として、勾留判断前に意見書を提出する方法があります。
身元引受人である家族が監視監督を行うことで、共犯者と連絡をとれないようにすることや、逃亡はさせないことなどを検察官や裁判官に訴えることで釈放が認められる可能性があります。
この意見書の提出は、検察官が勾留請求を行う前と裁判官が勾留の判断を行う前の2回チャンスがあります。
この2回の機会を逃すと、勾留満期までに釈放を求められる機会は準抗告の申し立ての1回のみになります。
釈放を求める機会を少しでも多く手に入れるためにも、逮捕された場合には速やかに弁護士に相談をすることが望ましいといえます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回接見サービスを行っています。
弁護士による身柄開放活動で釈放を実現できるかもしれません。
ご家族が逮捕された方は、刑事事件の豊富な弁護経験をもつ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
【事例紹介】禁止区域で性的サービスを提供した事例 東近江市
禁止区域で性的サービスを提供する店を営業したとして、風営法違反で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
滋賀県警東近江署は26日、風営法違反(禁止地域営業)の疑いで、同県米原市の個室マッサージ店経営(中略)の女(49)を逮捕した。
逮捕容疑は(中略)、風俗店の営業禁止地域となる同県東近江市の店で、不特定の男性に女が性的サービスを行う性風俗業を営んだ疑い。
(9月26日 京都新聞 「【速報】営業禁止地域で風俗店経営、容疑で中国籍の女逮捕」より引用)
性的サービスの提供と規制
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下「風営法」といいます)第2条6項2号では、「個室を設け、当該個室において異性の客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供する営業」を店舗型性風俗特殊営業と規定しています。
簡単に説明すると、個室で異性に対して性的サービスを提供するような営業を店舗型性風俗特殊営業といいます。
店舗型性風俗特殊営業はどこでも行えるわけではありません。
風営法では店舗型性風俗特殊営業を営んではいけない区域が規定されています。(風営法第28条)
風営法では図書館や学校の周囲などを禁止区域として規定しています(風営法第28条1項)
ですので、上記のような禁止区域では、店舗型性風俗特殊営業ができないことになります。
今回の事例では、禁止区域にある滋賀県東近江市の店で、女性が男性に性的サービスを行う営業を営んだとされています。
報道では容疑者が個室マッサージ店を経営しているとされていますので、おそらく、事例の東近江市の店も個室が設けられているのでしょう。
個室内で異性に対して性的サービスを提供する営業は店舗型性風俗特殊営業に該当します。
もしかすると、今回の事例の東近江市の店が店舗型性風俗特殊営業にあたるかもしれません。
東近江市の店が店舗型性風俗特殊営業に該当し、かつ、店舗型性風俗特殊営業の禁止区域に店があるのであれば風営法違反が成立する可能性が高いでしょう。
店舗型性風俗特殊営業と罰則
禁止区域で店舗型性風俗特殊営業を営業し、風営法違反で有罪になった場合には、2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金に処し、又はこれを併科されます。(風営法第49条5項、6項)
有罪になると懲役刑が科される可能性があり、禁止区域での店舗型性風俗特殊営業の営業は決して軽い犯罪だとはいえません。
店舗型性風俗特殊営業は「個室を設け、当該個室において異性の客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供する営業」だと風営法で規定されています。(風営法第2条6項2号)
ですが、風営法では、どういった接触の仕方が性的好奇心に応じた接触なのかが明確に規定されているわけではありません。
ですので、捜査段階では、店舗型性風俗特殊営業にあたると判断されていても、実際には店舗型性風俗特殊営業にはあたらないケースもあるかもしれません。
店舗型性風俗特殊営業にあたらないのであれば、当然、禁止区域でも営業できますので、風営法違反が成立しないことになります。
