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【事例紹介】酒気帯び運転による事故で逮捕 滋賀県甲賀市

2023-03-23

滋賀県甲賀市水口町で起きた酒気帯び運転による事故で、過失運転致傷罪道路交通法違反の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

滋賀県警甲賀署は18日、自動車運転処罰法違反(過失運転致傷)と道交法違反(酒気帯び運転)の疑いで、(中略)現行犯逮捕した。
逮捕容疑は(中略)同市水口町で乗用車を飲酒運転し、前方を走行していた乗用車に追突し、運転していた会社員男性(40)の首などに軽傷を負わせた疑い。
(3月18日 京都新聞 「飲酒運転で前方の乗用車に追突 容疑の60歳男を逮捕 滋賀・甲賀」より引用)

過失運転致傷罪

過失運転致傷罪は、刑法ではなく自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(以下「自動車運転処罰法」といいます)で規定されています。

簡単にいうと、車の運転中に過失により人にけがを負わせてしまった場合に、過失運転致傷罪が成立します。
過失運転致傷罪の法定刑は、7年以下懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金です。(自動車運転処罰法第5条)
また、けがの程度が軽いときには、刑罰が科されない場合があります。(自動車運転処罰法第5条)

今回の事例では、容疑者は前方を走行していた車に追突し、被害者の首に軽傷を負わせたとされています。
容疑者が前方不注視などの過失により追突事故を起こし、被害者にけがを負わせたのであれば、自動車運転処罰法違反が成立することになります。

酒気帯び運転

道路交通法第65条第1項では、酒気帯び運転を禁止しています。
酒気帯び運転とは、身体に血液1ミリリットルにつき0.5ミリグラム以上又は呼気1リットルにつき0.25ミリグラム以上のアルコールを保有する状態で運転する行為をいいます。

酒気帯び運転を行い、道路交通法違反で有罪になった場合には、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科されます。(道路交通法第117条の2の2第1項第3号)
また、お酒に酔い、正常な運転ができないおそれがある状態で車を運転することを酒酔い運転といいます。
酒酔い運転をした場合に、道路交通法違反で有罪になると、5年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科されます。(道路交通法第117条の2第1項)

今回の事例では、容疑者が酒気帯び運転をしたとされています。
実際に、容疑者が道路交通法施行令で定められている程度以上のアルコールを保持していた場合は、酒気帯び運転にあたりますので、道路交通法違反が成立することになります。

交通事故と弁護活動

前述したように、過失運転致傷罪で有罪になると、7年以下懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金を科されます。
過失運転致傷罪では、相手のけがの程度が軽い場合には刑が免除される場合があります(自動車運転処罰法第5条)ので、過失運転致傷罪が成立したとしても、弁護士が検察官や裁判官に訴えることで、刑事罰を免除してもらえる可能性があります。

また、酒気帯び運転酒酔い運転を比べると、酒酔い運転の方が法定刑が重くなっています。
現に、酒酔い運転が成立すると判断された場合には、初犯であっても、公判請求されるケースが多くあります。
酒酔い運転したと認定するには合理的疑いが残ると判断してもらうためにも、取調べ対応が重要になってきます。
取調べの際に作成される供述調書は裁判の際に証拠として扱われますので、しっかりと取調べ対策を行うためにも、交通事故の豊富な弁護経験をもつ弁護士に相談をすることが望ましいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では初回接見サービス、無料法律相談を行っています。
酒気帯び運転などの飲酒運転や過失運転致傷罪でお困りの方は、ぜひ一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回接見サービス、無料法律相談のご予約は、0120ー631ー881で受け付けております。

【事例紹介】盗撮と略式起訴、不起訴処分

2023-03-15

滋賀県で起きた盗撮事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

滋賀県教育委員会は28日、女子生徒らの下着を盗撮したとして、(中略)を懲戒免職にした。(中略)
県教委によると、(中略)JR篠原駅の階段で女性のスカートの下にスマートフォンを差し入れて動画を撮影した。また、(中略)県内の学校でも女子生徒の下着を盗撮した。「周囲に人がいなかったので行為に及んでしまった」と認めているという。
(中略)篠原駅での行為について、県迷惑行為防止条例違反の疑いで11月29日に近江八幡署に逮捕されたが、不起訴になった。学校での行為については、同条例違反の罪で12月19日に略式起訴され、罰金50万円の略式命令を受けたという。
(2月28日 京都新聞 「学校で女子生徒の下着を盗撮 研修指導主事を懲戒免職、滋賀県教委」より引用)

