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MDMA所持で麻薬取締法違反
MDMA所持で麻薬取締法違反
MDMA所持で麻薬取締法違反となった事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
滋賀県長浜市に住んでいるAさんは、常連客として通っているクラブで、Xさんという男性と知り合いました。
Aさんは、Xさんから「テンションが上がってより楽しめるものがある」と言われ、ピンクやブルーといったカラフルな色の錠剤を渡されました。
Aさんは、「きっと何かやばい薬だ」と思ったものの、知人やその場にいた客がXさんからその錠剤をもらって服用しているのを見て、「みんな使っているのだから大丈夫だろう。この場所でしか使わないのならそんなに大したことにはならないだろう」と思い、自分もXさんから錠剤を受け取ると服用し、時間を過ごしました。
その後、Aさんはクラブに行くたびにXさんから錠剤を購入していたのですが、ある日、クラブ帰りに滋賀県木之本警察署の警察官から職務質問を受けました。
Aさんは余った錠剤を携帯していたのですが、警察官からそれを見咎められ、任意同行されることになりました。
その後の捜査でAさんの所持していた錠剤がMDMAだということが発覚し、結果、Aさんは麻薬取締法違反の容疑で逮捕されることとなってしまいました。
(※この事例はフィクションです。)
・MDMA所持で麻薬取締法違反
MDMAは、合成麻薬の1種で、使用すると高揚感や多幸感を得られるということから、パーティードラッグとしても使用されることの多い薬物です。
MDMAは、見た目もカラフルに着色された錠剤とされていることが多く、さらにその錠剤自体にも可愛らしいキャラクターやロゴ、文字が刻まれていることもあります。
MDMAはこうしたポップな見た目からも、若者に利用されやすい薬物とされているのです。
しかし、MDMAは紛れもない合成麻薬であることから、使用を続ければ錯乱状態になることや、腎臓や肝臓の機能に障害を発生させたり、心不全になったりして最悪の場合死に至ることもある危険な薬物です。
そして、MDMAは先ほど触れたように手を出しやすい違法薬物とされていることから、大麻同様に「違法薬物の入り口」とも言われています。
このMDMAは、先述したように合成麻薬の1種であるため、麻薬として麻薬取締法(正式名称「麻薬及び向精神薬取締法」)で規制されています。
麻薬取締法第66条
第1項 ジアセチルモルヒネ等以外の麻薬を、みだりに、製剤し、小分けし、譲り渡し、譲り受け、又は所持した者(第69条第4号若しくは第5号又は第70条第5号に該当する者を除く。)は、7年以下の懲役に処する。
第2項 営利の目的で前項の罪を犯した者は、1年以上10年以下の懲役に処し、又は情状により1年以上10年以下の懲役及び300万円以下の罰金に処する。
第3項 前二項の未遂罪は、罰する。
麻薬取締法第66条の2
第1項 第27条第1項又は第3項から第5項までの規定に違反した者は、7年以下の懲役に処する。
第2項 営利の目的で前項の違反行為をした者は、1年以上10年以下の懲役に処し、又は情状により1年以上10年以下の懲役及び300万円以下の罰金に処する。
第3項 前二項の未遂罪は、罰する。
※注:麻薬取締法「第27条」は、ジアセチルモルヒネ等以外の麻薬の施用等について禁止している条文です。
今回のAさんは、MDMAの所持だけでなく施用もしています。
逮捕容疑はMDMA所持による麻薬取締法違反ですが、今後の捜査によってはMDMA施用による麻薬取締法違反の罪にも問われる可能性が出てきます。
MDMAに関連した麻薬取締法違反は、条文を見ていただけるとわかるように、罰金刑のみの規定がありませんから、起訴されるということは刑事裁判を受けるということにつながります。
性質上、起訴まで勾留され続けるということも考えられますから、身体拘束からの解放を求める活動と並行して裁判の準備をしていくことが求められます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件専門の弁護士が、身柄解放活動だけでなく公判弁護活動も含めた刑事事件のフルサポートを行なっています。
滋賀県のMDMA所持による麻薬取締法違反事件にお困りの際は、お気軽に弊所弁護士までご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動を中心に扱う全国的な刑事総合法律事務所です。
刑事事件・少年事件のみを取り扱う弁護士が、最初の相談から捜査・裁判終了による事件解決まで一貫して、迅速丁寧に対応致します。
当事務所の初回の法律相談は全て無料で行っております。夜間でも、土日祝日でも、365日24時間体制で法律相談のご予約を受け付けております。弁護士のスケジュールが空いていれば、お電話後すぐに弁護士とご相談いただくことも可能です。滋賀大津の刑事事件・少年事件に関するお悩みは、ぜひ当事務所へご相談ください。
所持だけでも児童ポルノ禁止法違反
所持だけでも児童ポルノ禁止法違反
所持だけでも児童ポルノ禁止法違反であるということについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
滋賀県長浜市に住んでいるAさんは、幼い子供や中高生に性的興奮を覚える性癖をもっていました。
Aさんは、「当然子供に手を出すことは犯罪だ。ならば写真や動画を見て欲求を満たそう」と思い、子供や中高生の性的な動画や写真をダウンロードできるアダルトサイトXを探し、見た目やタイトルから子供や中高生のものと思われる性的な動画や写真を購入してダウンロードし、自身のパソコンやスマートフォンに保存していました。
するとある日、滋賀県長浜警察署の警察官がやって来て、Aさんに「Xというサイトを知っていますね。児童ポルノ禁止法違反の容疑で話を聞かせてください」と言われました。
Aさんは家宅捜索を受けてパソコンなどを押収され、滋賀県長浜警察署で話を聞かれることになりました。
動画や写真を持っているだけでも犯罪になるということに驚いたAさんは、今後のことを含めて専門家に相談しようと、刑事事件に強い弁護士の初回無料法律相談を利用してみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)
・所持するだけでも犯罪?