風営法が規定する性的好奇心に応じた接触にあたるかどうかは、接触の仕方や接触した部位など様々な要因で変化しますから、禁止区域での店舗型性風俗特殊営業で風営法違反の疑いをかけられている場合には、弁護士に相談をすることが望ましいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回接見サービス、無料法律相談を行っています。
風営法違反で捜査されている方は、お気軽に弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
【事例紹介】家の敷地内に侵入 住居侵入罪で逮捕
家の敷地内に侵入したとして、住居侵入罪の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
大津市議会の市議(68)宅の敷地内に侵入したとして、滋賀県警大津署は25日、住居侵入の疑いで、大津市の無職の男(45)を逮捕した。
逮捕容疑は(中略)、正当な理由がないのに同市の市議宅の敷地内に侵入した疑い。(後略)
(7月25日 京都新聞 「市議宅の敷地内侵入疑い男逮捕 教諭時代の教え子、これまでにも嫌がらせ 滋賀・大津」より引用)
住居侵入罪
刑法第130条
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
住居とは、簡単に説明すると、人が住むために建てられた建物で、人が実際に使用している建物を指します。
今回の事例では、容疑者が被害者宅の敷地内に侵入したとされています。
被害者宅は、実際に被害者がそこに住んでいるのであれば、被害者宅は住居に該当するでしょう。
では、敷地内ではあっても建物ではない部分、例えば庭などに侵入した場合には、住居侵入罪が成立するのでしょうか。
住居侵入罪の対象となるのは、住居である建物だけでなく、その附属となる囲繞地も含まれます。
昭和51年3月4日の最高裁判所の判例は、「囲繞地であるためには、その土地が、建物に接してその周辺に存在し、かつ、管理者が外部との境界に門塀等の囲障を設置することにより、建物の附属地として、建物利用のために供されるものであることが明示されれば足りる」としていますので、住居である建物に接していて、門や塀などで土地の境界が明確になっていれば、庭などの建物でない敷地であっても住居侵入罪の対象となります。
今回の事例では、容疑者が被害者宅の敷地内に侵入したとして、住居侵入罪の容疑で逮捕されたと報道されています。
敷地内に侵入と報道されていることから、おそらく建物内には侵入していないのでしょう。
ですが、建物そのものでなくとも、建物に接していて門や塀などで土地の境界が明確にされているのであれば、囲繞地にあたります。
大抵の家は門や扉で囲われていますので、被害者宅の敷地内が囲繞地にあたる可能性が高く、実際に容疑者が敷地内に侵入したのであれば、住居侵入罪が成立するおそれがあります。
住居侵入罪と逮捕
住居侵入罪で逮捕された場合、加害者が被害者の住居を知っていることから証拠隠滅のおそれがあるとして、釈放が認められにくいことがあります。
1度逮捕されてしまうと、最長で23日間、留置場で過ごすことになります。
勾留期間が長いほど、職場や学校などに事件のことを知られるリスクが高くなりますし、解雇や退学処分などに付されてしまう危険性もあります。
弁護士が検察官や裁判官に働きかけることで、早期釈放を実現できる可能性があります。
刑事事件では、逮捕後72時間以内に勾留の判断が行われるのですが、この判断前であれば、検察官や裁判官に釈放を求める意見書を提出することができます。
この意見書で、証拠隠滅や逃亡のおそれがないことを訴えることで、釈放を認めてもらえる可能性があります。
また。勾留が決定した場合であっても、弁護士が準抗告の申し立てを行うことで、釈放が認められる場合があります。
早期釈放を実現することで、職場や学校に事件のことを知られずに済む場合があります。
勾留前の釈放を目指すには、逮捕後72時間以内に意見書を提出する必要があるため、できる限り早く弁護活動を始める必要があります。
ですので、ご家族が逮捕された方、職場や学校に事件のことを知られたくない方は、お早めに、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
【事例紹介】現住建造物等放火罪と裁判員裁判
滋賀県東近江市で起きた現住建造物等放火事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
滋賀県東近江市で6日未明にあった民家火災で、滋賀県警東近江署は9日、現住建造物等放火の疑いで、(中略)逮捕した。
逮捕容疑は(中略)市内の木造2階建て住宅に火を放ち、約230平方メートルを全焼させた疑い。