盗撮と滋賀県迷惑行為等防止条例

滋賀県迷惑行為等防止条例第3条2項
何人も、公共の場所、公共の乗物または集会所、事務所、学校その他の特定多数の者が集まり、もしくは利用する場所にいる人の下着等を見、またはその映像を記録する目的で、みだりに写真機、ビデオカメラその他撮影する機能を有する機器(以下「写真機等」という。)を人に向け、または設置してはならない。

盗撮は各都道府県の迷惑行為防止条例で禁止されています。
滋賀県では、滋賀県迷惑行為等防止条例盗撮の禁止を規定しています。

今回の事例では、男性が駅や学校で盗撮を行ったとされています。
滋賀県迷惑行為等防止条例第3条2項では、公共の場所や学校での盗撮を禁止していますので、今回の事例では、滋賀県迷惑行為等防止条例違反が成立します。

駅や学校で盗撮を行い、滋賀県迷惑行為等防止条例違反で有罪になった場合は、6月以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます。(滋賀県迷惑行為等防止条例第11条1項1号)
また、常習して盗撮を行っていたと判断された場合には、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されることになります。(滋賀県迷惑行為等防止条例第11条2項)

不起訴処分と略式起訴

不起訴処分が下された場合には、言葉のとおり起訴されませんから、刑事罰は科されませんし前科も付きません。
一方で、略式起訴の場合は、起訴されていますので刑事罰が科されますし、前科も付いてしまいます。

略式起訴とは簡単に説明すると、裁判を行わずに罰金刑を科す刑事処分のことを指します。
ですので、略式起訴の場合は正式に起訴された場合に比べて、裁判が行われない分、早期に事件を終了することができます。
また、略式起訴では罰金刑以下の刑罰しか科されませんので、略式起訴になった場合には罰金刑より重い懲役刑や禁錮刑が科されることはありません。

弁護活動と不起訴処分

被害者と示談を締結することで、不起訴処分を獲得できる場合があります。

盗撮事件では、加害者に連絡先を教えたくないと思う被害者の方も多く、連絡先を知ることができない場合があります。
また、仮に連絡先を知っていた場合であっても、加害者と直接、示談交渉を行いたくない方もいらっしゃいますので、示談交渉を行う際には弁護士を通じて行うことが望ましいといえます。

また、弁護士は検察官への処分交渉を行うことができます。
刑事事件に精通した弁護士による示談交渉処分交渉取調べのアドバイスにより、不起訴処分を獲得できるかもしれません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回接見サービスや無料法律相談を行っています。
盗撮などの滋賀県迷惑行為等防止条例違反、その他刑事事件でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。 

【事例紹介】包丁をウエストポーチに入れ、逮捕

2023-03-08

大津市にある複合施設に包丁を持ちこんだとして、銃砲刀剣類所持等取締法違反の容疑で逮捕された事例について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

(前略)大津市浜大津の複合施設(中略)で、ウエストポーチに刃物を入れた男がいるのを、同施設に入居する(中略)職員が発見。さすまたで取り押さえ、通報を受けて駆けつけた滋賀県警大津署員に男を引き渡した。男は包丁2本(いずれも刃渡り16センチ)を持っており、同署員が銃刀法違反の疑いで現行犯逮捕した。
(中略)男が元職員のLINEに「今から職員を殺しに行く」とメッセージを送信。(中略)職員2人がさすまたを持って待機していたところ、男が現れたという。
(2月3日 読売新聞 「「息子が刃物を持って向かった」と電話、職員2人さすまた持って待機すると男が現れる」より引用)

銃刀法違反

銃砲刀剣類所持等取締法第22条
何人も、業務その他正当な理由による場合を除いては、内閣府令で定めるところにより計つた刃体の長さが6センチメートルをこえる刃物を携帯してはならない。ただし、内閣府令で定めるところにより計つた刃体の長さが8センチメートル以下のはさみ若しくは折りたたみ式のナイフ又はこれらの刃物以外の刃物で、政令で定める種類又は形状のものについては、この限りでない。