性犯罪のイメージとしては、痴漢や強制性交等罪など、相手の意思に反して身体に直接触れる形で成立する犯罪や、盗撮など相手の意思に反してその姿等を撮影して成立する犯罪、児童買春や淫行など18歳未満の者とわいせつな行為をした場合に成立する犯罪が強いかもしれません。
これらの犯罪は犯人自らが積極的に被害者に対して直接的に何らかの行動をすることで成立するため、今回のAさんのように、写真や動画をダウンロードして所持しているだけで性犯罪となることを意外に思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、児童ポルノ禁止法では、児童ポルノの単純所持、すなわち、児童ポルノをただ持つことも禁止しているのです。
そもそも、児童ポルノとは、児童ポルノ禁止法で以下のように定義されています。
児童ポルノ禁止法第2条第3項
この法律において「児童ポルノ」とは、写真、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に係る記録媒体その他の物であって、次の各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいう。
第1号 児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態
第2号 他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
第3号 衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの
一般に、アダルトサイトで販売されているような写真や動画はその対象が児童(=18歳未満の者)ではないことを除けば、この児童ポルノ禁止法第2条第3項第1号?第3号に当てはまるような形態の写真や動画でしょう。
今回のAさんはアダルトサイトXで子供や中高生のわいせつな写真や動画をダウンロードしたとのことですから、この「児童ポルノ」に当たる写真や動画をダウンロードしたのでしょう。
そして、児童ポルノ禁止法では、児童ポルノの所持について以下のように定めています。
児童ポルノ禁止法第7条第1項
自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノを所持した者(自己の意思に基づいて所持するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
自己の性的好奇心を満たす目的で、第2条第3項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録を保管した者(自己の意思に基づいて保管するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)も、同様とする。
条文を見れば分かる通り、「児童ポルノを所持した者」が処罰されるわけですから、たとえ自身がその児童ポルノを製造したわけではなくとも、ただ所持しただけで児童ポルノ禁止法違反という犯罪になってしまうのです。
Aさんは、自身の性的欲求を満たす目的で、児童ポルノだと認識しながら児童ポルノを購入・ダウンロードして自分のパソコン等に保管していますから、児童ポルノの所持をしていると考えられるのです。
児童ポルノ所持による児童ポルノ禁止法違反は、多くの性犯罪のように被害者に対して何か積極的・直接的な行為をしていなくとも、児童ポルノを所持しているだけで成立する犯罪です。
それゆえ、示談などによる刑罰の減軽などは求めづらいのですが、今回のAさんのような場合には、専門家のカウンセリングを受けるなどして性嗜好を矯正したり、贖罪寄付によって贖罪の意思を示したり、それらを適切に主張していったりという活動が考えられます。
どういった活動が考えられるのかはそれぞれの事件ごとに異なりますから、まずは児童ポルノ禁止法違反事件にも対応している弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動を中心に扱う全国的な刑事総合法律事務所です。
刑事事件・少年事件のみを取り扱う弁護士が、最初の相談から捜査・裁判終了による事件解決まで一貫して、迅速丁寧に対応致します。
当事務所の初回の法律相談は全て無料で行っております。夜間でも、土日祝日でも、365日24時間体制で法律相談のご予約を受け付けております。弁護士のスケジュールが空いていれば、お電話後すぐに弁護士とご相談いただくことも可能です。滋賀大津の刑事事件・少年事件に関するお悩みは、ぜひ当事務所へご相談ください。
詐欺事件の逮捕で接見
詐欺事件の逮捕で接見
詐欺事件の逮捕で接見する弁護士について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
Aさんは、詐欺グループの一員として活動していました。
Aさんは、滋賀県彦根市に住む高齢者Vさんの家に電話をかけると、「滋賀県彦根警察署の者です。詐欺事件の犯人を逮捕したところ、犯人グループの持っていたリストにあなたの名前がありました。不正に口座を利用されていないか確認するために捜査員を派遣します」などと話し、Vさん宅を訪れました。
そして、捜査のためと偽って、Vさんからキャッシュカードを預かり、暗証番号を聞き出すと、ATMでVさんの口座から預金を引出しました。
後日、いつまで経っても預けたキャッシュカードについての連絡が来ないことからVさんが滋賀県彦根警察署に連絡したことで、今回の詐欺事件が発覚。
防犯カメラの映像などからAさんの犯行であることが分かり、Aさんは詐欺罪の容疑で逮捕されました。
Aさんの家族は、まさかAさんが詐欺事件に関わって逮捕されるなど寝耳に水であり、慌ててすぐに接見対応してくれる弁護士を探して接見の依頼をしました。
(※令和2年4月21日京都新聞配信記事を基にしたフィクションです。)
・逮捕されたら弁護士の接見を