(中略)出火当時は住宅に6人がいたが、逃げ出して無事だった。男は「知らない」と容疑を否認している。
(6月9日 京都新聞 「顔見知りの家に放火疑い、83歳男を逮捕 滋賀県警」より引用)
現住建造物等放火罪
現住建造物等放火罪は刑法第108条で「放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。」と規定されています。
簡単に説明すると、住宅や人がいる建物に放火して焼損させた場合に、現住建造物等放火罪が成立します。
今回の事例では、容疑者が木造2階建ての住宅に放火し、全焼させたとされています。
出火当時、住宅には6人がいたとされていますので、報道が事実なのであれば、今回の事例では現住建造物等放火罪が成立する可能性があります。
現住建造物等放火罪と裁判員裁判
現住建造物等放火罪は裁判員裁判の対象となる事件ですので、現住建造物等放火罪で起訴された場合には裁判員裁判が開かれることになります。
裁判員裁判とは、選ばれた市民が裁判員として参加する裁判のことをいいます。
裁判員裁判では、裁判の前に必ず公判前整理手続が行われるなど、必要となる弁護活動が通常の刑事裁判とかなり異なります。
例えば、公判前整理手続では重要となる証拠の整理が行われるのですが、公判前整理手続後に証拠を提出することは原則としてできなくなるため、公判前整理手続で裁判において有利にはたらく証拠を収集し、適切に証拠請求をする必要があります。
もしも公判前整理手続で有利な証拠を集められなかった場合には、後の裁判員裁判でかなり不利な状況に陥る可能性が高いです。
そういった状況を避けるためにも、刑事事件の豊富な弁護経験をもつ弁護士に相談することをお勧めします。
また、裁判員裁判では、裁判官と裁判員双方の意見が含まれた過半数の意見で判決が決まります。(裁判員の参加する刑事裁判に関する法律第67条1項)
ですので、裁判官だけでなく裁判員の判断もかなり重要になり、裁判員裁判では裁判員へのアピールが必要になります。
このように、裁判員裁判はかなり特殊な裁判ですので、現住建造物等放火罪などの裁判員裁判の対象事件の嫌疑をかけられた場合は、刑事事件に精通した弁護士を選任することが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件に精通した弁護士事務所です。
繰り返しになりますが、裁判員裁判はかなり特殊な裁判ですので、公判前整理手続での証拠収集や裁判員へのアピールなど、通常の刑事裁判とは異なった弁護活動が必要となります。
刑事事件に精通した弁護士に相談をすることで、執行猶予付き判決の獲得など、あなたにとってより良い結果を得られるかもしれません。
現住建造物等放火罪や裁判員裁判の対象となる事件でお困りの方は、ぜひ一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回接見サービス、無料法律相談のご予約は、0120ー631ー881にて24時間365日受け付けております。
【事例紹介】中学生にお酒を提供し、書類送検
滋賀県大津市にある居酒屋で中学生にお酒を提供したとして、書類送検された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
滋賀県大津市内の居酒屋で女子中学生らに酒を提供したとして、大津北署は9日、風営法違反の疑いで、居酒屋を経営する(中略)と、アルバイト店員(23)ら男性3人を書類送検した。
書類送検容疑は、(中略)女子中学生(13)ら4人が20歳未満と知りながら酒を提供した疑い。同12月11日ごろにも、当時中学生だった少女(16)ら3人に酒を提供した、としている。
(5月9日 京都新聞 「女子中学生らに酒を提供疑い 居酒屋店員ら書類送検」より引用)
風営法と20歳未満への酒類の提供
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第2条1項(以下「風営法」といいます)では、接待などを伴う飲食店や、店内の照度が10ルクス以下の飲食店、他からの見通しが困難で広さが5平方メートル以下の客席がある飲食店などの営業を「風俗営業」と規定しています。
風営法第22条1項6号では、風俗営業を営む者が、店内で20歳未満の者に酒類又はたばこを提供することを禁止しています。
これに違反し、風営法違反で有罪になった場合には、1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金に処し、又はこれを併科されることになります。(風営法第50条1項4号)
今回の事例では、滋賀県大津市にある居酒屋で中学生にお酒を提供したとされています。