今回の事例では、容疑者が刃渡り16センチの包丁をウエストポーチの中に持っていたとされています。
銃砲刀剣類所持等取締法(以下「銃刀法」と言います)では、正当な理由なく刃渡り6センチを超える刃物を持ち歩くことを禁止しています。
ですので、容疑者が正当な理由なく包丁をウエストポーチの中に入れて持ち歩いていたのであれば、銃刀法違反が成立することになります。

また、報道によると、容疑者は事前に「今から職員を殺しに行く」とメッセージを送っていたようです。
人を殺害するためというのは、刃物を持ち歩くことの正当な理由にはならないでしょうから、今回の事例では銃刀法違反が成立する可能性が高いと思われます。

銃刀法違反と不起訴処分

刃物の携帯により銃刀法違反で有罪になった場合は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金が科されます。(銃刀法第31条の18第2項)
繰り返しになりますが、刃物を携帯していることに正当な理由があると認められる場合には、銃刀法違反は成立しません。
ですので、正当な理由があると判断してもらうことができれば、銃刀法違反について不起訴処分無罪を得ることができます。

刃物を携帯していることに正当な理由があると判断をしてもらうためには、取調べ対応が重要になってきます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件に精通した法律事務所です。
刑事事件の弁護経験が豊富な弁護士による取調べのアドバイスで、不起訴処分を獲得できるかもしれません。
どういった事情が正当な理由にあたるかは、事件の事情によって異なりますので、一度弁護士に相談をするのがいいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回接見サービス、無料法律相談を行っています。
銃刀法違反でお困りの方、取調べ対応でご不安な方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

【事例紹介】名誉毀損罪と親告罪

2023-03-01

滋賀県米原市で起きた名誉毀損事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

滋賀県警米原署は28日、名誉毀損(きそん)の疑いで、(中略)逮捕した。容疑を認めているという。
逮捕容疑は1月9日、県内に住む男性(66)の実名を挙げ、「金は余りあるほどある」「複数の愛人へのお手当になるらしい」などと記載した文書をJR米原駅の男子トイレ内に置き、男性の名誉を傷つけた疑い。
(2月28日 京都新聞 「実名あげ「金は余りあるほどある」 駅トイレ内に文書、名誉毀損の疑いで県立高教諭を逮捕」より引用)

名誉毀損罪

刑法第230条第1項
公然と事実を摘示し、人の名誉を毀き損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。

名誉毀損罪を簡単に説明すると、真実であるかに関係なく、その人の社会的評価が下がるおそれがあることを不特定または多数の人が知れるような状態にすると成立します。

今回の事例では、容疑者がJR米原駅のトイレの中に被害者の実名と共に「複数の愛人へのお手当になるらしい」と記した文書を置いたと報道されています。
被害者に複数の愛人がいると思わせる文章は、被害者の社会的評価が下がるおそれがあると思われます。
また、JR米原駅のトイレは不特定多数の人が利用するでしょうから、そのトイレ内に文書を置けば、おそらく多数の人が文書を目にするおそれがあるといえるでしょう。
ですので、今回の事例では名誉毀損罪が成立すると考えられます。

名誉毀損罪で処罰されない場合

刑法第230条の2第1項
前条第1項の行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。

名誉毀損罪では、名誉毀損にあたる内容が真実であり、公益性があると認められる場合には、刑事処罰は科されません。

では今回の事例では、刑法第230条の2第1項の規定は適用されるのでしょうか。

報道によると今回の事例では、被害者の実名を挙げて、被害者に複数人の愛人がいると思わせる用な文書をJR米原駅のトイレ内に置いたとされています。
実際に被害者に愛人がいるかどうかはわかりませんが、仮に容疑者が記した文書が真実であったとしても、被害者に愛人がいるかどうかという情報に公益性はないと思われます。
ですので、おそらく今回の事例では、刑法第230条の2第1項の規定は適用されず、名誉毀損だと認められれば何らかの刑事処分が科されるでしょう。

名誉毀損罪と示談

名誉毀損罪親告罪ですので、被害者が告訴を取り下げた場合には、名誉毀損罪で有罪になることはありません。
ですので、名誉毀損罪で捜査、逮捕された際には、被害者に謝罪と賠償を行い、告訴を取り下げてもらうことが重要になってきます。

今回の事例で、仮に容疑者の記した文書が名誉毀損にあたると判断されたとしても、容疑者が被害者と示談を締結し、告訴を取り下げてもらうことができれば容疑者は名誉毀損罪で起訴されないことになります。