詐欺事件の被疑者として逮捕されてしまったAさんですが、この後どのようなことをすべきでしょうか。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にも、家族が詐欺事件に関わって逮捕されてしまったというご相談が寄せられることは少なくありません。
こうした状況でまずおすすめするのは、被疑者本人と弁護士が接見できるように手配することです。
逮捕されてしまえば、当然のことながら、被疑者本人が家族等に連絡を取ることはできません。
しかし、では面会をして事情を聞こうと思っても、基本的に逮捕直後には家族であっても被疑者本人と会うことはできません。
勾留という逮捕後にさらに身体拘束される手続きに移行してからでないと一般の方と被疑者本人の面会は認められないのが原則だからです。
かといって、勾留後であれば自由に会えるというわけでもありません。
一般面会ができる時間帯は平日の限られた時間であり、被疑者が取調べなどに対応していれば面会に行くこともできないうえ、接見等禁止処分という処分が出ていればそもそも面会も禁止されることがあるからです。
ですから、逮捕されてしまった被疑者本人の認識や事情、今後の方針についての意向を家族が確認することは容易ではありません。
加えて、逮捕されてしまった被疑者はその後、取調べ等に1人で対応しなければいけなくなります。
もちろん、逮捕されていれば取調べへの対応等を弁護士に相談するために法律事務所へ行く、ということもできません。
しかし、取調べを行うプロに対応するにあたり、被疑者の権利や今後の手続きを十分に理解しないままであるのは、自分の主張をしきれなかったり意図しない自白をしてしまったりというリスクのあることといえます。
ですから、逮捕直後から被疑者本人が刑事事件へのアドバイスを受けることが望ましいです。
これらのことから、逮捕されてしまったら弁護士と接見をして、家族に事情や認識、今後の意向を伝えてもらったり、取調べ等へのアドバイスをもらうことが重要なのです。
では、逮捕後、どのように弁護士に接見を頼むことができるのでしょうか。
逮捕された後、被疑者は1回だけ無料で当番弁護士という弁護士を呼ぶことができます。
当番弁護士は弁護士会から派遣される弁護士です。
ただし、当番弁護士は自分で選ぶことはできませんし、家族が自動的に被疑者が当番弁護士を呼んだかどうか、どの弁護士が当番弁護士として接見にいったかということを把握できるわけではないことに注意が必要です。
また、当番弁護士はあくまで1回の接見に限り弁護士会から派遣される弁護士のため、勾留の後に選任される国選弁護士とは異なります。
当番弁護士に弁護活動をしてもらうには、別途担当した弁護士と私選弁護人となる契約をしなければなりません。
このほか、家族の側から弁護士に依頼して被疑者の元へ弁護士を派遣するという手段もあります。
この場合、それぞれの法律事務所や弁護士会などに家族から問い合わせをして弁護士を接見に向かわせる契約をする、私選弁護人として契約するなどをすることになります。
こちらの手段の場合、家族の側が自由に弁護士を選ぶことができます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回接見サービスというサービスをご用意しています。
初回接見サービスは、逮捕直後からご利用いただけるサービスであり、刑事事件専門の弁護士が逮捕・勾留されている被疑者・被告人の方のもとへ向かい、接見し、ご依頼者様にその内容をご報告するというサービスです。
弁護士に弁護活動を依頼するか迷っている、とにかく被疑者・被告人本人から話を聞いてきてほしい、実際に依頼するかは本人の意向と弁護士の話を聞いてからがよいという方にもお気軽にご利用いただけます。
お問い合わせ・ご案内は0120ー631ー881で専門スタッフが受け付けていますので、逮捕にお困りの際は遠慮なくお電話ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動を中心に扱う全国的な刑事総合法律事務所です。
刑事事件・少年事件のみを取り扱う弁護士が、最初の相談から捜査・裁判終了による事件解決まで一貫して、迅速丁寧に対応致します。
当事務所の初回の法律相談は全て無料で行っております。夜間でも、土日祝日でも、365日24時間体制で法律相談のご予約を受け付けております。弁護士のスケジュールが空いていれば、お電話後すぐに弁護士とご相談いただくことも可能です。滋賀大津の刑事事件・少年事件に関するお悩みは、ぜひ当事務所へご相談ください。
詐欺事件では逮捕されやすい?
詐欺事件では逮捕されやすい?
詐欺事件では逮捕されやすいのかどうかということについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
Aさんは、詐欺グループの一員として活動していました。
Aさんは、滋賀県彦根市に住む高齢者Vさんの家に電話をかけると、「滋賀県彦根警察署の者です。詐欺事件の犯人を逮捕したところ、犯人グループの持っていたリストにあなたの名前がありました。不正に口座を利用されていないか確認するために捜査員を派遣します」などと話し、Vさん宅を訪れました。
そして、捜査のためと偽って、Vさんからキャッシュカードを預かり、暗証番号を聞き出すと、ATMでVさんの口座から預金を引出しました。
後日、いつまで経っても預けたキャッシュカードについての連絡が来ないことからVさんが滋賀県彦根警察署に連絡したことで、今回の詐欺事件が発覚。
防犯カメラの映像などからAさんの犯行であることが分かり、Aさんは詐欺罪の容疑で逮捕されました。
Aさんの家族は、まさかAさんが詐欺事件に関わって逮捕されるなど寝耳に水であり、慌ててすぐに接見対応してくれる弁護士を探して接見の依頼をしました。
(※令和2年4月21日京都新聞配信記事を基にしたフィクションです。)
・詐欺事件では逮捕されやすい?