居酒屋は飲食店になりますので、店内の照度が10ルクス以下であったり、個室などの見通しが悪く広さが5平方メートル以下の客席が店内にある場合には、風俗営業に該当します。
もしも、報道されている居酒屋が風俗営業に該当する場合には、20歳未満の者への酒類の提供は禁止されていますので、実際に、提供する相手が20未満であると認識しながら中学生にお酒を提供していたのであれば、風営法違反が成立する可能性があります。
20歳未満の飲酒と提供
では、飲食店が風俗営業に該当しない場合は、20歳未満の者にお酒を提供してもいいのでしょうか。
結論から言うと、風俗営業でない場合も20歳未満の者へのお酒の提供は禁止されています。
20歳未満の者の飲酒の禁止に関する法律第1条第3項では、飲食店営業者は20歳未満に酒類を販売、提供してはいけないと規定しています。
また、酒類を販売、提供する際には、年齢確認など必要な措置を講じなければなりません。(20歳未満の者の飲酒の禁止に関する法律第1条第4項)
風俗営業に該当しない飲食店営業者が20歳未満の者にお酒を提供し、20歳未満の者の飲酒の禁止に関する法律違反で有罪になった場合には、50万円以下の罰金が科されます。(20歳未満の者の飲酒の禁止に関する法律第3条1項)
書類送検と刑事処分
書類送検とは、事件が警察署から検察庁に引き継がれたことを言います。
書類送検は刑事処分ではありませんので、書類送検後も引き続き取調べなどの捜査が行われます。
書類送検後、事件の捜査が終了すると、検察官は起訴、略式起訴、不起訴の判断を行います。
起訴された場合は正式な裁判が行われますし、略式起訴の場合には裁判を行わずに罰金刑が科されます。
そして、不起訴になった場合には刑事罰は下されません。
略式起訴では裁判は行われませんが、罰金刑を科されることが不服である場合は裁判を行うことも可能です。
今回の事例でも例にもれず、今後、起訴、略式起訴、不起訴などの判断がなされることでしょう。
飲食店営業者が20歳未満へお酒を提供した場合、風俗営業者とそうでない場合に科される刑罰にかなりの差があります。
風営法違反の容疑をかけられていた場合であっても、営業形態が風俗営業に該当しない場合がありますので、風営法違反の容疑をかけられた際には、一度弁護士に相談をしてみることをお勧めします。
また、弁護士は検察官に処分交渉を行うことができます。
今後は年齢確認を徹底するなど再犯防止策を講じることや、行為が悪質とはいえないことなど、あなたの有利になる事情を検察官に訴えることで、不起訴処分の獲得など、あなたにとって少しでも良い結果を得られるかもしれません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、無料法律相談を行っています。
風営法違反でお困りの方、書類送検されてしまった方は、お気軽に弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
【事例紹介】賃金未払いで書類送検された事例
従業員の賃金を支払わず、大津労働基準監督署が社長と会社を最低賃金法違反の容疑で書類送検した事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
大津労働基準監督署は31日、最低賃金法違反(賃金不払い)の疑いで、滋賀県草津市の人材派遣会社と社長の男性(53)を書類送検した。
書類送検容疑は、従業員10人に対して2022年1月分の賃金全額240万6390円と、従業員4人に対して同年2月分の同122万7348円を所定の支払日に支払わなかった疑い。
(後略)
(3月31日 京都新聞 「従業員の賃金360万円以上を不払い疑い 滋賀の人材派遣会社を書類送検」より引用)
最低賃金法と賃金未払い
最低賃金法第4条1項では、「使用者は、最低賃金の適用を受ける労働者に対し、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならない。」と規定しています。
滋賀県の最低賃金は時給927円です。
ですので、滋賀県内で働く労働者には最低でも時給927円が支払われる必要があります。
もしも、滋賀県内で働いていて、支払われる賃金が時給927円よりも少なかったり、そもそも給料が支払われていない場合には、会社の使用者やその会社に最低賃金法違反の罪が成立することになります。
今回の事例では、従業員10人に対して昨年1月分の給料が、従業員4人に対して昨年2月分の賃金が支払われなかったとされています。
最低賃金法では、最低賃金額以上の賃金を支払わなければならないと規定していますので、報道の通り賃金が支払われていないのであれば、容疑者や容疑者の会社に最低賃金法違反の罪が成立することになります。