刑事事件では、加害者本人と連絡を取りたくないと思われる被害者の方が多くいらっしゃいます。
ですので、加害者自らが被害者と示談交渉をする際には、示談の締結はおろか、連絡を取れない可能性もあります。
また、加害者自らが示談交渉をすることでトラブルを生む可能性もありますし、示談を締結できたとしても、示談の際に交わす示談書に不備がある場合もあります。
つつがなく示談を締結するためにも、弁護士を介して行うことが望ましいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回接見サービス、無料法律相談を行っています。
名誉毀損罪告訴を取り下げてもらうことができれば、起訴されることはありません。
ですので、示談を締結するためにも、名誉毀損罪でお困りの方や示談交渉でお悩みの方は、一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

【事例紹介】大津市のスーパーで配管を盗んで逮捕

2023-02-22

大津市内にあるスーパーマーケットで真ちゅう製のバルブを盗んだ窃盗事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

大津市のスーパーマーケットでトイレの配管を相次いで盗んだとして、滋賀県警大津署は8日、窃盗の疑いで、同市、土木作業員の男(56)を逮捕した。
(中略)大津市内のスーパーマーケット3店舗の男子トイレの個室から、水洗レバーが付いた真ちゅう製のバルブ(計約8万円相当)を盗んだ疑い。
同署によると、容疑者は盗んだ配管を県内のリサイクル業者に売却していた。「生活費に困ってやった」と話している、という。(後略)
(2022年12月8日 京都新聞 「スーパー3店のトイレからバルブ盗んだ疑い、土木作業員の男を逮捕「生活費に困り」」より引用)

窃盗罪

刑法第235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

他人が占有している財物をその人の意思に反して盗むと窃盗罪が成立します。

今回の事例では、容疑者が大津市内のスーパーマーケット3店舗から真ちゅう製のバルブを盗んだとされています。
真ちゅう製のバルブは財物にあたりますし、真ちゅうバルブの占有者はおそらくスーパーマーケットの店長でしょう。
ですので、容疑者が真ちゅう製のバルブを占有者の同意なく取ったのであれば、窃盗罪が成立する可能性があります。

また、今回の事例では、容疑者が盗んだ配管をリサイクル業者に売却していたと報道されています。
転売目的での窃盗だと判断されれば、悪質性が高いと判断される可能性がありますし、そうなると窃盗罪で有罪になった場合に、同種事案よりも重い量刑が科されてしまうかもしれません。

示談を締結していることで科される刑罰が軽くなったり、不起訴処分を獲得できる場合があります。
示談交渉は加害者自らが行うことも不可能ではありませんが、加害者が自ら連絡を取ることを嫌がられる場合もありますし、トラブルになる可能性もありますので、あまりお勧めできません。
また、示談を一度断られていたとしても、弁護士が連絡を取ることで示談を締結できることがありますので、示談交渉を行う際には弁護士を介して行うことが望ましいといえます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を中心に扱う法律事務所です。
刑事事件に詳しい弁護士による的確なアドバイスや示談交渉により、不起訴処分の獲得や少しでも科される量刑を軽くできるかもしれません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では初回接見サービス、初回無料法律相談を行っています。
窃盗罪で逮捕された方、お困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回接見サービス、初回無料法律相談のご予約は0120ー631ー881で受け付けております。

【事例紹介】監護者性交等罪、傷害罪で実刑判決

2023-02-15

【事例紹介】監護者性交等罪、傷害罪で実刑判決

監護者性交等罪、傷害罪で実刑判決を下された事例を基に、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が監護者性交等罪、傷害罪について解説します。

事例

娘に性的暴行を加えたとして監護者性交と傷害の罪に問われたブラジル人の男の判決公判が9日、大津地裁であり、畑山靖裁判長は懲役7年(求刑同8年)を言い渡した。男は即日控訴した。
判決によると、男は4月中旬~下旬、自宅で娘と性交し、5月24日、娘の両腕や右肩をベルトで複数回たたいて全治7日間の打撲傷などを負わせた。
(中略)裁判長は(中略)「娘は嫌な時は嫌と言っていた」とする男の供述について、「被害者は性的行為に嫌悪感を抱いていたものの、被告の(父親としての)影響力から明確に拒絶できなかったに過ぎない」と指摘。(中略)
傷害罪については、「(中略)しつけのつもりだった」とする男の供述に対し、「しつけの範疇(はんちゅう)を超えている」とし、日常的な暴力があったと指摘した。
(後略)
(2023年11月9日 京都新聞 「父の性的暴行に娘「明確に拒絶できず」被告の男に懲役7年判決 大津地裁」より引用 )