今回のAさんのような複数人のグループで詐欺行為をしているようなケースでは、逮捕による身体拘束を受けて捜査される可能性が高いです。
逮捕は被疑者の身体を拘束する手続きであるため、どんな刑事事件でも無制限にできるわけではなく、法律で決められている条件に当てはまる場合にしかできません。
逮捕ができる要件は、以下のように決められています。
刑事訴訟法第199条
第1項 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるときは、裁判官のあらかじめ発する逮捕状により、これを逮捕することができる。
ただし、30万円(刑法、暴力行為等処罰に関する法律及び経済関係罰則の整備に関する法律の罪以外の罪については、当分の間、2万円)以下の罰金、拘留又は科料に当たる罪については、被疑者が定まつた住居を有しない場合又は正当な理由がなく前条の規定による出頭の求めに応じない場合に限る。
第2項 裁判官は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があると認めるときは、検察官又は司法警察員(警察官たる司法警察員については、国家公安委員会又は都道府県公安委員会が指定する警部以上の者に限る。以下本条において同じ。)の請求により、前項の逮捕状を発する。
但し、明らかに逮捕の必要がないと認めるときは、この限りでない。
この条文から、逮捕に必要なのは「被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある」こと(刑事訴訟法第199条第1項)と「逮捕の必要」があること(刑事訴訟法第199条第2項)とされています。
「逮捕の必要」があるということは、証拠隠滅や逃亡のおそれがあるかどうかで判断されます。
また、一定の軽微犯罪に関しては、被疑者が定まった住居を持たない場合や任意出頭に応じないといった場合に限って逮捕が許されるということになっています。
今回のAさんのような詐欺事件で考えてみましょう。
容疑をかけられている詐欺罪の法定刑は「10年以下の懲役」(刑法第246条)であるため、Aさんに詐欺罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があり、逮捕の必要性があれば逮捕が可能ということになります。
防犯カメラの映像などからAさんの犯行が発覚していることから、Aさんが詐欺罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由はあると考えられます。
そしてもう1つの逮捕の条件である逮捕の必要性ですが、逃亡のおそれや証拠隠滅のおそれがあるかどうかといったことが考えられます。
ここで、今回のAさんのような複数人で起こした詐欺事件で逮捕されやすい理由が出てきます。
複数人で詐欺事件を計画・実行しているということは、当然そのグループは詐欺罪の共犯者ということになるでしょう。
となれば、それぞれを自由な状態においたまま捜査を行えば、共犯者同士で口裏合わせをしてしまえる=証拠隠滅できてしまうというおそれが考えられます。
証拠隠滅というと物的証拠を廃棄したり壊したりするイメージがあるかもしれませんが、証言を実際のものと異なるようにしてしまうことも証拠隠滅行為となるのです。
こうしたことから、複数人での詐欺事件では逮捕の必要性があるとして逮捕を伴った捜査が行われることが多いのです。
では、詐欺事件で逮捕されてしまったら、何をしたらよいのでしょうか。
次回の記事で取り上げます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所には、詐欺事件の逮捕にも迅速に対応する刑事事件専門の弁護士が所属しています。
0120ー631ー881では、専門スタッフがいつでもご案内を受け付けていますので、まずは遠慮無くお電話ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動を中心に扱う全国的な刑事総合法律事務所です。
刑事事件・少年事件のみを取り扱う弁護士が、最初の相談から捜査・裁判終了による事件解決まで一貫して、迅速丁寧に対応致します。
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投資話から恐喝事件に
投資話から恐喝事件に
投資話から恐喝事件に発展したケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
滋賀県甲賀市に住んでいるAさんは、友人のVさんから「いい儲け話がある」と投資話を持ちかけられ、その投資話に乗る形でVさんに50万円を渡しました。
しかし、それ以降、いつまでたってもVさんから投資話の続報が来ないことに苛立ったAさんは、「Vさんに騙された。50万円をとられた」と思い、Vさんを呼び出すと、「お前は俺を騙しただろう。騙し取った50万円をいますぐ返さないと痛い目を見るぞ」「金を用意できないなら無事に帰す気はない」などと告げました。
VさんはAさんの言葉に恐怖を感じると、その場で50万円用意し、Aさんに渡しました。
しかし、Vさんは「まだAさんに何かされるのではないか」という恐怖が拭えず、滋賀県甲賀警察署に通報。
結果、Aさんは滋賀県甲賀警察署に恐喝罪の容疑で逮捕されてしまいました。
(※この事例はフィクションです。)
・恐喝事件
今回のAさんの事例では、投資話に乗って友人Vさんに金を渡したものの、その金を返してもらおうとして友人Vさんに恐喝行為をしてしまったという形になるようです。
刑法の恐喝罪は第249条に規定されています。
刑法第249条
第1項 人を恐喝して財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
第2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
このうち、今回のAさんのように、現金などの財物を被害者から渡させたようなケースでは、刑法第249条第1項の恐喝罪が成立します。
他方、恐喝によって財物ではなく利益を得たような場合には、刑法第249条第2項の恐喝罪(第1項の恐喝罪と区別するために「恐喝利得罪」などと呼ばれることもあります。)が成立します。
例えば、恐喝によって家賃の支払いを延期させたという場合には、支払いの期間の猶予という利益を得ていることになるため、刑法第249条第2項の方の恐喝罪の成立が考えられるということになります。
そして、恐喝罪でいう「恐喝」するという行為は、被害者の抵抗を抑圧しない程度の脅迫や暴行によって財物(又は利益)を要求することを指しています。
ここで、もしも用いられた脅迫・暴行が被害者が抵抗できないほどの強さのものであった場合(例えば拳銃や刃物を突きつけらえるといった場合)には、恐喝罪ではなく強盗罪の成立が考えられます。
脅迫や暴行の程度の強さは、凶器の有無や被疑者と被害者の関係、体格、当時の周囲の状況などによって判断されますから、恐喝罪となるか強盗罪となるかもそういった事情から判断されることになります。
さて、今回のAさんは確かにVさんに現金を渡させていますから、恐喝罪の「財物を交付させた」という部分に当てはまるでしょう。
そしてそのためにVさんに脅すような言葉を言っていることから、脅迫を用いて現金を要求した=「恐喝」したと考えることもできます。