賃金の未払いと刑事処分
最低賃金額以上の賃金を支払わずに、最低賃金法違反で有罪になった場合には、50万円以下の罰金が科されます。(最低賃金法第40条)
では、賃金の未払いがあった場合には、どんな場合でも最低賃金法違反が成立し罰金刑が科されるのでしょうか。
結論から言うと、賃金の未払いがあったからといって、必ずしも最低賃金法違反で有罪になるわけではありません。
従業員への賃金の未払いがあったが、最低賃金法について不起訴処分となった事例がありますので、ご紹介します。
(今回の事例とこれから紹介する事例では、事件内容などが異なります。)
従業員2人への給与計約80万円を支払わなかったとして、彦根労働基準監督署に最低賃金法違反の疑いで逮捕された滋賀彦根市の(中略)男性と、同容疑で法人として書類送検されていた同社について、大津地検彦根支部は不起訴処分とした。(中略)
大津地検は「起訴しなければならないほど悪質な事案ではなかった」としている。
(2017年9月23日 産経新聞 「大津地検が不起訴処分 賃金未払いで逮捕、書類送検の住宅建設業者」より引用)
上記の事例では、従業員2人の賃金が未払いでしたが、起訴しなければならないほど悪質な事例ではなかったとして、不起訴処分になっています。
上記の事例のように、賃金の未払いがあったとしても、最低賃金法違反で刑事罰を受けない場合があります。
刑事事件で捜査を受けるにあたって、警察官や検察官から取調べを受けることになります。
取調べを受ける際に作成する供述調書は、裁判で扱う証拠となります。
ですので、あなたの意に反した供述調書を作成された場合には、後の裁判で不利になってしまう場合があり、そういった供述調書を作成されないためにも、取調べ対策が重要になってきます。
刑事事件に精通した弁護士と取調べ対策をしっかり行うことによって、あなたにとって不利な供述調書の作成を防ぎ、不起訴処分の獲得など、より良い結果を得られるかもしれません。
また、被害者に謝罪と賠償を行い、示談を締結することで、不起訴処分の獲得や科される罪の減軽を目指せる可能性があります。
加害者が直接被害者と示談交渉を行うことで、トラブルに発展する可能性があります。
また、加害者と直接示談交渉を行いたくない被害者もいらっしゃいます。
弁護士が加害者と被害者の間に入ることで、トラブルなくスムーズに示談を締結できる場合がありますので、示談交渉の際は加害者が直接行うのではなく、弁護士を介して示談交渉を行うことが望ましいでしょう。
加えて、弁護士は検察官に処分交渉を行うことができます。
刑事事件の豊富な弁護経験をもつ弁護士による処分交渉で、不起訴処分を獲得できるかもしれません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件に精通した法律事務所です。
刑事事件に精通した弁護士に相談をすることで、少しでもより良い結果を得られるかもしれません。
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刑事事件や最低賃金法違反でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
【事例紹介】包丁をウエストポーチに入れ、逮捕
大津市にある複合施設に包丁を持ちこんだとして、銃砲刀剣類所持等取締法違反の容疑で逮捕された事例について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
(前略)大津市浜大津の複合施設(中略)で、ウエストポーチに刃物を入れた男がいるのを、同施設に入居する(中略)職員が発見。さすまたで取り押さえ、通報を受けて駆けつけた滋賀県警大津署員に男を引き渡した。男は包丁2本(いずれも刃渡り16センチ)を持っており、同署員が銃刀法違反の疑いで現行犯逮捕した。
(中略)男が元職員のLINEに「今から職員を殺しに行く」とメッセージを送信。(中略)職員2人がさすまたを持って待機していたところ、男が現れたという。
(2月3日 読売新聞 「「息子が刃物を持って向かった」と電話、職員2人さすまた持って待機すると男が現れる」より引用)
銃刀法違反
銃砲刀剣類所持等取締法第22条
何人も、業務その他正当な理由による場合を除いては、内閣府令で定めるところにより計つた刃体の長さが6センチメートルをこえる刃物を携帯してはならない。ただし、内閣府令で定めるところにより計つた刃体の長さが8センチメートル以下のはさみ若しくは折りたたみ式のナイフ又はこれらの刃物以外の刃物で、政令で定める種類又は形状のものについては、この限りでない。