監護者性交等罪

刑法第179条2項
18歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じて性交等をした者は、第177条の例による。
※注:「第177条」とは、刑法第177条の強制性交等罪のことを指します。

簡単に説明すると、監護者性交等罪は、18歳未満の子どもに対して、親など(子どもの生活を支えている者)が立場や子どもへの影響力を利用して性行為を行うと成立する犯罪です。
監護者性交等罪の法定刑は、強制性交等罪(刑法第177条)と同じ5年以上の有期懲役です。

強制性交等罪の成立には、被害者の抵抗を困難にする程度の強さの暴行や脅迫行為が必要とされていますが、監護者性交等罪については、監護者がその影響力に乗じて子どもに性行為を行っていれば成立しますのでしますので、必ずしも暴行や脅迫は必要ありません。

報道によると、被告人は被害者が性的行為を拒絶しなかった旨の供述をしていますが、この供述に対して裁判長は「被告の(父親としての)影響力から明確に拒絶できなかったに過ぎない」と指摘しています。
すなわち、この裁判では、被告人が被害者の父親であるという影響力が被害者の抵抗を困難にしたと判断されたものと考えられます。
親などがその立場や影響力を利用して18歳未満の子どもに性行為を行うと監護者性交等罪が成立しますので、こうしたことから被告人は監護者性交等罪で有罪判決が下されたのでしょう。

傷害罪

刑法第204条
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役または50万円以下の罰金に処する。

大まかに説明すると、人を暴行し、けがをさせた場合は傷害罪が成立します。
ですので、たとえしつけの為であったとしても、子どもを暴行しけがをさせてしまえば傷害罪が成立することになります。

今回の事例では、被告人が被害者の腕や肩をベルトでたたき全治7日間の打撲傷を負わせたとされています。
ベルトで人を叩く行為は暴行にあたりますし、被告人の暴行により被害者は全治7日を要するけがを負っていますので、被告人の行為は傷害罪に該当します。
実際に、裁判では被告人の暴行はしつけの範疇を超えているとして、傷害罪の成立が認められています。

監護者性交等罪の法定刑は5年以上の有期懲役ですので、有罪になってしまった場合、執行猶予判決を獲得することは難しく、実際に今回の事例では、別途傷害罪が成立すると判断されたこともあり、実刑判決が下されています。
こうした実刑判決が見込まれる事件では刑罰を減軽するための弁護活動も重要となりますし、そもそも容疑を否認しているということであれば、無罪を求める弁護活動を早い段階から開始することが理想的です。
監護者性交等罪傷害罪でお困りの方、弁護士を探していらっしゃる方は、お気軽に弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
弊所では、初回接見サービス、無料法律相談を行っており、0120-631-881でお問い合わせ・ご予約を受け付けております。
まずは遠慮なくお問い合わせください。

【事例紹介】原材料を横領し、業務上横領罪で逮捕

2023-02-09

滋賀県近江八幡市で起きた業務上横領事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

滋賀県警近江八幡署は19日、業務上横領の疑いで、(中略)逮捕した。
逮捕容疑は(中略)滋賀県近江八幡市のプラスチック容器製造会社に契約社員として勤務していた時に、別の男(49)と共謀して会社内に保管されていたプラスチック製品の原材料10トン(約140万円相当)を持ち出した疑い。
(1月19日 京都新聞 「プラスチック原材料10トンを横領 容疑で61歳派遣社員の男を逮捕、滋賀」より引用)

業務上横領罪

業務上横領罪は、業務上自己の占有する他人の物を横領すると成立します。
例えば、業務の一環として管理を任されている他人の物を横領した場合は、業務上横領罪が成立します。

今回の事例では、容疑者が別の男と共謀してプラスチック製品の原材料を横領したとされています。
業務上横領罪では、横領の対象となる物として現金をイメージする方も多いのではないでしょうか。
業務上横領罪の対象となる物は、業務上自己の占有する他人の物です。
ですので、今回の事例のようなプラスチック製品の原材料といった現金以外の財物であっても、その他の業務上横領罪の構成要件を満たすのであれば、業務上横領罪は成立します。