これらのことから、Aさんに恐喝罪が成立する可能性があることはわかりますが、Aさんは「騙し取られた金を返してもらった」という認識のようです。
こうした場合でも恐喝罪は成立するのでしょうか。
過去の判例を見てみると、借金取りが恐喝罪に当たるかどうか争われた事件で、「他人に対して権利を有する者が、その権利を実行することは、その権利の範囲内であり且つその方法が社会通念上一般に忍溶すべきものと認められる程度を超えない限り、何等違法の問題を生じないけれども、右の範囲程度を逸脱するときは違法となり、恐喝罪の成立することがあるものと解するを相当とする。」とされています(最判昭和30.10.14)。
つまり、たとえ正当な権利として持っているものでも、その権利の実行に際して、社会通念上許されるような程度を超えてしまえば、恐喝罪になってしまうということなのです。
今回のAさんとVさんの間の投資話が詳しくどのようになっていたかはわかりませんが、もしもAさんがVさんからお金を返してもらう正当な権利を持っていたとしても、Vさんを脅してそのお金を渡させるという行為は「社会通念上一般に忍溶すべきものと認められる程度」を超えていると考えられるため、恐喝罪が成立するということになるでしょう。
知人同士の恐喝事件では、被疑者と被害者の接触のおそれがあることから、Aさんの事例のように逮捕されることもあります。
そうなれば、被疑者本人の社会生活に影響が出ることはもちろん、被害者への謝罪や弁償といった活動もしにくいでしょう。
だからこそ、弁護士のフルサポートが必要とされるのです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件専門の弁護士が逮捕直後から一貫してサポートを行います。
滋賀県の刑事事件でお困りの際は、まずはお気軽に弊所弁護士までご相談ください。

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子どもによる家庭内暴力事件で逮捕
子どもによる家庭内暴力事件で逮捕
子どもによる家庭内暴力事件で逮捕されたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
滋賀県近江八幡市に住んでいる高校1年生のAさんは、春休みということもあり、1日中自宅で過ごすようになっていました。
しかし、その中で、母親であるVさんから生活の細々したことを注意されることも増え、次第にストレスを溜めるようになりました。
そしてある日、ついにAさんは我慢が効かなくなり、Vさんに対して手をあげてしまいました。
物音を不審に思った近隣の住民が滋賀県近江八幡警察署に通報し、警察官が駆けつけた結果、Aさんは暴行罪の容疑で逮捕されることになってしまいました。
Vさんと、Aさんの父親であるBさんは、Aさんが逮捕されたことに焦り、どうにか穏便に収めることはできないかと、少年事件にも対応している弁護士に相談してみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)
・子どもによる家庭内暴力事件と少年事件
今回の事例は、子どもから親に対する家庭内暴力事件です。
家庭内暴力事件というと親から子どもへのものが思い浮かびやすいですが、こういった子どもから親への暴力も家庭内暴力事件となります。
今回の家庭内暴力事件に限ったことではありませんが、日本の法律上、家庭内暴力行為が特別に犯罪となっているわけではなく、家庭内暴力の態様によって該当する犯罪が変わります。
例えば、今回のAさんはVさんに対して手をあげてしまっていることから、まさに暴力を振るってしまったのだと考えられます。
こうした場合、Vさんに怪我があった場合には傷害罪、怪我がなければ暴行罪の成立が考えられます。
刑法第204条(傷害罪)
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
刑法第208条(暴行罪)
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
ただし、今回のAさんは高校生であるため、原則として「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」や「2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」といった刑罰を受けることはなく、保護処分を受けることが考えられます。
保護処分とは、少年法条の処分のことで、少年事件を起こした少年が再び事件を起こさないように、少年の矯正・改善を目的とした処分です。
保護処分は刑罰とは別物で、その目的は先ほど触れたように少年の更生ですから、今回のAさんの家庭内暴力事件でも、その保護処分が最終処分となることが予想されます。
保護処分の種類としては、大きく分けると少年院などの施設への送致と、定期的に保護司や保護観察所に通う保護観察に分けられます。
さらに、すでにそうした保護処分をしなくとも少年の更生に十分な環境が作られていると判断された場合には不処分となることもあります。
少年事件で適切な処分を求めていくには、再度同じような少年事件を起こさないような環境を作れるような活動を早期からしていくことが重要です。
今回のような家庭内暴力事件の場合、同じ家で生活している家族同士で起こった事件であるため、特に再犯防止・更生のための対策・環境づくりが大切になります。
そのままの環境で放置してしまえば、環境が変わらなければ更生は不可能と判断され、少年院送致などの処分になる可能性も否定できません。
本来不要な処分となってしまったがゆえに少年の負担が重くなってしまうということは避けなければなりませんから、少年事件にお悩みの際は早めに弁護士に相談されることをおすすめいたします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、少年事件についてのご相談・ご依頼も承っています。
家庭内暴力事件についても、第三者である弁護士が介入することで具体的な改善点が見つかるといった効果も期待できます。
まずはお早目にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動を中心に扱う全国的な刑事総合法律事務所です。
刑事事件・少年事件のみを取り扱う弁護士が、最初の相談から捜査・裁判終了による事件解決まで一貫して、迅速丁寧に対応致します。
当事務所の初回の法律相談は全て無料で行っております。夜間でも、土日祝日でも、365日24時間体制で法律相談のご予約を受け付けております。弁護士のスケジュールが空いていれば、お電話後すぐに弁護士とご相談いただくことも可能です。滋賀大津の刑事事件・少年事件に関するお悩みは、ぜひ当事務所へご相談ください。
パスワードを盗み見て不正アクセス禁止法違反
パスワードを盗み見て不正アクセス禁止法違反
パスワードを盗み見て不正アクセス禁止法違反となった事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
滋賀県東近江市に住んでいるAさんは、近所に住んでいる友人のVさん宅に遊びに行った際、VさんのメールやSNSのIDやパスワードが机のメモに残されていることに気がつきました。