今回の事例では、容疑者が刃渡り16センチの包丁をウエストポーチの中に持っていたとされています。
銃砲刀剣類所持等取締法(以下「銃刀法」と言います)では、正当な理由なく刃渡り6センチを超える刃物を持ち歩くことを禁止しています。
ですので、容疑者が正当な理由なく包丁をウエストポーチの中に入れて持ち歩いていたのであれば、銃刀法違反が成立することになります。
また、報道によると、容疑者は事前に「今から職員を殺しに行く」とメッセージを送っていたようです。
人を殺害するためというのは、刃物を持ち歩くことの正当な理由にはならないでしょうから、今回の事例では銃刀法違反が成立する可能性が高いと思われます。
銃刀法違反と不起訴処分
刃物の携帯により銃刀法違反で有罪になった場合は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金が科されます。(銃刀法第31条の18第2項)
繰り返しになりますが、刃物を携帯していることに正当な理由があると認められる場合には、銃刀法違反は成立しません。
ですので、正当な理由があると判断してもらうことができれば、銃刀法違反について不起訴処分や無罪を得ることができます。
刃物を携帯していることに正当な理由があると判断をしてもらうためには、取調べ対応が重要になってきます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件に精通した法律事務所です。
刑事事件の弁護経験が豊富な弁護士による取調べのアドバイスで、不起訴処分を獲得できるかもしれません。
どういった事情が正当な理由にあたるかは、事件の事情によって異なりますので、一度弁護士に相談をするのがいいでしょう。
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【事例紹介】名誉毀損罪と親告罪
滋賀県米原市で起きた名誉毀損事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
滋賀県警米原署は28日、名誉毀損(きそん)の疑いで、(中略)逮捕した。容疑を認めているという。
逮捕容疑は1月9日、県内に住む男性(66)の実名を挙げ、「金は余りあるほどある」「複数の愛人へのお手当になるらしい」などと記載した文書をJR米原駅の男子トイレ内に置き、男性の名誉を傷つけた疑い。
(2月28日 京都新聞 「実名あげ「金は余りあるほどある」 駅トイレ内に文書、名誉毀損の疑いで県立高教諭を逮捕」より引用)
名誉毀損罪
刑法第230条第1項
公然と事実を摘示し、人の名誉を毀き損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。
名誉毀損罪を簡単に説明すると、真実であるかに関係なく、その人の社会的評価が下がるおそれがあることを不特定または多数の人が知れるような状態にすると成立します。
今回の事例では、容疑者がJR米原駅のトイレの中に被害者の実名と共に「複数の愛人へのお手当になるらしい」と記した文書を置いたと報道されています。
被害者に複数の愛人がいると思わせる文章は、被害者の社会的評価が下がるおそれがあると思われます。
また、JR米原駅のトイレは不特定多数の人が利用するでしょうから、そのトイレ内に文書を置けば、おそらく多数の人が文書を目にするおそれがあるといえるでしょう。
ですので、今回の事例では名誉毀損罪が成立すると考えられます。
名誉毀損罪で処罰されない場合
刑法第230条の2第1項
前条第1項の行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。
名誉毀損罪では、名誉毀損にあたる内容が真実であり、公益性があると認められる場合には、刑事処罰は科されません。
では今回の事例では、刑法第230条の2第1項の規定は適用されるのでしょうか。
報道によると今回の事例では、被害者の実名を挙げて、被害者に複数人の愛人がいると思わせる用な文書をJR米原駅のトイレ内に置いたとされています。
実際に被害者に愛人がいるかどうかはわかりませんが、仮に容疑者が記した文書が真実であったとしても、被害者に愛人がいるかどうかという情報に公益性はないと思われます。
ですので、おそらく今回の事例では、刑法第230条の2第1項の規定は適用されず、名誉毀損だと認められれば何らかの刑事処分が科されるでしょう。
名誉毀損罪と示談
名誉毀損罪は親告罪ですので、被害者が告訴を取り下げた場合には、名誉毀損罪で有罪になることはありません。