では、今回の事例では業務上横領罪の構成要件である「業務上自己の占有する」という要件を満たすでしょうか。

今回横領したとされているプラスチック製品の原材料は、報道によると会社内に保管されていた物ですので、会社の物だと思われます。

したがって、もしも容疑者が業務の一環として、このプラスチック製品の原材料の管理を任されていたのであれば、「業務上自己の占有する」他人の物を横領したことになりますので、業務上横領罪が成立します。
しかし、報道の通り会社が保管しているプラスチック製品の原材料を持ち出してはいたが、管理を任されていなかった場合は、業務上横領罪ではなく、窃盗罪又は単純横領罪が成立する可能性があります。

業務上横領罪の法定刑は、10年以下の懲役です。(刑法第253条)
一方で、窃盗罪の法定刑は、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金(刑法第235条)であり、業務上横領罪とは違って罰金刑が規定されています。
また、単純横領罪の法定刑は、5年以下の懲役です。(刑法第252条1項)

業務上横領罪が成立するためには、業務上自己が占有していたと認められる必要があります。
もしも検察官や裁判官が、業務上自己が占有していたとするには合理的な疑いが残ると判断した場合には、業務上横領罪ではなく罰金刑の規定がある窃盗罪や、業務上横領罪より法定刑の軽い単純横領罪が適用される可能性がありますし、業務上横領罪については不起訴処分又は無罪になるかもしれません。

業務上横領罪窃盗罪単純横領罪のどの罪が成立するかは、事件の内容次第で異なります。
事件の内容によっては、業務上横領罪窃盗罪単純横領罪ではなく、全く別の罪が成立する可能性もあるかもしれません。
成立する罪によって法定刑も変わってきますから、一度刑事事件に詳しい弁護士に相談をしてみることが望ましいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件に強い法律事務所です。
刑事事件に強い弁護士に相談をすることで、少しでもいい結果を得られるかもしれません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回接見サービス無料法律相談を行っています。、
業務上横領罪窃盗罪単純横領罪、その他刑事事件でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

【事例紹介】小学校への犯行予告、威力業務妨害罪で逮捕

2023-02-01

小学校に脅迫文を送り、威力業務妨害罪で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

滋賀県東近江市の(中略)小を襲撃する内容の郵便を送ったとして、滋賀県警捜査1課と東近江署は20日、威力業務妨害の疑いで、(中略)女(32)を逮捕したと発表した。
逮捕容疑は昨年7月5日ごろ、「校門に車で突入し、終業式の最中にガソリンを大量にまいて子どもをたくさん犠牲にする」などと書かれた紙を同小に郵送し業務を妨げた疑い。同月20日に予定していた終業式は前日に変更になり、警察が周辺校も含め警戒した。
(後略)
(1月20日 京都新聞 「「終業式でガソリンまく」小学校に脅迫文送った疑い 32歳の会社員女逮捕」より引用)

偽計業務妨害罪と威力業務妨害罪

刑法第233条
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

刑法第234条
威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。

刑法第233条は偽計業務妨害罪、刑法第234条は威力業務妨害罪の条文です。

偽計業務妨害罪威力業務妨害罪はどちらも業務が妨害されるおそれがあった場合に成立します。

では、偽計業務妨害罪威力業務妨害罪では何が違うのでしょうか。

偽計業務妨害罪威力業務妨害罪は構成要件が少し違います。

偽計業務妨害罪は偽計を用いた場合に、威力業務妨害罪は威力を用いた場合にそれぞれ成立することになります。

偽計、威力ではわかりにくいと思いますので、それぞれを簡単に説明していきます。

偽計とは、人を欺罔することや、人の不知、錯誤を利用することをいいます。
例えば、人にうそをついて騙したり、誤解するように仕向けた場合などが挙げられます。

威力とは、人の意思を制圧するに足る勢力を使用することをいいます。
例えば、暴行や脅迫などが威力にあたります。

今回の事例と威力業務妨害罪

では、今回の事例では偽計業務妨害罪威力業務妨害罪のどちらが成立するのでしょうか。

今回の事例では、「校門に車で突入し、終業式の最中にガソリンを大量にまいて子どもをたくさん犠牲にする」という脅迫文を小学校に送っています。
終業式の最中にガソリンをまいて子どもを犠牲にするといった内容の脅迫文を送られれば、「20日に予定していた終業式を取りやめた方がいいかも」や「終業式の日付を変えた方がいいかもしれない」など考えるでしょう。
脅迫文により、そういった考えにさせることは、「20日に終業式を行う」という自由意思を制圧していると考えられます。
ですので、今回の事例の容疑者は、威力業務妨害罪の罪に問われる可能性があります。