Aさんは、Vさんのプライベートが気になり、そのIDやパスワードを盗み見ると、後日、自分のスマートフォンやパソコンからVさんのアカウントにアクセスすると、メールや画像などを見たりダウンロードしたりしていました。
するとある日、Aさんの元に滋賀県東近江警察署の警察官がやってきて、Aさんを不正アクセス禁止法違反の容疑で逮捕してしまいました。
家族の依頼で逮捕されたAさんの元を訪れた弁護士に、Aさんは自分の逮捕容疑である不正アクセス禁止法違反のことを詳しく聞いてみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)
・パスワードを盗み見て不正アクセス禁止法違反
前回までの記事では、不正アクセス禁止法が規制している行為について確認しましたが、Aさんの今回の行為は不正アクセス禁止法のどの条文に違反するものだったのでしょうか。
もう一度、不正アクセス行為について定めた条文を確認してみましょう。
不正アクセス禁止法第2条第4項
この法律において「不正アクセス行為」とは、次の各号のいずれかに該当する行為をいう。
第1号 アクセス制御機能を有する特定電子計算機に電気通信回線を通じて当該アクセス制御機能に係る他人の識別符号を入力して当該特定電子計算機を作動させ、当該アクセス制御機能により制限されている特定利用をし得る状態にさせる行為(当該アクセス制御機能を付加したアクセス管理者がするもの及び当該アクセス管理者又は当該識別符号に係る利用権者の承諾を得てするものを除く。)
簡単に言えば、この不正アクセス行為は、インターネットを通じ、他人のIDやパスワードを利用することで、本来利用できないアカウント等を勝手に利用できるようにしてしまうという行為を指しています。
不正アクセス行為という言葉からは、他人のIDやパスワードもハッキングしてアカウントやパソコンにアクセスするという行為がイメージされがちです。
しかし、今回のAさんのようにパスワードを盗み見てそれを利用したというケースでも、インターネットを通じ、他人のIDやパスワードを利用することで、本来利用できないアカウント等を勝手に利用できるようにしてしまうという行為に該当するため、不正アクセス禁止法のいう「不正アクセス行為」に該当するのです。
条文を見て分かる通り、不正アクセス行為をするためにIDやパスワードをどのように入手するかという手段についてまでは特に指定されていないからです。
ですから、例えばAさんのように盗み見によってIDやパスワードを知った場合だけでなく、口頭でIDやパスワードを聞いたというような場合でも、勝手にそれを利用してアカウント等にアクセスすれば、不正アクセス行為となり、不正アクセス禁止法違反となる可能性が出てきます。
大掛かりなハッキング行為でないからといって不正アクセス禁止法違反にならないとは限りませんから、十分注意する必要があります。
不正アクセス禁止法違反という犯罪名はなかなか聞き馴染みがない上に、ハッキングという知られた言葉と結びつきやすいこともあり、身近な犯罪とは感じにくいでしょう。
しかし、いわゆるハッキングのようなことをせずとも、今回のAさんの事例のように不正アクセス禁止法違反となる可能性があります。
もしも自分や家族が不正アクセス禁止法違反事件の当事者となってしまったら、早めに弁護士に相談し、刑事事件の各手続へ対応していきましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、不正アクセス禁止法違反事件のご相談・ご依頼も受け付けています。
まずはお気軽にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動を中心に扱う全国的な刑事総合法律事務所です。
刑事事件・少年事件のみを取り扱う弁護士が、最初の相談から捜査・裁判終了による事件解決まで一貫して、迅速丁寧に対応致します。
当事務所の初回の法律相談は全て無料で行っております。夜間でも、土日祝日でも、365日24時間体制で法律相談のご予約を受け付けております。弁護士のスケジュールが空いていれば、お電話後すぐに弁護士とご相談いただくことも可能です。滋賀大津の刑事事件・少年事件に関するお悩みは、ぜひ当事務所へご相談ください。
不正アクセス行為でなくても不正アクセス禁止法違反
不正アクセス行為でなくても不正アクセス禁止法違反
不正アクセス行為でなくても不正アクセス禁止法違反なるのかということについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
滋賀県東近江市に住んでいるAさんは、近所に住んでいる友人のVさん宅に遊びに行った際、VさんのメールやSNSのIDやパスワードが机のメモに残されていることに気がつきました。
Aさんは、Vさんのプライベートが気になり、そのIDやパスワードを盗み見ると、後日、自分のスマートフォンやパソコンからVさんのアカウントにアクセスすると、メールや画像などを見たりダウンロードしたりしていました。
するとある日、Aさんの元に滋賀県東近江警察署の警察官がやってきて、Aさんを不正アクセス禁止法違反の容疑で逮捕してしまいました。
家族の依頼で逮捕されたAさんの元を訪れた弁護士に、Aさんは自分の逮捕容疑である不正アクセス禁止法違反のことを詳しく聞いてみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)
・不正アクセス禁止法で禁止されていること
前回の記事では、不正アクセス禁止法のうち不正アクセス行為の禁止について触れましたが、今回の記事ではそれ以外で不正アクセス禁止法が規制している行為について触れていきます。
不正アクセス禁止法第4条
何人も、不正アクセス行為(第2条第4項第1号に該当するものに限る。第6条及び第12条第2号において同じ。)の用に供する目的で、アクセス制御機能に係る他人の識別符号を取得してはならない。
この条文では、不正アクセス行為だけでなく、不正アクセス行為をする目的で他人のIDやパスワードといった情報を取得することを禁止しています。
この条文に違反した不正アクセス禁止法違反となった場合、「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金」となります(不正アクセス禁止法第12条第1号)。
不正アクセス禁止法第5条
何人も、業務その他正当な理由による場合を除いては、アクセス制御機能に係る他人の識別符号を、当該アクセス制御機能に係るアクセス管理者及び当該識別符号に係る利用権者以外の者に提供してはならない。
この条文では、業務等の正当な理由による場合以外に、他人のIDやパスワードをアクセス管理者等の他人に渡すことを禁止しています。
相手に不正アクセス行為をする目的があると知りながらこの条文に違反する行為をし、不正アクセス禁止法違反となった場合は、「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金」となります(不正アクセス禁止法第12条第2号)。
不正アクセス禁止法第6条
何人も、不正アクセス行為の用に供する目的で、不正に取得されたアクセス制御機能に係る他人の識別符号を保管してはならない。
この条文では、不正アクセス行為に使う目的で、不正に取得された他人のIDやパスワードを保管することを禁止しています。