ですので、名誉毀損罪で捜査、逮捕された際には、被害者に謝罪と賠償を行い、告訴を取り下げてもらうことが重要になってきます。
今回の事例で、仮に容疑者の記した文書が名誉毀損にあたると判断されたとしても、容疑者が被害者と示談を締結し、告訴を取り下げてもらうことができれば容疑者は名誉毀損罪で起訴されないことになります。
刑事事件では、加害者本人と連絡を取りたくないと思われる被害者の方が多くいらっしゃいます。
ですので、加害者自らが被害者と示談交渉をする際には、示談の締結はおろか、連絡を取れない可能性もあります。
また、加害者自らが示談交渉をすることでトラブルを生む可能性もありますし、示談を締結できたとしても、示談の際に交わす示談書に不備がある場合もあります。
つつがなく示談を締結するためにも、弁護士を介して行うことが望ましいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回接見サービス、無料法律相談を行っています。
名誉毀損罪は告訴を取り下げてもらうことができれば、起訴されることはありません。
ですので、示談を締結するためにも、名誉毀損罪でお困りの方や示談交渉でお悩みの方は、一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
【事例紹介】滋賀県草津市 動物愛護法違反で捜査されている事例
【事例紹介】滋賀県草津市 動物愛護法違反で捜査されている事例
住宅敷地内で猫の死骸が見つかった事件を基に、動物愛護法違反について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
(前略)滋賀県草津市矢橋町の住宅敷地で、体の一部が切られた猫の死骸を住人が見つけ、110番した。滋賀県警草津署によると、死骸は敷地に埋められていたといい、動物愛護法違反の疑いで調べている。
(12月20日 京都新聞 「住宅敷地で体の一部切られた猫の死骸を発見 動物愛護法違反の疑い 滋賀・草津」より引用)
動物愛護法違反
今回取り上げた報道では、滋賀県草津市で体の一部が切られた猫の死骸が見つかり、動物愛護法違反の容疑で滋賀県草津警察署が捜査しているとされています。
愛護動物である猫を殺した場合には、動物愛護法違反の罪に問われることが考えられます。
ですので、猫の体の一部が切られているのが人の犯行であった場合には、動物愛護法違反が成立することが予想され、今回の事例でも動物愛護法違反で調べられているのでしょう。
猫を殺して動物愛護法違反で有罪になった場合には、5年以下の懲役または500万円以下の罰金が科されます。(動物愛護法第44条1項)
器物損壊罪
もしも、この猫の死骸が他人のペットだった場合、器物損壊罪に問われる可能性があります。
器物損壊罪は、他人のものを損壊または傷害した場合に成立する犯罪です。
器物損壊罪の対象である「物」には動物も含まれるため、他人の動物、つまり他人のペットを傷つけたり殺した場合には、器物損壊罪に問われることになります。
器物損壊罪の法定刑は3年以下の懲役または30万円以下の罰金もしくは科料(刑法第261条)ですので、犯人が殺した猫が他人のペットだった場合には、器物損壊罪として懲役刑や罰金刑、科料刑が科される可能性があります。
自首
今回取り上げた事例では、報道時点で犯人は分かっておらず、滋賀県草津警察署が調べている段階のようです。
例えば、こうして警察が捜査を開始した段階で報道があり、そこから事件の現状を知って自首をしたいと考える方もいらっしゃいます。
自首が認められれば科される量刑が軽くなる可能性があるなど、自首をすることにはメリットも存在しますが、自首によって事件が発覚してしまう可能性もありますし、法律上の自首として認められないケースもあるなど、メリットだけではなくデメリットも存在します。
ですので、自首を検討している方は、自首する前に一度、弁護士に相談することをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、自首を検討している方のご相談も受け付けております。
弊所では、初回の法律相談を無料で行っていますので、自首を検討している方、動物愛護法違反や器物損壊罪でご不安な方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
無料法律相談のご予約は0120―631―881にて24時間365日受け付けております。
(事例紹介)SNSへの虚偽投稿で名誉毀損罪・偽計業務妨害罪
(事例紹介)SNSへの虚偽投稿で名誉毀損罪・偽計業務妨害罪
~事例~