威力業務妨害罪の法定刑は、偽計業務妨害罪と同様の3年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。
ですので、有罪になれば懲役刑か罰金刑が科されることになります。
しかし、威力業務妨害罪にあたる行為をしたからといって、必ずしも刑罰を受けるわけではありません。
検察官に不起訴処分の判断を下してもらうことができれば、刑罰が科されることはありませんし、前科も付きません。

検察官に不起訴処分の判断をしてもらうためには、示談の締結が重要になります。
弁護士が示談交渉を行うことで示談を締結できる場合があります。
示談交渉は弁護士を介さずに行うことも不可能ではありませんが、被害者によっては、加害者に連絡先等を知られたくない方も多く、加害者が直接連絡をすると拒まれる場合があります。
そうなると、当然示談を締結することはできませんので、示談交渉を行う際は、弁護士を介して行うのがいいでしょう。

また、弁護士は検察官に対して処分の交渉を行うことができます。
弁護士が処分交渉を行うことにより、不起訴処分が妥当だと認めてもらえるかもしれません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件の豊富な弁護経験をもつ法律事務所です。
経験豊富な弁護士に相談をすることで、不起訴処分の獲得を目指せるかもしれません。
弊所では初回接見サービス無料法律相談を行っています。
偽計業務妨害罪威力業務妨害罪でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

(事例紹介)情状酌量による減軽と殺人罪での執行猶予判決

2023-01-25

(事例紹介)情状酌量による減軽と殺人罪での執行猶予判決

~事例~

(略)被告(86)は、ことし1月、自宅の寝室で、妻(略)(当時86)の首を絞めて殺害したとして殺人の罪に問われました。
11月1日の判決で大津地方裁判所の大森直子 裁判長は、(略)被告が病気で療養していた(略)を介護していたことを踏まえて、「犯行の動機は妻を闘病から解放して楽にしてあげようと考えたもので、前向きに生きようとしていた妻の意思を無視した自分勝手な判断だ。」と指摘しました。
そのうえで、「被告が妻に寄り添って日々の家事や介護の一端を担ってきたことは、身体的・精神的に大きな負担だったといえる。実刑を選択することも十分考えられる事案だが、後悔していると述べるなど反省の態度を示している。」などとして、執行猶予5年のついた懲役3年の有罪判決を言い渡しました。
(※2022年11月1日18:17NHK NEWS WEB配信記事より引用)

~情状酌量による減軽~

前回の記事で取り上げた通り、執行猶予を付けるためには、言い渡された刑罰の重さが3年以下の懲役又は禁錮である必要があります。
そして、殺人罪の刑罰の下限は5年の懲役であるため、単純に考えれば、殺人罪で有罪になるということは執行猶予がつかないということになるのですが、今回の事例のように、殺人事件であったとしても執行猶予判決が下されるというケースは存在します。
これは、いわゆる「情状酌量」が行われ、刑罰が減軽されたためであると考えられます。

刑法第66条
犯罪の情状に酌量すべきものがあるときは、その刑を減軽することができる。

今回取り上げた事例の判決文を確認すると、「…被告人が、…反省の態度を示していること、被告人の長男が出廷して被告人の更生支援を約束しているほか、長男や被告人夫婦を知る近隣住民が寛大な処分を求めており、更生環境が一定程度整っていること」といった事情が認められた上で、「…これらを総合考慮し、被告人に対しては、酌量減軽をした上で、主文掲記の刑を科して執行を猶予」するとされています。

ここで、情状酌量によって有期の懲役刑が刑罰が減軽される場合には、「有期の懲役又は禁錮を減軽するときは、その長期及び短期の二分の一を減ずる。」(刑法第68条第3号)とされています。
殺人罪の場合、5年の懲役の2分の1を減軽するとすれば、2年6月の懲役まで減軽が可能=言い渡される刑罰が3年以下の懲役となる可能性が出てくるということになるため、情状酌量による減軽があった場合には、執行猶予が獲得できる可能性が出てくることとなります。
今回の事例でも、被告に言い渡された刑罰は懲役3年執行猶予5年とされていますから、情状酌量によって刑罰が減軽され、それによって執行猶予を付けることができたものと考えられます。