この条文に違反した不正アクセス禁止法違反となった場合、「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金」となります(不正アクセス禁止法第12条第3号)。
不正アクセス禁止法第7条
何人も、アクセス制御機能を特定電子計算機に付加したアクセス管理者になりすまし、その他当該アクセス管理者であると誤認させて、次に掲げる行為をしてはならない。ただし、当該アクセス管理者の承諾を得てする場合は、この限りでない。
第1号 当該アクセス管理者が当該アクセス制御機能に係る識別符号を付された利用権者に対し当該識別符号を特定電子計算機に入力することを求める旨の情報を、電気通信回線に接続して行う自動公衆送信(公衆によって直接受信されることを目的として公衆からの求めに応じ自動的に送信を行うことをいい、放送又は有線放送に該当するものを除く。)を利用して公衆が閲覧することができる状態に置く行為
第2号 当該アクセス管理者が当該アクセス制御機能に係る識別符号を付された利用権者に対し当該識別符号を特定電子計算機に入力することを求める旨の情報を、電子メール(特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(平成14年法律第26号)第2条第1号に規定する電子メールをいう。)により当該利用権者に送信する行為
この条文では、簡単に言えばフィッシングサイトの立ち上げ(第1号)やフィッシングメールの送信(第2号)を禁止しています。
この条文に違反して不正アクセス禁止法違反となった場合は、「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金」となります(不正アクセス禁止法第12条第4号)。
このように、不正アクセス禁止法という名前ではあるものの、不正アクセス禁止法では不正アクセス行為だけでなく、不正アクセス行為を助長するような行為等、様々な行為が規制されています。
自身のどういった行為が不正アクセス禁止法のどこに違反するのかわからないという場合もあるでしょう。
そんな時こそ、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にご相談ください。
刑事事件専門だからこそ、安心してご相談いただけます。
次回の記事では今回のAさんの事例に当てはめて検討を行います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動を中心に扱う全国的な刑事総合法律事務所です。
刑事事件・少年事件のみを取り扱う弁護士が、最初の相談から捜査・裁判終了による事件解決まで一貫して、迅速丁寧に対応致します。
当事務所の初回の法律相談は全て無料で行っております。夜間でも、土日祝日でも、365日24時間体制で法律相談のご予約を受け付けております。弁護士のスケジュールが空いていれば、お電話後すぐに弁護士とご相談いただくことも可能です。滋賀大津の刑事事件・少年事件に関するお悩みは、ぜひ当事務所へご相談ください。
不正アクセス行為で逮捕
不正アクセス行為で逮捕
不正アクセス行為で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
滋賀県東近江市に住んでいるAさんは、近所に住んでいる友人のVさん宅に遊びに行った際、VさんのメールやSNSのIDやパスワードが机のメモに残されていることに気がつきました。
Aさんは、Vさんのプライベートが気になり、そのIDやパスワードを盗み見ると、後日、自分のスマートフォンやパソコンからVさんのアカウントにアクセスすると、メールや画像などを見たりダウンロードしたりしていました。
するとある日、Aさんの元に滋賀県東近江警察署の警察官がやってきて、Aさんを不正アクセス禁止法違反の容疑で逮捕してしまいました。
家族の依頼で逮捕されたAさんの元を訪れた弁護士に、Aさんは自分の逮捕容疑である不正アクセス禁止法違反のことを詳しく聞いてみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)
・不正アクセス行為の禁止
そもそも、今回Aさんが違反したとされている不正アクセス禁止法とは、どういった法律なのでしょうか。
不正アクセス禁止法とは、正式名称を「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」という法律です。
その名前の通り、不正アクセス禁止法では、不正アクセス行為を禁止しています。
「不正アクセス行為」というと、多くの方がいわゆるハッキングを思い浮かべると思いますが、実は不正アクセス禁止法が禁止しているのはハッキングだけではありません。
まずは不正アクセス禁止法が禁止している行為を確認してみましょう。
不正アクセス禁止法第3条
何人も、不正アクセス行為をしてはならない。
この条文では、法律名にもなっている通り、不正アクセス行為を禁止しています。
不正アクセス行為の具体的な内容については、以下の条文で定義づけられています。
不正アクセス禁止法第2条第4項
この法律において「不正アクセス行為」とは、次の各号のいずれかに該当する行為をいう。
第1号 アクセス制御機能を有する特定電子計算機に電気通信回線を通じて当該アクセス制御機能に係る他人の識別符号を入力して当該特定電子計算機を作動させ、当該アクセス制御機能により制限されている特定利用をし得る状態にさせる行為(当該アクセス制御機能を付加したアクセス管理者がするもの及び当該アクセス管理者又は当該識別符号に係る利用権者の承諾を得てするものを除く。)
第2号 アクセス制御機能を有する特定電子計算機に電気通信回線を通じて当該アクセス制御機能による特定利用の制限を免れることができる情報(識別符号であるものを除く。)又は指令を入力して当該特定電子計算機を作動させ、その制限されている特定利用をし得る状態にさせる行為(当該アクセス制御機能を付加したアクセス管理者がするもの及び当該アクセス管理者の承諾を得てするものを除く。次号において同じ。)
第3号 電気通信回線を介して接続された他の特定電子計算機が有するアクセス制御機能によりその特定利用を制限されている特定電子計算機に電気通信回線を通じてその制限を免れることができる情報又は指令を入力して当該特定電子計算機を作動させ、その制限されている特定利用をし得る状態にさせる行為
簡単に言えば、このうち第1号はインターネットを通じて他人のIDやパスワードを許可なく利用して他人のアカウント等にアクセスすること、第2号はインターネットを通じてIDやパスワード以外のものを入力することで許可なく他人のアカウント等にアクセスすること、第3号はインターネットを通じて、他のパソコンに制限されているパソコンにアクセスし、IDやパスワード以外のものを入力することで許可なく他人のアカウント等にアクセスすることを指しています。
つまり、これらにあたる「不正アクセス行為」が不正アクセス禁止法第3条で禁止されているのです。
不正アクセス禁止法第3条に違反して不正アクセス行為をした場合、「3年以下の懲役又は100万円以下の罰金」に処せられます(不正アクセス禁止法第11条)。