コンビニの店長が新型コロナウイルスに感染したとする虚偽の情報をSNSに投稿したとして、名誉毀損(きそん)と偽計業務妨害の罪に問われた滋賀県草津市の無職女(54)の判決が18日、大津地裁であり、西脇真由子裁判官は懲役8月、執行猶予3年(求刑懲役1年)を言い渡した。
判決によると、女は2020年5月3日、甲賀市のコンビニ店長の写真とともに「私コロナ感染者と近寄って来た」「この店には絶対行かないで」などとSNSに投稿し、店長の名誉を毀損し、店長らに問い合わせ電話への対応を余儀なくさせて業務を妨害した。
(後略)
(※2022年10月18日18:12YAHOO!JAPANニュース配信記事より引用)
~SNSへの虚偽投稿~
昨今では、SNSが普及しており、この記事を読んでいる方の中にもSNSを利用して投稿を閲覧したり投稿したりしている人もいらっしゃるのではないでしょうか。
こうしたSNSは、アプリを利用している人であれば誰でも投稿を見ることができたり、投稿をすることができるため、投稿は多くの人に広まることが予想されます。
このようなことから、SNSへの投稿をめぐって、今回の事例のような名誉毀損罪や偽計業務妨害罪の問題に発展することもあります。
名誉毀損罪と偽計業務妨害罪は、どちらも刑法に定められている犯罪です。
刑法第230条第1項(名誉毀損罪)
公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。
刑法第233条(偽計業務妨害罪)
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
名誉毀損罪の「公然と事実を摘示」するとは、事実を示すことで不特定または多数の人にその事実が認識できる状態にすることを指します。
今回の事例でいえば、被告はSNSにコンビニ店長について書かれた投稿を行ったとされています。
先ほど触れた通り、SNSは誰でも利用することができ、不特定多数の人にその投稿を見られる可能性のあるものですから、SNSに投稿をするということは「公然と事実を摘示」することになります。
なお、この「公然と」「摘示」される「事実」が真実なのかどうかということは名誉毀損罪の成立の有無に関係ありません(ただし、公共の利害に関して公益を図る目的でした行為の場合は、事実が真実である場合に、名誉毀損罪によって罰せられないという特例があります。)。
そのため、誰かの名誉を毀損する=誰かの地位や評価を下げる可能性のある事実をSNSに投稿する行為は、多くの場合名誉毀損罪に当たり得るということになります。
加えて、今回の事例で名誉毀損罪と同じく被告に容疑がかけられていた偽計業務妨害罪は、「偽計を用いて」業務妨害をした際に成立する罪です。
業務妨害罪は、今回取り上げている偽計業務妨害罪と、威力業務妨害罪に大きく分けられますが、この2つの刑罰の重さに違いはなく、業務妨害行為をする手段として「偽計」を用いたか「威力」を用いたかという部分が違う犯罪となります。
今回の事例で問題となっていた偽計業務妨害罪は、「偽計」を用いて業務妨害行為をした場合に成立する罪ですが、「偽計」を用いるとは、嘘をついて相手を騙したり、相手が勘違いをしていたりそのことを知らなかったりすることを利用したりすること以外にも、「威力」を用いること以外の手段を用いることを指します。
今回の事例の報道を見ると、コンビニ店の店長についての情報をSNSで虚偽投稿し拡散させたという手段が、この「偽計」であると判断されたのでしょう。
そして、業務妨害行為となるかどうかは、実際に業務が妨害された際はもちろん、業務に支障が出る危険性があったというだけでも認められるとされています。
今回の事例の場合、報道によると、SNSへの虚偽投稿によって、店に問い合わせの電話が多くなり、それによって日常の業務に差しさわりが出た=業務が妨害されたということのようです。
そのため、名誉毀損罪だけでなく偽計業務妨害罪にも問われたということだと考えられます。
SNSに関連する犯罪は、SNSの存在が身近だからこそ、誰でも関わり得るものです。
犯罪に触れないように注意しながらSNSを使うことはもちろんですが、それでも刑事事件の当事者となってしまったら、早い段階で適切な対応ができるよう、専門家である弁護士のサポートを受けることをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の初回無料法律相談は、0120-631-881でご予約可能です。
名誉棄損事件や偽計業務妨害事件への対応にお困りの方、SNSに関連した刑事事件にお悩みの方は、一度お問い合わせください。
逮捕・勾留されている方は、有料の初回接見サービスのご用意もございますので、まずはお電話ください。