情状酌量による刑罰の減軽や、それによる執行猶予の獲得を目指すのであれば、捜査段階から事件の内容を詳細に把握したうえで、刑事裁判に向けての準備を行っていく必要があります。
刑事裁判はその裁判の直前だけ準備すればよいというわけではなく、捜査段階の取調べでの対応から慎重な対応をしていく必要があります。
まずは弁護士に相談し、適切な対応の仕方を把握してから臨むことがおすすめです。

また、殺人罪の場合、その刑事裁判は裁判員裁判となります。
裁判員裁判では、裁判官以外に一般の方が裁判員となって刑事裁判に参加し、有罪・無罪の判断や、有罪の場合の刑罰の重さを決めます。
ですから、こうした裁判に慣れていない裁判員の方にも、被告人側の主張が適切に伝わるように工夫しながら裁判を進めていくことが求められます。
そのためにも、早い段階から弁護士に相談・依頼しておくことが望ましいといえるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、裁判員対象事件のご相談・ご依頼を受け付けています。
0120-631-881では、スタッフがご相談者様の状況に合わせてご案内いたしますので、まずはお電話ください。

(事例紹介)殺人事件で執行猶予判決となった事例

2023-01-18

(事例紹介)殺人事件で執行猶予判決となった事例

~事例~

(略)被告(86)は、ことし1月、自宅の寝室で、妻(略)(当時86)の首を絞めて殺害したとして殺人の罪に問われました。
11月1日の判決で大津地方裁判所の大森直子 裁判長は、(略)「犯行の動機は妻を闘病から解放して楽にしてあげようと考えたもので、前向きに生きようとしていた妻の意思を無視した自分勝手な判断だ。」と指摘しました。
そのうえで、「被告が妻に寄り添って日々の家事や介護の一端を担ってきたことは、身体的・精神的に大きな負担だったといえる。実刑を選択することも十分考えられる事案だが、後悔していると述べるなど反省の態度を示している。」などとして、執行猶予5年のついた懲役3年の有罪判決を言い渡しました。
(※2022年11月1日18:17NHK NEWS WEB配信記事より引用)

~殺人事件と執行猶予~

今回取り上げた事例では、殺人罪に問われた被告に懲役3年執行猶予5年の、執行猶予付きの有罪判決が下されています。
裁判官が「実刑を選択することも十分考えられる事案」と判決文の中で触れていた通り、殺人罪は非常に重い刑罰が定められている犯罪です。

刑法第199条
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。

殺人罪では、刑の下限が5年の懲役刑と定められている=有罪となれば最低でも懲役5年が言い渡されるということになります。
しかし、ここで問題となるのは、執行猶予が付けられるのは、言い渡される刑罰が3年以下の懲役又は禁錮となるときだけという制約が付いているということです。

刑法第25条第1項
次に掲げる者が3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金の言渡しを受けたときは、情状により、裁判が確定した日から1年以上5年以下の期間、その刑の全部の執行を猶予することができる。
第1号 前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
第2号 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から5年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがない者

先ほど確認した通り、殺人罪で有罪となった際に言い渡される刑罰は最低でも5年の懲役刑ということになりますから、執行猶予の条件である「3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金の言渡しを受け」ることが不可能であり、殺人罪で有罪判決を受けるということはすなわち実刑判決(もしくは死刑判決)であるということになるのです。

ですが、今回取り上げた事例では、被告が執行猶予付きの判決を受けています。
それはどうしてなのでしょうか。
次回の記事で詳しく触れていきます。

執行猶予といった単語は世間一般にも周知されている単語ですが、執行猶予となるための条件などについてはあまり知られていないのではないでしょうか。
自身や家族の刑事事件執行猶予を獲得できる可能性があるのかどうか、執行猶予を目指すのであればどういった活動を行うべきなのかということについて、弁護士に早めに相談しておくことをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件全般を取り扱っています。
執行猶予判決を目指したいというご相談や、殺人事件の被疑者・被告人としての手続対応に不安があるというご相談についても受け付けています。
ご状況によってご利用可能なサービスをご案内いたしますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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