次回の記事では、不正アクセス行為の禁止以外の不正アクセス禁止法の規制について取り上げます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、不正アクセス行為による不正アクセス禁止法違反事件にも、刑事事件専門の弁護士が対応します。
なかなか耳馴染みのない犯罪だけに、見通しや弁護活動など不明な点も多いでしょう。
弁護士への相談は、不安の解消の手助けとなります。
まずはお気軽にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動を中心に扱う全国的な刑事総合法律事務所です。
刑事事件・少年事件のみを取り扱う弁護士が、最初の相談から捜査・裁判終了による事件解決まで一貫して、迅速丁寧に対応致します。
当事務所の初回の法律相談は全て無料で行っております。夜間でも、土日祝日でも、365日24時間体制で法律相談のご予約を受け付けております。弁護士のスケジュールが空いていれば、お電話後すぐに弁護士とご相談いただくことも可能です。滋賀大津の刑事事件・少年事件に関するお悩みは、ぜひ当事務所へご相談ください。
著作権法違反事件で逮捕
著作権法違反事件で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
◇著作権法違反で逮捕◇
滋賀県東近江警察署は、インターネットオークションを利用して、大人気のゲームソフトウェアの無断複製物を販売していたとして、会社員のAさんを、著作権違法および商標法違反の容疑で逮捕しました。
Aさんは、各著作権者が著作権を有するゲームソフトウェアが無断複製されたテレビゲーム機を購入客に販売するなどしていました。
Aさんが逮捕されたことに驚いたAさんの妻は、どうしたらよいのか分からず、困っています。
Aさんの父に相談したところ、Aさんの父はすぐに刑事事件に強い弁護士に連絡してくれました。
(フィクションです。)
◇著作権法とは◇
著作権法は、「著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しるる、著作者等の権利の保護を図り、もって文化の発展に寄与すること」と目的とする法律です。(著作権法第1条)
著作権法における「著作権」は、権利の性質によって区分されており、著作物を創作する者としての著作者の権利として、人格的な権利としての「著作者人格権」と財産権としての「著作権」とがあります。
ここでいう「著作物」とは、思想または感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術または音楽の範囲に属するものをいいます。
テレビゲームのソフトウェアも、プログラムとして著作物に当たります。
この著作物を創作する者を「著作者」と呼び、著作者は、著作者人格権および著作権を享有します。
著作者人格権には、公表権、氏名表示権、同一性保持権が含まれます。
財産権としての著作権には、複製権、上演権・演奏権、上映権、公衆送信権・公の伝達権、口述権、展示権、頒布権、譲渡権、貸与権、翻訳権・翻案権、二次的著作物の利用権があります。
著作者人格権は、著作者の一身に専属するため、譲渡することはできませんが、著作権は、その全部または一部を譲渡することができます。
著作者は、著作物等を伝達する者として、実演家、レコード製作者、放送事業者、有線放送事業者に「著作隣接権」を付与する権利も享有します。
著作権法は、著作権者等の利益を不当に害すことのないよう、著作物等の通常の利用が妨げられることのないよう配慮して、一定の場合に著作権者等に許諾を得ることなく利用できることを定めています。(著作権法第30~47条)
◇著作権法違反の罰則◇
著作権法は、著作権等の侵害について、罰則を定めています。
ここでは、著作権等侵害罪について説明します。
~著作権等侵害罪~
著作権、出版権または著作隣接権を侵害した者について、10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金に処し、またはこれを併科すると定めています。
◇著作権侵害の罪◇
著作権者の許諾を得ることなく、複製権、上演権・演奏権、上映権、公衆送信権等、口述権、展示権、頒布権、譲渡権、貸与権、翻訳権・翻案権等、二次的著作物の利用に関する原著作者の権利の内容となるべき行為をした場合や、著作権者の許諾を得ずに複製物の目的外使用等に当たる行為をした場合が、著作権侵害の罪に該当します。
私的使用の目的で著作物の複製を行った者については、その行為が著作権侵害に該当しても、処罰はされません。
ゲームソフトウェアは著作権法で保護されるプログラムに該当しますので、プログラムの著者者には、著作権として複製権が認められます。
著作権の原則的保護期間は、著作物の創作時点から著作者の死後50年までで、著者者が法人である場合は公表後50年までです。
この保護期間中に、何者かが著作者の許諾を得ずに、プログラムを複製し、無断複製したプログラムを他人に販売した場合には、当該著作者の著作権を侵害したということになります。
著作権侵害の罪は、被害者などの告訴権者の告訴がなければ公訴を提起することができない親告罪です。
◇著作権法違反事件で逮捕されたら◇
著作権法違反事件で逮捕された場合、通常の刑事事件と同様の流れとなります。
警察は、被疑者を逮捕してから48時間以内に、被疑者を釈放するか、証拠や書類と一緒に検察に送致します。
検察に送致されると、検察官は、24時間以内に、被疑者を釈放するか、勾留の請求をします。
検察官が勾留を請求した場合、今度は裁判官が、被疑者を勾留するかどうかを判断します。
「勾留」は、逮捕に続いて行われる身体拘束を伴う処分のことで、その期間は、検察官が勾留を請求した日から原則10日間です。
逮捕から勾留までは、あっという間です。
勾留となれば、その間は会社や学校に行くことはできませんので、最悪、懲戒解雇や退学となる可能性もあります。
そのような事態を避けるためにも、ご家族が逮捕されたのであれば、できる限り早期に弁護士に相談・依頼し、身柄解放活動に着手するのがよいでしょう。
◇著作権法違反に強い弁護士◇
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、著作権法違反事件も含めた刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
ご家族が著作権法違反事件で逮捕されてお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
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弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動を中心に扱う全国的な刑事総合法律事務所です。
刑事事件・少年事件のみを取り扱う弁護士が、最初の相談から捜査・裁判終了による事件解決まで一貫して、迅速丁寧に対応致します。
当事務所の初回の法律相談は全て無料で行っております。夜間でも、土日祝日でも、365日24時間体制で法律相談のご予約を受け付けております。弁護士のスケジュールが空いていれば、お電話後すぐに弁護士とご相談いただくことも可能です。滋賀大津の刑事事件・少年事件に関するお悩みは、ぜひ当事務所へご相談ください。